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燃料電池自動車の国内市場導入と水素供給インフラ整備に関する共同声明【トヨタ自動車など13社】

トヨタ自動車株式会社(社長:豊田 章男)、日産自動車株式会社(社長:カルロス・ゴーン)、本田技研工業株式会社(社長:伊東 孝紳)、JX日鉱日石エネルギー株式会社(社長:木村 康)、出光興産株式会社(社長:中野 和久)、岩谷産業株式会社(社長:牧野 明次)、大阪ガス株式会社(社長:尾崎 裕)、コスモ石油株式会社(社長:木村  彌一)、西部ガス株式会社(社長:田中 優次)、昭和シェル石油株式会社(社長:新井 純)、大陽日酸株式会社(社長:川口恭史)、東京ガス株式会社(社長:岡本 毅)、東邦ガス株式会社(社長:佐伯 卓)の13社は、次世代自動車の1つである燃料電池自動車(FCV)の2015年国内市場導入と水素供給インフラ整備に向けて、以下の声明を共同で発出する。

  1. 自動車メーカーは、技術開発の進展により燃料電池システムの大幅なコストダウンを進めつつあり、FCV量産車を2015年に4大都市圏を中心 とした国内市場への導入と一般ユーザーへの販売開始を目指し、開発を進めている。導入以降、エネルギー・環境問題に対応するため、更なる普及拡大を目指 す。
  2. 水素供給事業者は、FCV量産車の初期市場創出のため、2015年までにFCV量産車の販売台数の見通しに応じて100箇所程度の水素供給インフラの先行整備を目指す。
  3. 自動車メーカーと水素供給事業者は、運輸部門の大幅なCO2排出量削減に資するため、全国的なFCVの導入拡大と水素供給インフラ網の整備に共同で取組む。これら実現に向け、普及支援策や社会受容性向上策等を含む普及戦略(注)について官民共同で構築することを、政府に対して要望する

注) 民間13社では、4大都市圏(首都圏、中京、関西、福岡)を対象に、当面の具体的取り組みとして、FCV量産車の初期需要創出とこれを可能とする水素供給インフラの最適配置を含む普及戦略について、地方自治体を始めとする幅広い関係者と議論を開始してまいります。



【 声明の背景 】
地球温暖化問題への対応、環境・資源制約の克服は世界共通の喫緊の最重要課題である。
とりわけ自動車分野においては、化石燃料が大量に消費され、温室効果ガスであるCO2の大量排出の大きな要因となっている。
2008年度の日本のCO2総排出量は12億8千万tであったが、このうち16%にあたる2億tが自動車から排出されている。
政府はCO2を含む温室効果ガスの排出量を1990年対比で2020年までに25%、2050年までに80%の削減目標を設定しようとしており、限りある化石燃料を有効に使う省エネルギーとCO2排出量の大幅削減を実現する次世代自動車の早期実用化が期待されている。


次世代自動車としては、既に、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車の市場導入が開始されているが、更なる選択肢の一つである燃料電池自動車(FCV)の投入により、次世代自動車の導入拡大を一層加速することができる。


FCVは一般の内燃機関自動車と較べ、エネルギー効率が高く、走行時に水しか排出しないなどの利点がある。
FCVの燃料となる水素は、石油、天然ガス、石炭など様々な種類の化石エネルギー資源からの転換や、太陽光や風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの利用によっても製造が可能で、多様なエネルギー源を利用できる利点がある。

加えて、わが国が世界に先駆けてFCVの本格的な普及市場を構築することは、わが国産業の国際競争力の強化と雇用創出に寄与し、資源・環境制約の克服と経済成長の両立を実現できるものである。
以上の観点から、FCVの市場導入と、水素の自立的かつ安定的なエネルギー供給構造の実現は、持続的成長可能な低炭素社会の実現に寄与するものと言える。


一般ユーザーによるFCVの利用拡大には、市販車両並の販売価格の実現、ユーザー利便性を確保した全国的な水素供給インフラの構築、安価な水素燃料による安定供給の実現が不可欠である。特に、FCVの普及開始にあたっては、これに先駆けて、水素製造・出荷・輸送設備や水素スタンド等の水素供給インフラの先行整備が不可欠である。
そのためには、水素供給インフラの技術開発と法規制の見直しによる、より一層のコストダウンが必要な状況にある。
また、水素製造・出荷・輸送設備から水素スタンドまで含む水素供給インフラ全体についての技術実証や、社会受容性を確認するための社会実証試験も必要である。


これら課題解決に向けた国の取り組みとしては、昨年6月、「エネルギー基本計画」の見直しが閣議決定され、この中で、2015年からの燃料電池自動車の普及開始に向け、水素供給インフラの整備支援を推進し、水素エネルギーを活用した社会システムを中長期的に構築する旨、方針が示された。
また、同計画では、実現に向けて、水素供給インフラの大幅なコストダウンが課題であり、規制への対応、技術開発、実証的取り組みを強化する旨が、具体的取り組みとして示されている。

また、内閣府行政刷新会議においても規制改革対処方針が示され、2015年のFCV普及開始に向け、その事業化を阻害している規制について再点検が行われた。
関係省庁間での調整の上、主要な規制見直しを2012年度までに完了することを示した工程表の作成を昨年末に完了頂き、公表されたところである。

この度の本共同声明の発出は、これらの状況を踏まえ、本格的なビジネス検討をスタートすることを提示するものである。

当面の具体的取り組みとしては、自動車メーカーと水素供給事業者による民間13社を中心に、4大都市圏毎に分科会を設立し、FCV量産車の初期需要創出とこれを可能とする水素供給インフラの最適配置を含む普及戦略について具体的な検討を進めている。

FCV量産車の初期需要創出にあたっては、2015年のFCV販売開始前に、ユーザー利便性を確保した水素供給インフラを、4大都市圏を中心に先行的に配備する必要がある。

今後は、4大都市圏を中心とした自治体にもご協力頂き、地域の特徴を活かしつつ、より具体的な整備計画を立案したいと考えている。
こういった検討を通じ、全国的なFCV普及に向けた戦略策定にあたっての提案を行う計画である。

水素供給インフラの先行整備のイメージ図

以上

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