ニュース

市村賞を2年連続でダブル受賞 ~市村産業賞、市村地球環境産業賞を同時受賞~【日本製鉄】

2020年3月13日

 日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)は、公益財団法人市村清新技術財団より、第52回(令和元年度)市村賞において、市村産業賞、市村地球環境産業賞をダブル受賞しました。

 市村賞は、科学技術の進歩、産業の発展に貢献した技術開発者を表彰する伝統と権威ある賞です。昨年より従来の市村産業賞、市村学術賞に加え、市村地球環境産業賞、市村地球環境学術賞の分野が設けられており、日本製鉄は、昨年に引き続き、栄えあるダブル受賞を達成しました。

1.市村産業賞の受賞内容
 (1) 名 称 : 市村産業賞 貢献賞
 (2) テーマ : 高効率・軽量型永久磁石式リターダの開発による大型車両の安全性向上
 (3) 受賞者 : 交通産機品事業部 製鋼所 産機品製造部 室長      今西 憲治
         交通産機品事業部 交通産機品営業部   上席主幹    山口 博行
         技術開発本部 鉄鋼研究所        上席主幹研究員 野口 泰隆

2.市村地球環境産業賞の受賞内容
 (1) 名 称 : 市村地球環境産業賞 貢献賞
 (2) テーマ : 鉄鋼スラグによる多様な生態系サービスをもたらす海の森再生技術
 (3) 受賞者 : 技術開発本部 先端技術研究所 主幹研究員 小杉 知佳
         スラグ・セメント事業推進部  主幹    木曽 英滋
         五洋建設株式会社       顧問    中川 雅夫

3.開発技術「高効率・軽量型永久磁石式リターダの開発による大型車両の安全性向上」の内容
(1) 概要
 長い下り坂において、トラック、バス等の大型車両のブレーキ力が不足する事象が社会問題化し、補助ブレーキ(リターダ)のニーズが高まりました。しかしながら、既存のリターダ(流体式、電磁石式)には装置寸法、重量、搭載性、メンテナンス性に課題があり、国内ではほとんど使用されておりませんでした。この課題を解決するため、ネオジム磁石に着眼し、その磁力を活用した小型、軽量、メンテナンスフリーの世界初の永久磁石式リターダを開発・実用化しました。

(2) 開発した技術
 初期型の開発以降、高効率化のニーズが年々増加するとともに、近年ではドライバー不足や高齢化に伴い、リターダ搭載車種拡大による安全性向上と運転負荷軽減のニーズが高まりました。これらのニーズに応えるため、磁石配置の最適設計、ローター専用耐熱鋼、高耐久銅めっき膜などの独自技術を開発し、装置重量当たりのブレーキ力を最大2.1倍に高めた最新型の高効率型永久磁石式リターダを実用化しました。更に最新型ではモジュール設計を採用し、搭載車種拡大に対応しております。

(3) 効果
 永久磁石式リターダ(初期型~最新型)の開発により、日本のリターダ市場を創生し、その市場を大きく拡大しました。その結果、大型車両の安全性向上とドライバーの運転負荷軽減に大きく貢献しております。
 日本製鉄は世界唯一の永久磁石式リターダのメーカーであり、永久磁石式リターダの販売台数は累計30万台を超え、現在では中大型トラック・バス用リターダにおいてシェア80%を超え多数の車両に搭載されております。海外販売や間接輸出により世界の交通安全や国産車両の競争力強化にも貢献しています。

4.開発技術「鉄鋼スラグによる多様な生態系サービスをもたらす海の森再生技術」の内容

(1) 概要
 生物の棲家や産卵の場として機能するだけでなく水産物や美しい景観といった豊かな恵みを私たちの生活にもたらす藻場を再生するため、製鋼スラグと腐植土を活用した海域向けの施肥材(ビバリー®ユニット)による①多様な生態系サービスの提供②藻場(ブルーカーボン生態系)でのCO2 吸収・固定による地球温暖化抑制に関する技術を開発・実用化しました。

(2) 開発した技術
 鉄イオンのキレート化によって安定的な鉄分供給を可能にした製鋼スラグと腐植土の最適混合に関する技術のほか、沿岸域で長期的に鉄イオンの供給を可能にするビバリー®ユニット内部の嫌気状態を維持する施工技術を開発しました。  更には、沿岸域で検証困難な水質の連続データを取得するため、沿岸環境を模擬した大型水槽システムを開発し、水産有用海藻への効果検証を行いました。

(3) 効果
 2004 年からビバリー®ユニットによる海の森再生に着手しました。北海道増毛町舎熊海岸で6t を埋設し、海水の鉄濃度の上昇と藻場の再生(約0.6ha)を確認しました。更に2014 年には同町別苅海岸で45t を埋設し、約1.5ha の藻場再生と1.8 倍のウニ漁獲高の向上によって生態系サービスへの有用性を実証しています。
 ビバリー®ユニットを全国38 箇所に展開しており、調査した30 箇所の再生藻場面積は約3.2ha。ブルーカーボンとして固定化された量は年間最大115t-CO2 と試算しています

図2:北海道増毛町での海の森づくり(写真提供:渋谷潜水工業)

  日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した上記2製品をはじめとする優れた製品・サービスの提供を通じて、これからも社会の発展に貢献して参ります。

お問い合わせ先:総務部広報センター 03-6867-2977、2135








日本製鉄株式会社ホームページはこちら

キーワードをクリックして関連ニュースを検索

#日本製鉄
#表彰/受賞
#2020年3月13日