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ロームのSiCパワーデバイスが中国大手Tier1、UAESの電気自動車用オンボードチャージャーに採用 EV充電システムの高速化、高効率化、小型化に貢献【ローム】

2020年3月17日

<要旨>
ローム株式会社(本社:京都市)のSiCパワーデバイス(SiC MOSFET*1)が、中国・総合車載Tier1メーカー、United Automotive Electronic Systems Co., Ltd. (以下、UAES社)の電気自動車用オンボードチャージャー(On Board Charger、以下OBC)に採用されました。同OBCは、2020年10月にUAES社から自動車メーカーに提供される予定です。

SiCパワーデバイスは、IGBT*2などのSi(シリコン)パワーデバイスに比べて、劇的な低損失化を実現できる半導体として、電気自動車をはじめ、インフラ、環境・エネルギー、産業機器分野で採用が進んでいます。 ロームは、2010年に世界で初めてSiC MOSFETの量産を開始するなど、SiCパワーデバイスのリーディングカンパニーとして世界最先端の開発を進めてきました。また、自動車分野では、2012年に業界に先駆けて車載対応製品の提供を開始しており、電気自動車の急速充電用オンボードチャージャーで高いシェアを誇り、電気自動車のモータやインバータでの採用も加速しています。

今回、ロームのSiC MOSFETが、UAES 社のOBCに採用されたことで、従来のOBCに比べて、ユニットとして1%の高効率化(効率95.7%達成、従来から電力損失を約20%削減)に貢献しています。また、この先進的なソリューションは、UAES社から「2019年最優秀技術進歩賞」を受賞しています。

ロームは、今後もSiCパワーデバイスのリーディングカンパニーとしてラインアップを強化するとともに、デバイス性能を最大限に引き出す制御ICなど周辺デバイスやモジュール化の技術を組み合わせ、次世代自動車の技術革新に貢献するパワーソリューションを提供していきます。

<United Automotive Electronic Systems Co., Ltd.(UAES)について>
UAESは、Robert Boschと中聯汽車電子(上海汽車系の中国企業)との合弁企業である総合車載Tier1メーカーです。1995年の創業以来、エンジンコントロールユニット他、ガソリン車向けパワートレイン事業にて、中国市場で非常に高いシェアを獲得しており、2009年以降は主機インバータをはじめ、電動車向けアプリケーション開発にも注力しています。

詳細は下記URL(簡体字)をご覧ください。
http://www.uaes.com/servlet/portal/index.html

<SiC MOSFETを採用するメリット>
大電力(高電圧×大電流)領域において、SiC MOSFETはSi-IGBTと比較して「スイッチング損失・導通損失*3が少ない」「温度変化に強い」などの利点があります。これらの利点により、電気自動車のオンボードチャージャーやDC/DCコンバータなどで採用された場合、電力変換時の低損失化、放熱用部品の小型化、高周波動作によるコイルの小型化などを実現し、アプリケーションの高効率化や部品点数削減・実装面積削減に貢献することができます。

<ロームのSiCパワーデバイス開発の歴史>

<用語説明>
*1) MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistorの略)
金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタのことで、FETの中では最も一般的に使用されている構造である。スイッチング素子として使われる。

*2) IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)
MOSFET の高速スイッチング特性とバイポーラ・トランジスタの低導通損失特性を併せ持ったパワートランジスタのこと。

*3) 導通損失、スイッチング損失
MOSFETやIGBTなどトランジスタではデバイス構造上、使用時に損失が生じてしまう。導通損失は、デバイスに電流が流れる際(ON状態時)に、デバイスの抵抗成分によって発生する損失。スイッチング損失は、デバイスの通電状態を切り替える(スイッチング動作時)際に発生する損失。


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