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ボッシュとメルセデス・ベンツ:米サンノゼで自動運転配車サービスの実証実験を開始
2019年12月12日
▶ ボッシュとメルセデス・ベンツ、自動運転配車サービスの実証実験から
自動運転の開発のためのさらなる知見を獲得
▶ サンノゼ西部と都心部で、ボッシュとメルセデス・ベンツの
自動運転システムとソフトウェアを装備したSクラスの自動運転車両によるシャトルサービスを提供
▶ 都市部における自動運転車両開発で、ボッシュはコンポーネントの開発・製造を担当
▶ ダイムラー・モビリティAGのフリートプラットフォームにより、
配車サービスのパートナー企業・団体は、自動運転車両を各自の交通サービスへ組み込むことが可能
▶ 安全性、環境に与える影響、交通の流れの改善を視野に、
サンノゼが同市のインフラを実証実験に提供
シュトゥットガルト(ドイツ)、サンノゼ(米国カリフォルニア州) – 都市部での自動運転の開発に向けたボッシュとメルセデス・ベンツの合同プロジェクトは、新たなステージに突入しました。サンノゼのシリコンバレーにおいて、メルセデス・ベンツSクラスの自動運転車両を用いたアプリベースの配車サービスに向けた、両社による実証実験が始まりました。セーフティドライバーの監視のもと、自動運転車両がサンノゼ西部と都心部間のサンカルロス通りとスティーブンス・クリーク通りを定期往復します。本サービスは、開始当初は特定のユーザーのみを対象としています。ユーザーは、ダイムラー・モビリティAGが開発したアプリを使用し、決められた乗車地点から目的地まで、Sクラスの自動運転車両による走行を予約することができます。ボッシュとメルセデス・ベンツはこの試みにより、高度・完全自動運転(SAEレベル4/5)システムのさらなる開発に向け、有益な知見が得られることを期待しています。また、公共交通機関やカーシェアリングを含む複合的なモビリティシステムに、どのように自動運転車両を統合できるかについても、さらなる知見が得られると期待しています。
ボッシュ、メルセデス・ベンツ、サンノゼ – 未来のモビリティ化に向けたパートナー
2017年中頃、道路交通において増大する課題の分析のために、サンノゼが米国で初めて自動運転の実証試験に民間企業を誘致しました。特に混雑した市街地走行では、自動運転車両のサラウンドセンシングによって、潜在的に安全性を向上させることができ、またスムーズな走行スタイルにより交通の流れを改善することが可能です。「市として、自動運転車両がどのように安全性の向上と渋滞の緩和に役立つのか、また交通手段をさらに利用しやすく、持続可能で、包括的なものにする上で役立つのかという点について、より多くのことを知りたいと考えています。メルセデス・ベンツとボッシュのプロジェクトは、サンノゼの掲げる『スマートシティ』の目標と結びつきます。さらに、新しいテクノロジーに対処するためのガイドラインの策定や、将来の交通システムへの準備という点でも、私たちにとって有益なものとなるでしょう」と、サンノゼ市政革新・デジタル戦略ディレクターのDolan Beckel氏は述べています。「自動運転が日常的に使用されるためには、そのテクノロジーが高い信頼性と安全性を持って機能する必要があります。そのためには、サンノゼでの実証実験のようなテストが必要となります」と、ロバート・ボッシュGmbHの都市部自動運転の開発を率いるMichael Faustenは述べています。また、「その性能を証明しなくてはいけないのは、自動運転車両だけではありません。私たちシステム開発者もまた、自動運転配車サービスが都市交通というパズルに、1つのピースとしてフィットすることを証明する必要があります。私たちはこの両方をサンノゼでテストすることができます」と、メルセデス・ベンツAGで自動運転を率いるUwe Keller氏は語りました。
8月から11月まで、プロジェクトの代表者は、サンノゼ市の職員とともに、複数の地域団体とこのプロジェクトについて議論をしました。さらに、シャトルが通行する通り沿いの近隣住民や企業グループとの7回にわたる集会において、プロジェクトチームは目標について議論し、車両技術を見せ、プロジェクトで実装される二重の安全冗長性について説明し、将来の使用ケースについて住民からの提案を受け止めました。
米国と欧州でパートナーを組むボッシュとメルセデス・ベンツ
これまで約2年半、ボッシュとメルセデス・ベンツは、都市部の自動運転のためのソリューションに共同で取り組んできました。両社の共通の目的は、高度・完全自動運転(SAEレベル4/5)システムによる、車両管理用ソフトウェアを含む無人の完全自動運転車両です。ただし、両社の関心はプロトタイプではありません。様々な車種やモデルに組み込むことができる、量産向けシステムを開発したいと考えています。両社は、車両の動きを制御するソフトウェアの開発段階において、人工知能や試験走行距離の記録のみに頼らず、シミュレーションや特別に設計された性能試験場も使用することで、特に道路交通では稀にしか起こらないような運転状況への対応にも取り組んでいます。このため、ドイツのインメンディンゲン試験・技術センターのエンジニアは、自動運転向け専用に設計された10万平方メートルの性能試験場も利用しています。ここでは、複雑な交通状況も、きわめて正確に、希望する頻度で再現することができます。このような手法を用いる理由は、ボッシュとメルセデス・ベンツが完璧であることと安全性を最優先しているからです。さらに、両社の協力は、米国の道路条件や天候条件だけを対象としているわけではありません。チームの一部は、サンノゼとサンフランシスコの間にあるシリコンバレーのサニーベールに拠点を置いていますが、両社のエンジニアを含むもう1つのチームは、シュトゥットガルトで作業しています。
コラボレーションにおける迅速な意思決定とコミュニケーション
ボッシュとメルセデス・ベンツの従業員は、机を並べて座り、仕事をしています。これにより、意思決定が迅速になり、異なる専門間でのやり取りが迅速化します。そして、従業員は、いつでも親会社で働く同僚の知識とノウハウを活用することができます。ここでは、センサー、コントロールユニット、ステアリングおよびブレーキコントロールシステム、さらには自動車のサブシステム全体にわたるボッシュのノウハウは、システム統合と自動車生産に関するメルセデス・ベンツの長年の経験によってスムーズに補完されます。プロジェクト内での役割分担も同様です。メルセデス・ベンツの役割は、共同開発された自動運転システムを車両に装備できる状態にすること、および必要な試験車両、テストベイ、試験フリートを提供することです。また、ボッシュは、都市部における自動運転のためのコンポーネントの開発・製造を担当しています。
プラットフォームにより、自動運転車両をタクシーフリートに統合することが可能
自動運転配車サービスの実証実験のために、ボッシュとメルセデス・ベンツは、ダイムラー・モビリティAG社をパートナーに迎えました。同社は、実証実験段階において欠かせないフリートプラットフォームの開発とテストを担当します。これにより、配車サービスを提供しようとするパートナー企業・団体は、自動運転(メルセデス・ベンツ)車両を彼らのサービスラインナップに組み込むことが可能になります。このプラットフォームは、自動運転車両と従来の車両の両方を、業務と保守も含めて管理するためのものです。2019年秋、サンフランシスコの湾岸地帯で、従来型メルセデス・ベンツ車両のためのアプリベースのモビリティサービスが稼働を開始しており、ドイツの首都ベルリンでも利用可能なサービスとなっています。
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