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自律型無人潜水機(AUV)による海底パイプライン近接検査の実証試験に成功【川崎重工業】
2020年7月15日
川崎重工は、兵庫県淡路島沖で、自律型無人潜水機(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)による海底パイプライン近接検査の実証試験に成功しました。
当社は、Oil & Gas分野での海底パイプラインのメンテナンス需要の増加に着目し、長年培ってきた潜水船関連と産業用ロボットの技術を融合した、世界初の海底パイプライン検査用ロボットアームを用いたAUV 「SPICE(Subsea Precise Inspector with Close Eyes)」(以下、「SPICE」)の開発を進めています。この実証試験は、海中で「SPICE」が海底のパイプ探索、パイプライントラッキング、トラッキング完了後のドッキングステーション※1への回航という近接検査プロセスを、自律して行うために必要な一連の技術実証を目的とし、6月1~12日、「海洋石油・天然ガスに係る日本財団-DeepStar※2による連携技術開発助成プログラム」※3による支援のもと、兵庫県淡路島沖で海底パイプラインを模擬したパイプを敷設し実施しました。
「SPICE」のコンセプトであるロボットアームを自律制御し、近接検査センサーを搭載した装置がパイプライン上をトラッキングしながら安定した航走を実現できることを証明した今回の実証試験成功は、商用化に向け大きく前進したと言えます。また実証試験期間中のデモンストレーションに参加頂いた関係者からも、今回の成功に高い評価と期待が寄せられました。
当社は今後、市場ニーズに合わせて各種検査センサーを搭載した場合の実証試験を行い、並行して船級協会からの承認を取得することで、無人化・自動化のマーケットニーズを適える水中機器として需要拡大が見込まれるAUV市場向けに、高性能・高品質な製品の開発を推進し、2021年度中の商用化に向け積極的に取り組んで行きます。
※1 当社が開発中の海中ステーション。洋上船(母船)とケーブルで接合したステーションに「SPICE」が
海中でドッキングすることで、充電や収集した検査データの母船への転送が可能。
「SPICE」の海中作業の長時間化、母船への投入揚収回数低減、それによる船員の
作業負担削減・安全性向上に寄与する。
※2 海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担うオイルメジャー、海洋開発関係企業、大学、
研究機関などから成る海洋技術開発のコンソーシアム。
※3 海洋開発分野への技術開発参入を目的とした日本財団の連携助成プログラム。当社は
「自律型潜水ロボットの海洋石油分野への実用」として2019年度の当該プログラムで採択され、
本実証試験を実施した。
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