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シルクウェイラリー2018、2台そろって完走【日野自動車】
2018年8月1日
シルクウェイラリー2018、2台そろって完走
~ダカールラリー前哨戦としての確かな手応えを実感~
ロシアで開催されたシルクウェイラリー2018(7月20日~27日)は、菅原照仁ドライバーが6位、菅原義正ドライバーが9位でゴールし、無事2台とも完走を果たしました。ダカールラリーの前哨戦として挑んだシルクウェイラリー2018。日野チームスガワラは、この実戦を通じて、ダカールラリー2019に向けて、確かな手応えを感じることができました。今回は、シルクウェイラリー2018のステージ1からゴールまでをレポートします。
モスクワの赤の広場で行われたゴールセレモニーでポディウムに登壇する日野チームスガワラと、
日野の現地販売代理店である日野ロシアとディーラーの皆さん
<ルートマップ>
7月21日
ステージ1 アストラハン~アストラハン
シルクウェイラリー2018初日のステージ1は、砂丘や丘陵地帯など変化に富むコースで幕を開けました。凸凹でトリッキーなハイスピードコースを2台の日野レンジャーは快走。今回のシルクウェイラリーで初めて1号車の菅原義正ドライバーのナビゲーターを務めた櫻井ナビゲーターも、ミスコースなく、無事ゴールしました。
7月22日
ステージ2 アストラハン~エリスタ
カルムイキア砂漠の中心部を走り、マラソンステージとなったステージ2。メカニック陣はスタート地のアストラハンに留まるため、ドライバー、ナビゲーターは車両の整備を自力で行うステージとなりました。日野レンジャー1号車は、途中、泥地にはまったMAZ(ベラルーシ)のトラックを、もう一台出場しているMAZのトラックと一緒に引っ張るなど、ライバルチームを助けながらも、自身のペースを崩すことなく、13位でゴールしました。
7月23日
ステージ3 エリスタ~アストラハン
マラソンステージの復路は、ドライビング技術、ナビゲーションが試されるハイスピードなステージとなりました。悪天候によりCP1以降がキャンセルとなり、当初の予定より短いコースとなりました。
7月24日
ステージ4 アストラハン~アストラハン
今大会2回目のループコースとなったステージ4。ステージ1と同じようなエリアを走り、また同じアストラハンのビバークに戻るというコース設定でした。ハイスピードかつバンピーなコースで、ステージ1の時にできた多くの轍が、ナビゲーターの判断を迷わせるコースとなりました。
7月25日
ステージ5 アストラハン~ボルゴグラード
ステージ5は、今大会最長のSS(スペシャルステージ)となり、前半は、凸凹のバンピーなコース、後半はスピードに乗るコースで農園を抜けてゴールするステージでした。狭い木々の道を走りぬいた日野レンジャー2号車は、リアのリーフスプリングを破損。メカニック陣は、その交換に対応するため、夜通し整備作業に追われました。
7月26日
ステージ6 ボルゴグラード~リペツク
ステージ6は、SSとリエゾンを合わせた総距離が今大会で最長となるステージで、砂地や草原、畑など変化に富んだコースとなりました。快走を続ける菅原照仁ドライバーの2号車は、コーナーパネルを破損するなどダメージを負いながらも6位でゴール。
7月27日
ステージ7 リペツク~モスクワ
最終ステージであるステージ7は悪天候のため、CP1がキャンセルとなり、SSが190㎞から80㎞と短縮されましたが、コマ図(主催者から配布される各ステージのルートブック)の指示が細かいトリッキーなコースで、短いながらもナビゲーションの難しいコースとなりました。無事2台とも完走し、モスクワの赤の広場で行われたゴールセレモニーでは、KAMAZ (ロシア)に分け入り6位でゴールをした2号車、当初からの目標であった完走を無事果たした1号車がそれぞれ紹介され、ポディウムに登壇。応援に駆け付けたゲストの皆さんと喜びを分かち合いました。
菅原義正/1号車ドライバー
個人的な目標、チームとしての目標を達成することが出来ました。
26年前に、パリをスタートし、北京でゴールする「パリ~モスクワ~北京」というラリーに参戦しましたが、その時にモスクワを走りました。その時の思い出が蘇り懐かしく感じました。最終ステージはモスクワ市内に入るので、通行の規制があったり、観客がいたりと難しく、最後まで気が抜けませんでした。しかし、無事完走し、皆さんと共にそれを成し遂げることができて、嬉しく思います。
櫻井亜仁/1号車ナビゲーター
全てがとても面白い経験で、終わってみたらあっという間でした。今は無事終わりほっとしています。ナビゲーターとしての自分の弱点が見えたので、ダカールラリーに向けては、その部分をしっかり勉強したいと思います。
菅原照仁/2号車ドライバー
途中、SSがキャンセルになってしまったこともありましたが、概ね天候も大崩れせず、しっかり車両のテストができたと思います。
今回は、車両、体制が新しくなりました。私がハンドルを握った日野レンジャー2号車は、まったく新しいコンセプトで製作した車両ですが、今回のラリーで、戦闘力と信頼耐久性を確認することができました。上位陣とのタイム差を気にして走っていましたが、KAMAZ(ロシア)のホームコースでありながら遜色ない走りが出来たと思います。また、体制面では、ナビゲーターも新加入しましたし、メカニック、サポートメンバーも増員された新しいチームのチームワークを向上させることもできました。全体的に非常に手ごたえを得ることが出来たラリーでした。シルクウェイラリーは、参戦の目的に照らし合わせると、100点満点以上の結果だと思います。
髙橋貢/2号車ナビゲーター
ダカールラリーに向けた実戦テストとして、競合との実力差などの見極めも意識しながら走りましたが、KAMAZやMAZなど上位陣の走りにも肉薄することができました。車両性能とチーム体制どちらもライバルに劣らないことが分かりました。皆で力を合わせてダカールも上位をねらいます。
鈴木誠一/テクニカルアドバイザー
1号車、2号車共に大きな問題もなく、新型2号車もよく走ってくれました。日本帰国後はドライバーと相談し、ダカールラリーに向けてしっかり準備したいと思います。
鷹取英明/メカニック・リーダー
メカニックが増えた新体制で初めて臨んだシルクウェイラリーでしたが、皆、自分の役割を理解し、頑張ったと思います。今大会は当初の予定から短くなり、7ステージでしたが、実際に整備を行ったのは、マラソンステージと、最終ステージを除き5ステージでした。長いラリーではありませんが、2台同時に整備をする経験を積むことができ、皆、ダカールラリーのイメージをつかむ良い機会になったのではと思います。
鈴木慎太郎/メカニック・リーダーサポート
人数が多く、大変な部分もありましたが、一人も怪我することがなく無事に終わり良かったと思います。私は、整備というよりは、現場のメンバーの意見の吸い上げ、まとめ役をする立場にあったのですが、対応できなかった部分、至らなかった部分がありましたので、ダカールラリーに向けて改善したいと思います。
髙橋弥/1号車メカニック
何事もなく終わりほっとしていますが、色々できなかったことがあり、後悔もあります。日々のルーティーンの作業をやっていく中で、次に何をすべきか、という部分がなかなか追いつかないことがありました。違う部署、会社から集まったメンバーで構成されたチームですが、これほど「仲間」を意識したことはなかったと思います。
北川親二/2号車メカニック
ビバークに戻ってくる車両の状態を見て、非常に車を酷使しているということがわかり、シルクウェイラリーの過酷さを実感しました。長いようで短い1週間でしたが、やり遂げたという達成感と、ダカールラリーに向けて決意を新たにすることができた1週間でした。
望月裕司/2号車メカニック
私にとって全てが初めての体験でしたが、ラリーを通じて成長することができたと思います。ラリーの環境下でも集中して仕事をすることができましたし、生活面においても様々な経験ができました。担当した2号車について、髙橋ナビゲーターからは、今回のラリーで、セッティングはベストだというお言葉を頂いたので、日本に戻ってからは、細かい部分を詰めて、ダカールラリーに備えたいと思います。
石田一輝/1号車メカニック
普段は事務方の仕事をしているため、夜中に整備をするという経験もなく、思った以上に体力的にきついと感じましたが、終わってみるとあっという間でした。ダカールラリーに向けて、体力をつけなければならないこと、車両の知識をより習得しなければならないことが分かり、良い準備になったと思います。
石崎史典/2号車メカニック
前回のダカールラリーに参戦したメカニックの方から「シルクウェイラリーが一番大変だ」と聞いてました。実際、私の予想をはるかに超えた車の壊れ方、汚れ方をして、ビバークに戻ってくるのですが、実際にその車両を触ってみて、レースでの車両の使い方など、気づく点がたくさんありました。連日、車両の汚れがひどく、まさに泥との闘いの一週間でした。
本田優/1号車メカニック
準備期間を含めて3週間という長期間の海外の滞在は初めてでしたが、環境が過酷で大変でした。また、仕事面では、自分の担当部分の仕事をきちんと完遂しないと、チームとしてうまく回らないなということを実感しました。ダカールラリーに向けて課題を見つける良い機会だったと思います。
名和大介/2号車メカニック
5日間の整備は、本当にあっという間で短かったですが、限られた時間の中で仕事をこなす大変さと楽しさを味わうことが出来ました。ダカールラリーに向けて、本当に良い勉強ができたなと思います。
小田大伸/1号車メカニック
レース期間中は、睡眠が思うようにとれず、つらい部分もありましたが、それを越えるような貴重な経験が出来ました。また、チームメンバーにも恵まれ、非常に感謝しています。
田中宏治/サポートカードライバー(日本レーシングマネージメント)
中国ステージがキャンセルとなり、ロシア国内のみの短いレースでしたが、新型レース車両の改良点や、新型サポートトラックの改良点、そして新しいチームメンバーのトレーニングとしても、良い結果でレースを終える事ができたと思っています。
毛塚麻由美/サポートメンバー (日本レーシングマネージメント)
今回のシルクウェイラリーでは、2号車の思わぬ箇所が破損し、スペアパーツの準備が間に合っていないところがありました。ダカールラリーでは、そのようなことがないよう、しっかり準備をして臨みたいと思います。
安藤瑠美/サポートメンバー (日本レーシングマネージメント)
初日のSSスタートを見に行く機会をいただき、実際に日野レンジャーが猛スピードでピストを駆ける姿を目にして、ラリーコースの壮大さに驚いたのと同時に、改めてドライバー、ナビゲーターの凄さ、大変さを感じることが出来ました。サポート業務の面では、先輩方にアドバイスやフォローをしてもらうことの方が多く、自ら行動することがあまり出来ず、至らない部分があったと反省しています。次のダカールラリーでは今回の反省点を改善し、自ら率先して行動できるよう努めたいと思います。
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