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ダカールラリー2013に向け、新型レーシングトラックの製作開始【日野自動車】
2012年6月28日
日野チームスガワラは、2013年1月に開催されるダカールラリー2013に2台の日野レンジャーで出場します。1号車は、将来上位入賞を狙う布石として、市販車をベースに新システムを投入した新型レーシングトラックとして開発。2号車は、2012年の大会でクラス3連覇を果たした車両を熟成させます。車両開発にあたっては、チームスガワラに蓄積されてきたラリー車作りのノウハウと、商用車メーカーとして長年培ってきた日野のトラック作りの技術を融合し、世界一過酷といわれるレースに挑みます。
本号では、チームにとってテスト走行の場でもある、ラリーモンゴリア2012(8月11~19日開催)参戦に向けて製作中の、新型レーシングトラック(1号車)の仕様を紹介します。
<チーム初> 電子制御(コモンレール)エンジン 「J08E」 を搭載
日野の21年のダカールラリー参戦の歴史で、初めて電子制御(コモンレール)エンジンを搭載。砂丘越えや悪路走破に求められる中低速でのトルクの増大を図ります。電子制御エンジンは、出力曲線の自由度や出力自体が増す一方で、過酷さ故に電子制御による安全装置(いわゆるリミッター)の作動や電子系のトラブルで、コース上で停止しているライバル車も少なくありません。ダカールラリーと日野車を知り尽くす菅原親子にとっても未知の領域ですが、過酷なレース環境であっても限界までエンジン性能を引き上げるべく、日野グループの英知を結集して取り組んでいます。
ハブリダクション機構付アクスルとディスクブレーキシステムを新採用
足回りには、ハブリダクション機構付アクスル※を新採用し、最低地上高が旧型車のアクスル底面比で約35mm上昇(理論値)。このアクスルには、ディスクブレーキシステムが採用され、組み合わされるブレーキキャリパーは、数多くのレースカテゴリーで実績をあげているブレンボ製の対向4ポットキャリパーです。一般的に、ディスクブレーキは、今までのドラムブレーキに比べ、部品構造がシンプルで軽量となり、ブレーキ応答性も向上することでタイム短縮に貢献します。ただし、重量のあるトラック部門にとっては、ブレーキディスクにかかる負荷が高く、発熱することから、ハブに組み込まれたオイルシールやエアシールを破損させるリスクもあり、ダカールラリーではトップチームといえども苦戦しています。
※ハブリダクション:悪路走破性に関わる最低地上高を上げるために、ホイールハブに減速ギヤを搭載した構造。その結果、ディファレンシャルギヤが小径になり、デフケースも小さくなるために、アクスルの最低地上高が高くなる。
ホイールは鉄製から鍛造アルミホイールに変更
北米に本拠を置くハッチンソン製の鍛造2ピースのアルミホイールを新採用。今までの鉄製ホイールに比べ、1枚あたりの重量が10kgほど低減しました。前項のアクスルとの組合せにより、助手席からの遠隔操作でタイヤの空気圧が調整できるCTIS(Central Tire Inflation System)を引き続き搭載します。路面状況に合わせて空気圧を変化させ、走破性を向上させます。
フレームとリーフスプリングの特性を変更
これらの改造により、悪路の走破スピードが向上することから、メインフレームの高さを変更し剛性を向上させます。また、リーフスプリングをロングスパン化することで、悪路での操縦安定性を向上させます。
ラリーモンゴリア2012には、これらの新システムと2012年大会でクラス3連覇を果たした車両の仕様を取り入れた、新型レーシングトラックで参戦します。この実戦形式のテストで収集される貴重なデータから改善を行い、ダカールラリー本番に備えます。日野チームスガワラは、更なる高みを目指し日野車の「高い耐久性・信頼性」を実証すべく、リスクを恐れず試練の年として果敢に挑戦します。
<トピック> チームオフィシャルムービー 「ダカールラリー2013の鼓動」 を公開
6月末、次回大会に向けて動き出した日野チームスガワラの活動を収録した、チームオフィシャルムービーを公開しました。電子制御エンジン開発の総指揮をとる馬場和幸(エンジン設計部 部長)のインタビューや、鉄人・菅原義正ドライバーの挑戦の秘訣や次男の菅原照仁ドライバーの意気込みなどを動画で紹介します。ぜひご覧ください。
「ビデオ」ページはこちら
http://www.hino-global.com/j/dakar/gallery/video.html
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<トピック> 2012年のダカールチャレンジ 5大会が決定
ダカールチャレンジとは、世界各地の名だたるクロスカントリーラリーがタイアップし、各ラリーで上位成績を収めた競技者はダカールラリーに招待される大会です。アマチュアライダーにとって、ダカールラリーは世界最高峰のクロスカントリーラリーとして夢の舞台であり、それだけに出場を果たすだけでも多大な時間と費用を要します。「冒険の扉を開くのは君だ。 望むなら連れていこう」という、ダカールラリー創設者のティエリー・サビーヌの言葉にもあるように、冒険を求める多くの人間にチャンスを与える精神が今でもダカールラリーに息づいています。2012年は、5大会のタイアップが決まりました。
7月22~28日 ダカールシリーズ デザフィオ・リトラル (アルゼンチン、パラグアイ)
7月23~25日 トヨタ1000デザートレース (ボツワナ)
9月15~25日 タクラマカンラリー (中国)
9月21~29日 オーストラリアンサファリ (オーストラリア)
9月29日~10月6日 ファラオラリー (エジプト)
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