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ベクトル信号発生器 MG3710Aの 販売を開始 【アンリツ】

2012年4月4日

1台の信号発生器で、最大4種類の信号出力を実現

アンリツ㈱(社長 橋本 裕一)は、信号発生器の新機種を開発。新たに、ベクトル信号発生器MG3710Aの販売を2012年4月4日から開始いたします。

MG3710Aは、各種移動通信システム、無線LANシステム、デジタル放送システム、カーエレクトロニクスや公共・業務用で利用されている狭帯域無線通信システムなどの受信・送信特性評価で必要とされるRF信号を出力できるベクトル信号発生器です 。

今回開発したMG3710Aは、RF[※1]信号の出力端子を最大2セット搭載できます。1つの出力端子で同時に2種類の変調[※2]信号を出力できることから、最大4種類の試験用RF信号の出力が可能。複数の信号発生器が必要な試験が1台のMG3710Aで行えます。

携帯端末では、LTE/W-CDMAだけでなくISDB-T/無線LANなど複数の機能が搭載されるなどマルチシステム化が進展しています。また、LTEの次世代規格であるLTE Advanced[※3]ではMIMO[※4]技術に加え、異なる周波数帯域の複数の搬送波[※5]を束ねて通信速度を高速化するキャリアアグリゲーション[※6]機能が要素技術の一つとなっています。
このため、各種無線通信システムの開発や製造では、複数の試験信号が必要となっています。

アンリツは今回、1台で最大4種類の異なる試験用RF信号の出力を可能とするMG3710Aの販売を開始することにより、マルチシステム対応携帯端末・基地局、アンプはもちろんデジタル公共・業務無線機器などの開発・製造コスト削減に貢献いたします。

開発の背景

携帯端末ではマルチシステム化が進展し、最先端の機種ではLTE・W-CDMAの他、デジタル放送のISDB-Tや無線LAN、GPSなど複数の機能が搭載されています。また、セルラ基地局も同様であり、LTE・W-CDMA・GSMなどマルチシステム化が進んでいます。さらに、LTEの次世代規格であるLTE Advancedでは、MIMO技術に加え、異なる周波数帯域の複数の搬送波を束ねて周波数帯域を広帯域化し、通信速度を高速化するキャリアアグリゲーション機能が要素技術の一つとなっています。

このため、上記通信システムの評価では、複数の試験信号が必要とされています。

そこでアンリツは、従来から提供しているベクトル信号発生器の後継機種として、MG3710Aを開発いたしました。

MG3710Aは、最大4種類の試験用RF信号を出力できます。これにより、1台のMG3710Aで、マルチシステムの携帯端末・基地局設備、次世代規格として研究開発が進展しているLTE Advancedなどの評価で必要とされるRF信号を出力できます。

製品概要

MG3710Aは、100kHz~2.7GHz、100kHz~4GHz、100kHz~6GHzの周波数帯域で運用される各種移動通信システム(LTE・W-CDMA・GSM・CDMA2000など)、無線LAN、デジタル放送設備、狭帯域無線通信システムなどの受信・送信特性評価で必要とされるRF信号を出力できるベクトル信号発生器です。

MG3710Aは、RF信号の出力端子を最大2セット搭載できます。1つの出力端子で同時に2種類の信号を出力できることから、最大4種類の試験用RF信号の出力が可能。複数の信号を使用する試験の信号源として利用できます。

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主な特長

■ 豊富な試験用RF信号の発生が可能
MG3710Aは、LTEに加え、第3世代のW-CDMA/HSPA、CDMA2000、第2世代のGSM、PDC、さらには無線LAN、Bluetooth®、デジタル放送のISDB-Tなどに対応した波形パターンを標準で内蔵しています。各種波形パターンを選択することにより試験用信号を出力できます。また、ライセンス販売しているIQproducerを利用することにより、任意に波形パターンを生成可能。新たな試験用RF信号を出力させることができます。

■ MIMO、キャリアアグリゲーション機能に対応可能
HSPAやLTEでは通信速度の高速化を実現するためにMIMOが搭載されています。また、LTE Advancedでは将来的に1GHzでの高速通信が目標とされており、その要素技術として、キャリアアグリゲーション機能の開発が進展しています。
MIMO、キャリアアグリゲーションの評価においても複数のRF信号が必要であり、MG3710Aを利用することにより、信号発生器の設備コストを大幅に低減できます。

■ 優れた汎用性
MG3710Aは、従来機種のMG3700Aの基本性能を強化し、ACLR[※7]、SSB位相雑音[※8]性能を改善しました。これにより、高品質なRF信号の出力が可能となり、広帯域化が進展している移動通信システムからカーエレクトロニクスやデジタル公共・業務用無線などの狭帯域通信システムまで幅広く対応できます。

■ 用途に応じた試験が可能
MG3710AのRF信号出力と出力周波数帯域はオプションで選択できます。また、BER[※9]測定機能やAWGN[※10]発生器などもオプションで内蔵可能。用途に応じてMG3710Aの機能を構成できます。

対象市場・用途

■ 対象市場:携帯端末、通信機器、基地局、電子部品メーカー
■ 用途:マルチシステム対応スマートフォン/携帯端末および基地局設備、無線LAN・Bluetooth®機器、デジタル放送機器、カーエレクトロニクス・公共・業務用無線通信機器の開発・製造・保守

※用語説明

[※1] RF:Radio Frequency
電磁波や電気信号のうち、無線通信に利用できる周波数のもの。

[※2] 変調
無線通信システムでは、情報を電気信号に変換して伝送する。変換した電気信号を電波に乗せるための処理を変調と呼ぶ。

[※3] LTE Advanced
ITU(国際電気通信連合)で承認された第4世代の移動通信規格。世界規模で普及しているLTE(Long Term Evolution)をさらに高速化し、静止/低速移動時で最大1Gbps、高速移動時で最大100Mbpsを目指している。現在3GPPで国際標準規格の策定が進められている。

[※4]  MIMO:Multiple-Input Multiple-Output
複数のアンテナを組み合わせてデータ送受信の帯域を広げる無線通信技術。

[※5] 搬送波
通信において情報を伝送するための信号。

[※6]  キャリアアグリゲーション
無線通信システムでは、帯域幅が大きければ大きいほど、高速に大容量のデータを伝送できる。キャリアアグリゲーションは、複数の搬送波を束ねて帯域拡張を実現する技術である。ある通信事業者が20MHz幅、10MHz幅を持っていた場合、本技術により30MHz幅の帯域利用が可能となり、通信時のピーク速度や平均速度が向上する。

[※7] ACLR:Adjacent Channel Leakage Power Ratio
搬送波と近接する通信チャネルに漏洩する電力比。ACLRにより、近接する通信チャネルに与える妨害の程度が推定できる。

[※8] SSB位相雑音
SSBはSingle Side Band(搬送波単側波帯)の略。信号発生の原理上、必ず含まれる余分な周波数成分。

[※9] BER:Bit Error Rate
ランダムに伝送したデジタルデータを復調した際に、送ったデータの中に含まれる誤りデータの比率。

[※10] AWGN:Additive White Gaussian Noise
実環境で発生するノイズに近いノイズ。


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