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AIバスケットボールロボットCUE開発記【第3弾】【トヨタ自動車】

2020年3月4日

AIバスケットボールロボットCUE開発記【第3弾】
-CUE4、Bリーグオールスターに挑戦-

社内の有志が自由時間に開発したバスケットボールロボットCUE(キュー)は、人工知能を搭載し百発百中でシュートを決める。開発チームは2020年までの期限付き業務として開発を続け、2019年末には4代目となるCUE4を披露した。“素人が一から不可能に挑戦する”―社内の特殊プロジェクトに迫る開発記録の第3弾。

目次
・CUE3からCUE4へ
・ロボットがレンタル移籍!?
・CUE4、北海道の地に立つ
・夢の舞台 Bリーグオールスターゲーム
・ラストシーズンに向けて

CUE3からCUE4へ
2019年11月16日アルバルク東京(以下、アルバルク)ホーム戦のハーフタイムショー。センターラインからのロングシュートで海外までその名を広めたCUE3がついにCUE4にモデルチェンジした。その特徴は「自分でボールを掴んでシュート」、そして「走る」だそうだ。まだ開発途中のCUE4は、この日は数m移動しただけだが、開発チームリーダーの野見知弘さんはアルバルクファンの皆さんに向けて宣言した。

「CUE4は今シーズン中にスリーポイントコンテストに挑戦します」

スリーポイントコンテストとは、バスケットボールの本場アメリカのオールスター戦の前などに開催される競技で、各選手が1分間に5か所からそれぞれ5本ずつシュートし合計点数を競う。スピードと精度が求められる競技だ。

これまでCUEの成長を見てきてくれた方であればもうお気づきのはずだ、これはCUEには無謀すぎるチャレンジだ。たとえば2019年4月に登場したCUE3を見てほしい。

 

 

ゴールまでの距離や角度の計算のためシュート1本に約15秒かかる。高速での連続シュートに加え、5地点の高速移動が求められるスリーポイントコンテストに挑戦するには、プロジェクト開始から約1年半、CUE3登場からはまだ7ヶ月程度のチームには不可能に近かった。

ロボットがレンタル移籍!?
スリーポイントコンテスト挑戦宣言から1ヶ月経った頃、アルバルクから世にも不思議なプレスリリースが発信された。

“AIバスケットボールロボット「CUE4」期限付移籍のご報告”
ロボットも移籍する時代が来たのか。リリースによるとCUE4は、初代CUEからCUE4までの約2年のアルバルクでのキャリアに一旦区切りをつけ、更なる成長のため“レバンガ北海道”(以下、レバンガ)に移籍するとのことだ。

レバンガ北海道とは
北海道札幌市を拠点に活動するプロバスケットボールチーム。北海道の方から応援してもらえるチームであり続けるという誓いから「がんばれ」の逆さ言葉がチーム名に。

 

 

 

 

 

移籍にあたって野見さんは「これまで、ワクワクドキドキするものづくりで日本を少しでも明るく元気にしたい、そしてCUEの活動が少しでも話題になることでお世話になったバスケ界に恩返しがしたいという想いで取り組んできました。

その想いをレバンガの皆様に共感していただき、企業やチームの垣根を越えて、シーズン途中に迎え入れていただけたことを本当に嬉しく思います。また、これまで親身にCUEを応援してくださったアルバルクの皆様や、プロジェクトに共感し、開発を支えてくれた協力会社の皆様に報いるためにも、北海道では恥ずかしくないパフォーマンスを披露していきたいと思います」と話した。

CUEプロジェクトについて詳しくはこちら(映像)

CUE4、北海道の地に立つ
2019年12月28日、CUE4はレバンガのホーム“北海きたえーる”に初めて姿を現した。グリーンのユニフォームが新鮮だ。

輸送中のダメージや、寒さによる結露などで思うようにロボットが動かず苦労したが、レバンガファンの応援に背中を押され、なんとか連続フリースローとスリーポイントシュートを披露することができた。チームは北海道の温かさに触れた。

夢の舞台 Bリーグオールスターゲーム
年が明けてうれしい情報が入ってきた。これまでの活躍が認められ、チーム発足当初からの夢であるBリーグオールスターゲームにCUE4が正式に選出され、スリーポイントコンテストでパフォーマンスを披露する機会をもらったのだ。本番まで2週間あまり、果たして間に合うのか。

Bリーグオールスターゲームとは
ファン投票やリーグ推薦によって選出された選手が「B.BLACK」と「B.WHITE」の2チームに分かれて対戦する。試合前にはスリーポイントコンテストを含め様々な競技が開催され、大きな盛り上がりを見せる。

 

 

 

 

CUE4開発に着手した2019年4月から、チームはスリーポイントコンテスト挑戦に向けた課題を洗い出していった。高速移動のためには、これまでロボットに繋がれていた通信・給電用ケーブルを廃し、小型で高出力な専用モーターをロボットに内蔵する必要がある。またシュート後のロボットの揺れが精度に大きく影響するため、揺れを抑えながら続けてシュートするためのムリ・ムラ・ムダのない投球動作を実現しなければならない。その他移動姿勢の制御やロボットの軽量化など様々な課題解決に向けて、CUE4はセンサーや体内の骨格から人工知能のアルゴリズムまで全てを一から見直して開発された。

  

迎えた本番、会場は超満員(オールスター戦のチケットは予約受付開始2分で完売したそうだ)。MCのアナウンスとともにCUE4がスクリーンに映し出された。前日リハではなぜか1本もシュートが決まらず、さらにボールが掴めなくなる不具合も発生したが、なんとか本番の舞台に間に合わせた。いざ勝負の時。

オールスターのユニフォームを身に纏い、CUE4が1投目のボールに手を伸ばした。

ぜひ本番の様子を動画でご覧いただきたい。

 

 

CUE4は11本のシュートを決め会場を沸かせた。

試合前の催しで盛り上がった本番のゲームは123-117でB.BLACKが勝利し、レバンガの折茂選手がMVPに選ばれた。大きなトラブルなくパフォーマンスを終えたCUEチームは安堵と達成感を胸にコートを後にした。

ラストシーズンに向けて
2月25日、レバンガへのレンタル移籍を終えたCUE4がアルバルクに帰ってきた。野見さんは「北海道では、デビュー戦でのレバンガファンの皆さんの大声援やオールスター出場など、忘れられない経験をさせていただきました。今後の活動を通じて、応援いただいた方々に少しでも恩返しができればと思います」と話した。

ラストシーズンとなる2020年、最高のスタートを切ったチームは次に何で私たちを驚かせてくれるのか。これからも目が離せない。

レバンガのマスコットキャラクター“レバード”とアルバルクの“ルーク”が揃った大切な1枚

過去の開発記はこちら
第1弾 : 素人が一から新しいことに挑戦する社内チャレンジ
第2弾 : CUE3、ギネス世界記録™に挑戦

CUE4
背番号 94
ポジション SG(シューティングガード)
身長 209cm
体重 91kg
出身 愛知県豊田市

 

 

 

 

 








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