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BMWグループとトヨタ、協力関係強化で合意【トヨタ自動車】
2012年6月29日
― FCシステム、スポーツカー分野での協業に向けた覚書に調印 ―
BMWグループ(ビー・エム・ダブリュー・グループ 以下、BMW)とトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、昨年12月に締結した両社の戦略的な協力関係を強化することを発表した。具体的には、「FCシステムの共同開発」「スポーツカーの共同開発」「電動化に関する協業」「軽量化技術の共同研究開発」という4つのテーマで、長期的な戦略的協業関係構築を目指していく覚書に調印した。
また、本日、BMW本社を訪問したトヨタの豊田章男社長は、BMWのノベルト・ライトホーファー取締役会会長とともに、両社の長期的な戦略的協業関係を強固なものにしていく意向を確認する共同声明に調印した。
BMWのノベルト・ライトホーファー取締役会会長は、「我々は持続可能な将来の技術開発を更に強化していくべく、本日、覚書に調印した。トヨタとBMWはそれぞれの持続可能な将来のモビリティについて、戦略的なビジョンを共有している。両社で力を合わせ、自動車業界をリードしていきたい」と語った。
トヨタの豊田章男社長は「BMWとトヨタは、『もっといいクルマの追求』という、共通の価値観を持ち、共に尊敬の念を抱いているからこそ、提携合意からわずか半年で、次のステップを踏み出すことができたのだと思う。両社の強みを生かし、環境にも優しく、世界中のクルマ好きを興奮させるスポーツカーの誕生を楽しみにしている」と語った。
両社は今年3月、次世代リチウムイオンバッテリー技術に関する共同研究の開始を発表している。また、両社は、2014年から欧州市場向けに販売予定のトヨタ車に搭載する排気量1.6及び2.0リットルのディーゼルエンジンの供給契約を締結している。尚、両社はすでに、環境技術におけるその他の協業テーマについても検討を進めることに合意していた。
以上
豊田社長スピーチ(日本語訳)
皆様、こんにちは。
トヨタ自動車の豊田でございます。
本日はお忙しい中、たくさんのメディアの方に、お越しいただき、誠にありがとうございます。
また、ライトホーファー取締役会長、ディース取締役、フローリッヒSVPをはじめ、BMWの皆様には、このような場を設けていただきましたことに対し、心より感謝申し上げます。
昨年12月、BMWとトヨタは、環境技術において、中長期的な協力関係を構築していくことを発表いたしました。
本日は、提携合意から半年が経過し、両社で新たな協業について合意いたしましたので、皆様にご報告させていただきます。
皆様ご承知の通り、BMWは、クルマづくりにおいて、長い歴史と文化を持ち、「走り」をはじめとする「エモーショナルなクルマづくり」において、世界をリードする自動車メーカーです。
「楽しくなければクルマではない」、「クルマはエモーショナルな存在でなければならない」というのが私の持論ですから、昨年末、BMWと中長期的な協力関係を結べることが決まった時には、大変エキサイティングな気持ちになりました。
私は、この両社には、大きな共通点があると思っております。
それは、「もっといいクルマをつくること」こそが、自動車メーカーの使命であるとの信念を持ち、それを経営のど真ん中に据えていることです。
今回の提携は、規模の拡大を目指すものでも、資本関係を結ぶものでもありません。
純粋に、両社が「もっといいクルマ」を追求するために、手を携えるものです。
私は、評価ドライバーとして、ニュルブルクリンクでの車両開発にも参加しております。
ニュルほど、クルマにとって、あるいはドライバーにとって、過酷なコースはありません。
ニュルを走っている時には、道がクルマを跳ね上げたり、クルマもドライバーも放り出されるような感覚になるコーナーがたくさんあります。
「クルマは道がつくる」ということを、私に教えてくれたのも、ニュルでした。
ですから、多くの自動車メーカーが、これから世の中に出す新型車をニュルに持ち込み、お互いに競いながら開発を進めているのです。
私がニュルでクルマの評価をしていると、必ず私を追い抜いていくクルマがあります。
それがBMWです。
プレミアムブランドでありながら、「走り」において、一家言持っている会社。
「クルマは道がつくる」ことを一番よく知っている会社。
そして、私が、ニュルで最も意識するライバル。
私にとって、BMWというメーカーは、尊敬すべき「クルマ」会社なのです。
このように、「もっといいクルマの追求」という、共通の価値観を持ち、共に尊敬の念を抱いている両社だからこそ、提携合意からわずか半年で、次のステップを踏み出すことができたのだと思います。
本日、ライトホーファー取締役会長と、改めてお会いしたのですが、両社の信頼関係がより強固なものとなっていることを実感いたしました。
その信頼関係の証として、本日、長期的に戦略的なパートナーとして、協力関係を築いていく「共同声明」に調印をいたしました。
両社の思いを「共同声明」という形で残すことをできたことを大変喜ばしく思います。
また、私としては、ニュルをはじめ、これから自動車開発に関わる様々な現場で、両社のエンジニアが、どんな「クルマ談義」をしてくれるのか、今から楽しみにしています。
両社の提携の果実、例えばクルマ好きのハートを揺さぶるような魅力ある商品は、決して会議室からは生まれません。
開発現場での「クルマ談義」から生まれるものだと思っております。
私やライトホーファー取締役会長も、時々「クルマ談義」に参加させてもらえれば、こんなに嬉しいことはないのですが・・・
最後に、両社の具体的な協業の内容について、皆様にご紹介したいと思います。
本日、トヨタとBMWは、新たに「FC技術」、「スポーツカー」、「電動化技術」、「軽量化技術」、という4つの分野で協力していくことに合意いたしました。
ハイブリッドやFCといった環境技術は、トヨタが強みとしている分野であり、BMWのお役に立てると信じております。
一方、「スポーツカー開発」は、BMWが最も得意とする分野だと思います。
BMWと協業することで、どんなクルマが生まれるのか。
想像しただけで、ワクワクした気持ちになります。
両社の強みを生かし、環境にも優しく、世界中のクルマ好きを興奮させるスポーツカーの誕生を、私自身が一番楽しみにしているのではないでしょうか。
すべては、「もっといいクルマ」をつくるために。
BMWと一緒に仕事をさせていただくことが、私たちが目指す「もっといいクルマ」づくりに必ずつながると信じております。
本日は、ありがとうございました。
以上
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