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車載インフォテインメント・システムにクラスDオーディオ・アンプを使用する理由【日本テキサス・インスツルメンツ】
2019年10月9日
ミドルクラス車やエントリーモデル車を買い求める消費者が増えている中で、現在の車の内部でナビゲーション、音楽やラジオ、ストリーミング・サービスを制御する新しいインフォテインメント・システム(図1)は、大型液晶ディスプレイ(LCD)タッチスクリーンの搭載やBluetooth®やWi-Fi®への対応が期待されています。本記事では、新しいタイプの車載インフォテインメント・システムのオーディオ・アンプで考慮すべき主な設計課題について述べます。
昨今の車に組み込まれている最新技術はどれも優れたものですが、次に挙げるような技術のいくつかは、エントリーモデル車や大衆車にも取り入れられるようになっています。
緊急ブレーキ・システム搭載の前方衝突警告機能:前方の車が急停止した場合に、自動的に車のブレーキをかけて衝突を防止
高度なパーキング・ガイド・システム:自動的にバック操作をして、縦列駐車エリアにうまく入庫
車線維持アシスト機能:車線をはみ出しているとシートが振動してドライバーに警告。白線内の走行を維持するように、自動的にハンドル操作をコントロール
図1:車載インフォテインメント・システム
サイズ
先進的な機能の中には、専用のプロセッサやセンサを必要とするものがあります。通常このような部品は、そのための個別のECU(Electronic Control Unit)に配置され、ECUボックスはダッシュボードの裏に取り付けられます。ダッシュボードの裏はスペースが非常に限られるため、Tier-1のECUサプライヤは、ラジオやオーディオ・アンプが配置されるインフォテインメント用ヘッド・ユニットのサイズを含め、ECUボックスの設置面積を縮小して、より多くの先進機能を組み込む方法を常に探求しています。
熱
機能を新たに追加すると、必要な処理電力も増加します。高性能のSoC(System-on-Chip)プロセッサは動作が高速なため、通常は消費電力が増え、発熱も多くなります。同じように、インフォテインメント・システムのLCDタッチスクリーンの大型化も、インフォテインメント用ヘッド・ユニット・ボックス内部で発生する熱に影響を受けるおそれがあります。そのため、Tier-1のECUサプライヤは、インフォテインメント用ヘッド・ユニット内部の熱負荷の総量を抑える方法を研究しています。
Tier-1のECUサプライヤは、インフォテインメント用ヘッド・ユニット内部にクラスABオーディオ・アンプを採用してきました。しかし、クラスABのアンプは、より新しいクラスDのアンプ設計と比較すると、効率が著しく劣ります(図2)。ヘッド・ユニット内部の熱源として、SoCに次いで2番目に大きいのが車載オーディオ・アンプであるため、このことは非常に重要です。ヘッド・ユニットのボックス内で発生する熱が増加すると、設計者はパッシブ放射ヒート・シンクを大きくするか、または設計にメカニカル・ファンを装備する必要があります。どちらにしても、全体的なソリューション・サイズを縮小するという目的に逆行します。
図2:クラスABとクラスDとの効率の比較(画像提供:http://www.audioholics.com )
TIの『TPA6404-Q1 』は、インフォテインメント用ヘッド・ユニットのサイズと熱負荷の課題に取り組むのに最適なアンプとして設計されました。
通常クラスDアンプは、約400kHzでアンプのオン/オフをスイッチングします。『TPA6404-Q1 』 クラスDアンプ設計ではスイッチング周波数が2.1MHzと非常に高いため、出力フィルタに非常に低いインダクタンス値を用いることが可能になります。図3でわかるように、400kHzアンプに必要な大型の10µH/8.2µHインダクタではなく、合金タイプの新しい3.3µHインダクタを使用した2.1MHz設計により、4チャネル・ソリューションの8個のインダクタがすべて、8.2µHインダクタ1個のみが占める面積と同じ範囲に収まります。
図3:インダクタのサイズの比較
4チャネル・アンプ・ソリューションの小型化につながる『TPA6404-Q1 』の別の特長は、「フロースルー」のオーディオ信号設計です。図4では、チップの片側からデバイスにアナログ入力信号が入り、デバイスの反対側でオーディオ信号が増幅されて、外付け出力フィルタへと送られます。
図4:『TPA6404-Q1 』のフロースルー設計
3.3µH合金インダクタをフロースルー設計と組み合わせることで、業界最小サイズの4チャネル車載クラスDアンプが生まれます。図5に示すように、『TPA6404-Q1 』のアンプと必要なパッシブ部品すべてを含んだソリューション全体のサイズは、わずか4.5cm2です。
図5:4チャネルクラスDアンプのソリューション・サイズ
ソリューション全体のサイズの縮小と、エントリーレベルのインフォテインメント用ヘッド・ユニット・システムで生じる熱の問題に注力する必要がある場合は、2.1MHz、クラスDアンプ『TPA6404-Q1』 がどんなふうに大きな助けになるか、詳細を調べてみましょう。設計を開始するにあたり、『TPA6404-Q1』の評価モジュール(EVM) や、回路図、設計ファイル、レイアウト・ガイドを利用することで、開発時間を短縮することも可能になります。
参考情報
+製品情報:『TPA6404-Q1』
+TIのトレーニング・ビデオはこちら
+技術記事(英語)“How switching above the AM band eases automotive Class-D amplifier EMC designs.”
+スピーカ・アンプの詳細はこちら
+インフォテインメントとクラスタの詳細はこちら
※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらの技術記事
(2018年1月8日)より翻訳転載されました。
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