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高弾性・高耐衝撃性プリプレグの開発について【帝人】
2018年2月15日
炭素繊維とCNTの複合化によるハイブリッド技術
高弾性・高耐衝撃性プリプレグの開発について
帝人グループで炭素繊維・複合材料事業を展開する東邦テナックス株式会社(本社:東京都千代田区、社長:乾 秀桂)は、このたび、当社が航空宇宙用途向けに展開する高強度・高弾性率の炭素繊維と、カーボンナノチューブ(CNT)との複合により、高い弾性率と耐衝撃性を両立するプリプレグ(炭素繊維シートに樹脂を染み込ませたもの)を開発しました。
高弾性・高耐衝撃性プリプレグ
1.開発の背景
(1)プリプレグは、炭素繊維複合材料(CFRP)の中間材料として使用されるもので、
航空機や自動車、インフラ、レジャーなど、多岐にわたる用途において採用が拡大しています。
(2)CFRPに求められる特性は用途により大きく異なるため、炭素繊維と樹脂の組み合わせ、
成形方法などの技術開発が進められていますが、その中で、成形品が衝撃を受けた際などに
炭素繊維シートから樹脂が剥離し、弾性率などの物性が低下することが問題となっています。
(3)炭素繊維と樹脂の剥離を防止する方法の 1 つとして、炭素繊維とCNTの複合化の
研究が進められていますが、CNTは分子同士の結束が強く、樹脂内で均一に分散しにくいため、
プリプレグの品質が安定しないという課題がありました。
2.新規プリプレグについて
(1)このたび当社が開発した高弾性・高耐衝撃性プリプレグは、特殊な表面処理により
分子を分散させたCNTを樹脂に添加し、その樹脂を、当社が航空宇宙用途向けに
展開する炭素繊維に含浸させたものです。
(2)炭素繊維とCNTの複合により、このプリプレグを用いて成形したCFRPの弾性率や
耐衝撃性は向上し、CNTが均一に分散することで炭素繊維と樹脂の剥離が抑制されるため、
CFRPの耐久性向上も実現しました。
(3)この高弾性・高耐衝撃性プリプレグは、ミズノ株式会社
(本社:大阪府大阪市、 社長:水野 明人)が新たに展開する
ゴルフクラブのシャフトへの採用が決定しています。
(4)ゴルフクラブのシャフトにこのプリプレグを使用することにより、
同じ肉厚の従来品に比べて約 30%の軽量化、および弾性率の高さから、ボールが当たる際に
適度にしなる設計を実現することができます。また、衝撃強度も 10%以上向上し、
スイング時のブレを低減することにも成功しています。
3.今後の展開
(1)帝人グループは、このたび開発した高弾性・高耐衝撃性プリプレグの用途開発を加速し、
軽量化や高性能化の競争が激化するハイエンドスポーツレジャー分野や航空機分野などでの
採用拡大を図っていきます。
(2)また、炭素繊維事業における川上から川下に至るまでのソリューション提案力、
およびグローバル市場における顧客対応力を強化していきます。
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