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新型RAV4 4WD性能向上の秘訣【トヨタ自動車】

2019年4月10日


RAV4は1994年に誕生し、現在まで180を超える国と地域で販売され、グローバルでの販売累計は約907万台(2019年2月末)になる人気モデル。中でもアメリカでは、2018年は全メーカーのSUVの中で最も多く販売され、2019年2月末での累計台数は381万台にのぼる。
新型RAV4の開発コンセプトは「Robust Accurate Vehicle With 4Wheel Drive」(SUVらしい力強さと使用性へのきめ細かな配慮を兼ね備えた4WD)。今回、4WD性能が大きく向上したわけだが、その裏には数々の秘訣があった。チーフエンジニアの佐伯 禎一(さえき よしかず)は、「関係者全員がいいクルマづくりに向け、仕事の領域を越えた現場力を発揮したからだ」と言う。関係者のインタビューから、その秘訣に迫る。

 

 

Adventure ダイナミックトルクベクタリングAWD搭載

秘訣1 世界初「ダイナミックトルクベクタリングAWD」の開発
「FFベースの4WDでも突き抜けろ!」情熱が社内の逆風を押し返した

Adventure

トヨタはフルタイム4WDを強みに、世界で圧倒的な4WD車の販売台数を誇っているが、FFに切り替え可能な4WD車では他社にリードされている。「FFベースでも突き抜けたい」。4WDの技術者たちは、2012年、後輪の左右の駆動力を細かく制御し、どんな路面でも安心して走れるFFベースの4WDを構想。しかし、当時の社内の要望は「安く・軽く」。従来に比べ、高額で重く、複雑な機構を持つ新4WDは「過剰な技術」の声が多く、完全なアウェイだった。「とにかく、新4WDの理解者を増やそう」。目標はSUVで、GA-Kプラットフォーム初採用となる新型RAV4への搭載。これが最後のチャンスかもしれない。現場の力を借り、自分たちの手で実験車を製作し、多くの人たちに新4WDの良さを体験してもらった。更に、4WD走行が不要と判断した時に、後輪への動力伝達を切断する「ディスコネクト機構」で燃費向上を実現し、「からくり」を利用した構造とすることで原価低減をも両立させた。その結果、徐々に応援者が増え、2015年、新型RAV4への搭載が決まった。
新型RAV4は佐伯が求める「いつでも・どこでも・どこまでも」走りの楽しさを感じてもらえるクルマに仕上がった。

秘訣2 北海道、士別試験場 第6周回路の活用
メンバーの力と北の大地を駆使して挑んだ、新型RAV4開発の聖地

「夏でも使える滑りやすい路面はないか」。新型RAV4の最大の魅力は4WD性能。チーフエンジニアの佐伯は、走破性向上のため、雪道を通勤し極寒の地で性能試験を行う士別試験場のメンバー、言わば「冬のプ口」に、低中速でも車両の様々な挙動が分かる滑りやすい雪道を、「夏」に再現する走行テストを求めた。
その言葉にメンバーたちが思い浮かべたのが、地図には存在しない「第6周回路」、走ると土ぼこりが立ち、前が見えなくなる、未舗装の赤土の林道だった。雨が降るとぬかるみ、溝ができる。天候に左右されやすいコースだが、砂利で土ぼこりを抑え水はけを良くすれば、要望に応えられると考えた。荒れたコース上の倒木を除き、歩きながら手作業で溝や穴を埋め、砂利を敷いた。こうして低中速で走行できる滑りやすい路面が完成。士別の豊富なコースを駆使し「夏冬通じて」新型RAV4を鍛え上げた。
「雪道をはじめ、あらゆる道で楽しいクルマにできた」。メンバーたちは誇らしげに言う。「士別のメンバーを、季節を問わず、完成まで車両開発に参加させたい」という佐伯の思いの達成とともに、北の大地・士別試験場は新型RAV4の「開発の聖地」となった。

士別試験場 開発関係者

秘訣3 3人の「技術開発の匠」の活躍
五感で性能を評価し、開発者たちの想いを結実

「もっといいクルマづくり」には図面や数値では表現できない人間の「五感」が不可欠。社内には、技術の各領域から選ばれた「技術開発の匠」と呼ばれる技能者がいる。彼らは自身の磨かれた感性とセンサーで、クルマの静的・動的性能を評価する。

「料理で言えば、素材の魅力を引き出す『味付け』が仕事。出来たモノをチェックするだけでは間に合わない。企画にも携わりその想いを感性で捉え、開発者に伝える」。新型RAV4では3人が連携し、自分の領域を越えてフィードバックした。時に相手からの反発もあったが、粘り強く理解を求めた。「特に新4WDの嬉しさは、技術はもちろん、製造や営業など多くの人たちに共有してもらえた」。士別および新4WD担当者とも連携し、数多くの関係者試乗会を行った。「お客様が日常で最も使う30~60km/hで、4輸がしっかり接地して『しなやかでキビキビした走り』を体感してもらうことができた」。

Adventure

3人は今回の開発を、「技術者と技能者が『もっと良くしたい』の高い意識でまとまり、大きなやりがいを感じたと同時に、自分たちをバックアップしてくれた多くの開発関係者に感謝したい」と振り返った。








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