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高齢ドライバーの安全走行を促進・啓発する『ハンドルぐるぐる体操』を新潟大学と共同で創案【日産自動車】
2020年3月19日
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:内田 誠)は、高齢ドライバーの安全走行を促進・啓発するため、この度、新潟大学と共に、「ハンドルぐるぐる体操」を制作しました。本体操は、主に高齢ドライバーが日々の生活の中で運動習慣をつけることで、筋力と認知力を高めて安全走行できるよう支援するためのもので、日産と新潟大学が共同でコンセプト検討を行い、新潟大学が体操の内容を創りました。
日産と新潟大学は、2018年に、まち・生活・交通を結び、安全な未来を目指す交通安全プロジェクト「トリトン・セーフティ・イニシアティブ」*1を立ち上げました。それを皮切りに、高齢者の運動・運転機能データの収集とその同期解析、高齢者への健康・交通安全教室、ドライバーに早目の点灯を呼び掛ける、「おもいやりライト運動」*2等の活動を共同で行っています。
今回発表した「ハンドルぐるぐる体操」は、「トリトン・セーフティ・イニシアティブ」における活動成果の一つで、新潟大学が取りまとめた高齢者約2,000人の運動機能データに基づき、クルマの走行実験による知見も使いながら、高齢ドライバーが簡単で楽しく実践できる体操として制作しました。また本体操は、高齢ドライバーだけでなく、運動不足になりがちな方、どなたにもお勧めできるもので、高齢者がその家族や地域住民と一緒に励ましあい、楽しめる運動となっています。高齢者が周辺の人々や社会と一体となり、明るく健康な暮らし、好きなところに安全に移動できること、を目的に制作しました。
高齢者は、運動不足になりがちなことから、徐々に脚腰や腕の筋肉が劣り、筋力が低下した状態となり、加えて脳の指令通りにその筋肉を強く速く、あるいは巧みに動かせなくなるなど、運動機能が劣ってきます。運動機能が劣ると、クルマの運転機能にも、様々な悪影響が出てくることが新潟大学の研究から分かってきました。
第一に、下半身(特に股関節周辺)の筋力が低下することで、楽な姿勢をとろうとするために運転姿勢が前かがみになります。この前かがみの姿勢によって、メーターパネルを確認するたびに首の余分な上下運動が増え、ドアミラーを確認するたびに体の左右動作が必要になります。これが安全走行を阻害する原因の一つになります。また、脚を伸ばしたり曲げたりしてブレーキやアクセルを操作する動作がしにくくなると考えられます。
第二に、高齢者は肩から腕の筋力が低下することで、手を伸ばした姿勢でハンドル操作を続けることがつらくなります。特に長距離運転では背中の筋肉を中心に負担が掛かり、疲労が大きくなります。
第三に、運動機能の低下は認知力低下を招き、前方車両の急ブレーキなどとっさの場面で、適切な運転行動ができなくなると推測されます。またスピード感覚や視野機能が劣ってくると考えられており、このようなことから高齢者は、運動機能の衰えと共に、クルマを安全に運転することが徐々に難しくなってきます。
「ハンドルぐるぐる体操」は、血流を良くする「リフレッシュ」、少しハードな「筋力アップ」、脳を刺激する「認知力アップ」の3つがあります。どれも覚えやすいように、3秒間4カウントで完結するリズミカルな動きの繰り返しで構成されています。
それぞれの体操の内容と目的・効果は以下の通りです。
<共通の効果>
① 両手を伸ばしてハンドルを持つことで腕の筋力アップが期待できます。手の位置は胸の高さにして、体から遠いほど効果があります。
② 運動習慣をつける(習慣的に筋肉に刺激を与える)ことで、とっさの場面で速い反応をとったり、スピードを認識する能力を高めることが期待できます。
この体操は、クルマの運転前やお時間がある時など、いつでもどこでも、ハンドルを持たずに行うこともできます。また、テレビや音楽を楽しみながら座ったままの姿勢でも、一定の効果が期待できます。
新潟市と出雲崎町では、既に、この「ハンドルぐるぐる体操」が高齢者や保育園児に実践されており、好評を得ています。また高齢者と保育園児が、一緒になってオンリーワンのハンドルを作るワークショップも開始しました。今後は体操を広めながら、約1年をかけて複数地域、数百名の規模で効果や定着の検証を行うと共に、全国への普及も図っていく予定です。
高齢者と保育園児がオンリーワンのハンドルを作るワークショップ
日産が新潟大学と推進する「トリトン・セーフティ・イニシアティブ」では、子ども、高齢者、公共交通機関が不足し過疎化に悩む人々、訪日外国人など生活・交通弱者に寄り添い、交通死亡事故ゼロ、誰一人取り残さないダイバーシティ交通社会の実現を目指し、分野、地域、世代を横断する活動を行っています。本プロジェクトは、日産が約60年続ける交通安全啓発活動「ハローセーフティキャンペーン」の一環として進めています。 また日産は、高齢ドライバーの関わる事故を減らすことを目的に、2019年より、従業員の声から活動を始めた「助手席孝行」*3を呼び掛けています。今後も、先進安全技術の幅広い車種への搭載や、さらに安全な技術開発の推進を通じて、交通事故のないゼロ・フェイタリティ社会の実現を目指してまいります。
■「ハンドルぐるぐる体操」実演映像
URL:https://youtu.be/4hxe-z7WrFY
■今回の発表に関する解説映像(メディア限定公開)
URL:https://youtu.be/1u8fswUgy54
出演者:新潟大学 工学部・教育学部 准教授 村山 敏夫/日産自動車 グローバル技術渉外部 部長 長谷川 哲男
*1 ToLiTon (Town, Life and Transportation) Safety Initiative
従来の交通安全の枠にとどまらず、「まち・生活・交通」を結ぶ提案を目指すことから命名したプロジェクト。
ギリシャ神話に登場し水害を鎮める海の神トリトン(Triton)がプロジェクトの目指す
安全・安心な世界観をイメージでき、また太陽系でもっとも遠い惑星である海王星を周回する
衛星トリトンがプロジェクトのサステナビリティ(持続可能性)をイメージできます。
*2 夕方4時から6時の間に多発する交通事故の削減を目指し、「見えやすさ・見られやすさ」を
認識してもらうため、クルマのドライバーにはヘッドライト早期点灯を、歩行者・自転車乗りには
反射材の着用の必要性を呼び掛ける運動。日産が推進し、2010年に活動開始。
賛同パートナーは日本全国に広がり、新潟大学と日産が知り合うきっかけにもなりました。
おもいやりライト運動 公式HP:https://www.omoiyari-light.com/
*3 両親の運転を助手席から見守りながら運転能力を確認し、それを優しくフィードバックすると共に、
運転について家族で話し合う機会とする試み
「助手席孝行」特別サイト:https://www.nissan.co.jp/SP/JOSHUSEKI/
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「ハンドルぐるぐる体操」を実践するにあたってのお願い
体操は筋力・認知力の側面から健康と安全を支援するものであり、交通事故防止に直接つながるものではありません。安全運転に十分心掛けましょう。
体操は無理をせず、体調に合わせて行って下さい。できることや時間を少しずつ増やしていくことをお勧めします。
体操は部屋の中など平らで滑りにくい場所で行って下さい。クルマの運転中の体操は危険ですのでお控え下さい。
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