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【脳波を使った生体認証】 金沢工業大学の研究グループが画像刺激を用いた個人認証で98%の認証精度を実現。指紋認証や虹彩認証に替わるセキュリティーの高い次世代個人認証方式として期待【金沢工業大学】
2018年7月18日
ロボット制御や生体認証に脳波を活用
金沢工業大学の山下正人さん(大学院情報工学専攻博士前期課程1年)と中沢実教授(情報工学科) 、西川幸延教授(基礎実技教育課程)の研究グループは、画像刺激を用いた脳波解析による生体認証方式で98%の個人認証精度を実現しました。当研究成果は10月5日からニュージランドで開催される国際会議ICMU2018(International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking)で発表されます。
脳波は外部からの刺激によって変化するため、指紋認証や虹彩認証に替わるセキュリティーの高い次世代個人認証方式として期待されています。
【当研究の経緯と社会的意義】
金沢工業大学工学部情報工学科中沢実教授の研究室では、脳波を用いたロボットハンドの制御や車いすロボット制御システムの開発に取り組んできました。車いすロボット制御は利用者が頭の中で目的地を指定するだけで車いすが自律的に移動するもので、最終的には利用者が初めて訪れる施設であっても脳波から利用者の意図を読み取り、容易に目的地まで辿りつくシステムの実現をめざしています。
この脳波を用いた車いすロボット制御システムは、AIの一手法であるディープラーニングを用いて、多くの利用者の脳波データから共通解を見出し、人の違いがあっても機器の制御を可能にする技術で、すでに80%程度の精度を実現しています。こうした研究成果が評価され、中沢教授は、情報処理学会が主催する研究会およびシンポジウムにおける研究発表のうち、特に優秀な論文の発表者に授与される2015年度山下記念研究賞を受賞しています。
このたびの研究は、個人毎の脳波特性によって埋めきれなかった残り20%の部分に着目し生体認証に利用しようとしたものです。
現在、生体認証では指紋認証や虹彩認証がセキュリティーの高い認証方式として急速に普及していますが、カメラの性能が向上したことで容易に読み取られる可能性がでてきています。指紋や虹彩は読み取られてしまうと自分の意思では変更できず、セキュリティー上、大きな問題が生じます。 その点、脳波は身体の外部には露出されていない内部情報であり、専用の機器を装着しなければ測定することはできず、脳波を盗難されてしまう可能性は、指紋認証や虹彩認証に比べ、低いとされます。また仮に脳波が盗まれたとしても、外部からの刺激によって脳波は変化するため、認証用の刺激を変えることで、セキュリティーを保つことが可能です。
今回、研究グループは外部からの刺激としてトランプを使った画像刺激を用いました。ハートのA、グローバーのA、ハートのJ、クローバーのJ、Jokerの5種類をランダムにモニターに表示させる方法で31名の男子大学生の被験者に14箇所の電極を設置して脳波を測定。得られた脳波はいくつかの手法でノイズを除去し、それぞれの電極間の脳波に関する相関をとることで、個人の特定を98%まで高めることに成功しました。
研究グループでは、今後、性別や年齢の違う被験者に対して検証を進めることで、認証精度をより高めていく考えです
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