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次世代自動車の安全性とパワートレインの要件に応えるべく、車載用マルチコア32ビット・マイクロコントローラのAURIX™ファミリを発表【インフィニオンテクノロジーズ】
2012年5月10日
安全性とパフォーマンスの両立:インフィニオン、次世代自動車の安全性とパワートレインの要件に応えるべく、
車載用マルチコア32ビット・マイクロコントローラのAURIX™ファミリを発表
独インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は5月10日、自動車業界のパワートレイン・アプリケーションとセーフティ・アプリケーションの要件に応える、32ビット・マルチコア・マイクロコントローラの最新ファミリAURIX™を発表しました。AURIX™のマルチコア・アーキテクチャは最大3つの独立した32ビットTriCore™プロセッサ・コアを搭載しており、業界最高の安全基準に対応すると同時に、市販のクラス最高のデバイスと比べて2倍のパフォーマンスを実現します。
優れたリアルタイム・パフォーマンス、組み込みの安全機能やセキュリティ機能により、AURIXファミリは、燃焼エンジン制御、電気自動車やハイブリッド自動車、トランスミッション制御ユニット、シャシー領域、ブレーキ・システム、電動パワーステアリング・システム、エアバッグ、先進の運転者支援システムなど、幅広い車載用アプリケーションで理想的なプラットフォームとなっています。また、AURIXで使用されるアーキテクチャによって、車載安全性インテグリティレベルの最高基準(ASIL D)に準拠した安全システムもこれまで以上に大幅に容易に開発できます。従来型のロックステップ・アーキテクチャと比べた場合、安全システムの開発作業は30%削減されると考えられ、これによって市場投入期間を短縮できます。さらに、余剰パフォーマンスを最大100%確保できることで機能性が向上し、将来の要件に備えてリソースのバッファも十分になります。また、盗難、不正利用、改ざんからの車載用アプリケーションの保護機能の向上について今後のセキュリティ要件に応えるため、AURIXファミリの各製品は組み込みのハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)を採用しています。
機能安全への取り組み
AURIXマルチコア・アーキテクチャは、監査済みのISO26262準拠のプロセスに基づき開発されており、アプリケーション・レベルでASIL Dに効率的に対応できるよう設計されています。このマルチコア・アーキテクチャでは、安全な内部通信バスや分散型のメモリ保護システムなどの最先端の安全技術を組み合わせた多様性のあるロックステップ・アーキテクチャで、最大2つのTriCore CPUが使用されます。革新的なカプセル化技術により、さまざまなソースから異なる安全基準(最大ASIL D)でソフトウェアのインテグレーションを行うことができるため、複数のアプリケーションやOSを単一のAURIXプラットフォーム上でシームレスに実現することが可能です。
パフォーマンスへの取り組み
AURIXマルチコア・アーキテクチャは、最大300MHz動作の3つの並列TriCore CPUと強力なジェネリック・タイマ・モジュール(GTM)を使用することで、低消費電力を維持しながらクラス最高のリアルタイム・パフォーマンスを実現します。AURIXマイクロコントローラは、90nm技術で製造されるTC1798との比較でパフォーマンスが最大100%向上しており、現在、市場で最高性能の車載用マイクロコントローラとなっています。こうした高いパフォーマンスをインフィニオンの現行のAUDO MAXマイクロコントローラ・ファミリと同等の消費電力で達成できます。
ドイツ・インゴルシュタットに本社を置くAudi AGのヨセフ・バスト(Josef Bast)氏(パワートレイン・エレクトロニクス開発部門責任者)は、次のように述べています。「クラス最高のリアルタイム・パフォーマンスと高処理能力を備えたAURIXマイクロコントローラ・ファミリを使用することで、CO2排出量の削減やエンジン性能の向上といった、次世代エンジン・プラットフォームの要件の高まりに対応できます」
セキュリティへの取り組み
セキュリティと保護に関する今後の要件を想定し、インフィニオンでは、プログラム可能なハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)をAURIXファミリに内蔵しました。このHSMは、ハードウェア・ベースのセキュリティ技術の世界的リーダーであるインフィニオンの開発した、ハードウェア・ベースによる最先端の暗号化技術を使用しています。このHSMを「組み込みチップカード」として使用することで、知的財産権(IP)の侵害、不正行為、ハッキングによる攻撃からより強力な保護が可能です。
高い拡張性
AURIXファミリでは、超ハイエンドからローエンドまで完全モジュール型のコンポーネントが包括的に提供されるため、長期にわたって柔軟な設計が保証されます。ポートフォリオは、8MBの組み込みフラッシュ(eFlash)による300MHzのトリプルコア・デバイス、4MBのeFlashによる200MHzのトリプルコア・デバイス、2.5MBのeFlashによる200MHzのデュアルコア・デバイスのほか、1.5MB、1MB、0.5MBのeFlashによる、130MHzと80MHzのシングルコア・デバイスおよびシングルコア・ロックステップ・デバイスで構成されます。パッケージ・オプションとしては、BGA-516パッケージとボール互換のBGA-292パッケージ(I/Oサブセット)、互換性のあるLQFP-176、LQFP-144、LQFP-100、LQFP-64の各種パッケージが提供されます。
AURIXの全ファミリ製品は65nm組み込みフラッシュ技術で製造されており、過酷な自動車環境で最高の信頼性を実現できるよう設計されています。最高品質による継続的な供給体制を確保するため、インフィニオンでは同一の認定を取得したプロセスとツールを用い、2つの異なる地域の生産拠点によるデュアル・フロントエンドの供給コンセプトを確立しています。
ツールとサポートについて
インフィニオンのツール・パートナー各社は、最適な設計フローを確実なものにし、マルチコア・ソフトウェア開発の労力とコストを管理するため、AURIXに適応したツール群を幅広く提供します。
この強力なツール・チェーンには、高度に最適化されたC/C++クロス・コンパイラや豊富な機能のデバッガがあり、効率的なデバッグやトレースが可能です。さらに、測定、キャリブレーション、診断用の専用ツールにより、パワートレインECUの開発に必要な機能が得られます。
充実したコンパイラや、タイミングやスケジューリングの定評ある分析ツールなどによって、正確性、パフォーマンス、拡張性など、マルチコア・ソフトウェア開発の一般的な問題のすべてが対応可能です。機能が充実したシミュレーション・パッケージが複数用意されており、AURIXデバイスを取り巻くお客様の回路では、モデルベースの開発を容易に進めることができ、Matlab Simulinkなどのモデリング環境との連携も容易です。
無償のTriCoreエントリー・ツールチェーンは、完全機能のGNU Cコンパイラ(デバッガを含む)で構成されます。インフィニオンのTriCore製品のWebサイト( www.infineon.com/freetools)からは、Eclipseベースの開発環境をダウンロードすることができます。
インフィニオンは、AUTOSARv4 MCALベースの低レベル・ドライバであるMC-ISARを提供し、近日登場予定のv3.2をサポートします。これによって、制御ユニット・レベルでAUTOSARベースの開発プロセスをフルに活用した設計が可能です。AUTOSARドライバは、インフィニオンが2005年より開発している技術をベースとしています。インフィニオンの社内のソフトウェア開発は、最適化され、認定を取得したソフトウェア・リリースを保証するため、CMMレベル3規格に準拠しています。ASPICE認証の導入は現在進行中です。
供給状況
LQFP-176パッケージ(TC275T)とBGA-292パッケージ(TC277T)による、AURIXファミリの4MB eFlash製品を使用した200MHzトリプル・コア・リード・デバイスの早期エンジニアリング・サンプルを、現在主なお客様に提供中です。一般のサンプル出荷開始は、2013年の上半期を予定しています。第一弾製品の認定取得は、2013年の下半期を予定しています。
詳細情報
AURIXおよびその他のインフィニオン製マイクロコントローラについての詳細は、下記URLをご参照ください。
www.infineon.com/aurix
www.infineon.com/microcontroller
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、 エネルギー効率、 モビリティ、 セキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2011会計年度(9月決算)の売上高は40億ユーロ、従業員は世界全体で約2万6,000人です。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場、米国では店頭取引市場のOTCQXに株式上場しています。
インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト : http://www.infineon.com
日本法人サイト : http://www.infineon.com/jp
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