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電気自動車レースの最高峰「フォーミュラE」にフルSiCパワーモジュールを提供【ローム】

2017年12月1日

電気自動車レースの最高峰「フォーミュラE」にフルSiCパワーモジュールを提供
大幅な小型・軽量化を実現し、マシンのさらなる性能向上に貢献


ローム㈱(本社:京都市)は、12月2日に開幕する世界最高峰の電気自動車レース「FIAフォーミュラE選手権2017-2018(シーズン4)」に参戦するヴェンチュリー・フォーミュラEチームに、フルSiCパワーモジュールを提供し、マシンのさらなる高性能化をサポートします。
SiCパワーデバイスのリーディングカンパニーであるロームは、シーズン3よりヴェンチュリーとオフィシャル・テクノロジー・パートナーシップ契約を締結し、マシン駆動の中核を担うインバータ部分に世界最先端のSiCパワーデバイスを提供してまいりました。
昨シーズンは、ダイオード(SiC-SBD)のみの提供でしたが、シーズン4よりトランジスタとダイオードを同梱したフルSiCパワーモジュールを提供することにより、SiCを搭載する前のシーズン2のインバータと比較して、43%小型化、6kgの軽量化を実現しました。 ロームは、今後も電気自動車をはじめ、社会の発展に貢献すべく、パワー半導体の技術革新をより一層進めてまいります。

<インバータ比較>

フォーミュラEは、2014年に国際自動車連盟(FIA)主催で始まった完全電気駆動のレースで、化石燃料を使わず環境にも優しいため、香港やベルリン、ニューヨークなど世界各国の都市部にて公道レースが展開されています。電力をいかに無駄なく活用できるかが勝敗を分ける鍵となり、フォーミュラEでの技術革新が一般電気自動車への先駆けとなると期待されています。また、まだ創立してまもないモータースポーツにも関わらず、既に世界中の自動車関連企業が参加しており、さらに日本をはじめとする主要な自動車メーカーが続々と参戦を表明しています。
一方、ロームは、電源ICや各種制御ICのほか、パワーデバイスや電流検出用シャント抵抗などのディスクリート製品といった幅広いラインアップで長年にわたって自動車向けに製品を提供してきました。中でも、従来のSi(シリコン)パワーデバイスに比べて、劇的な低損失化を実現する半導体として期待されているSiCパワーデバイスにおいては、最先端の開発を進めており、電気自動車(EV)のモータやインバータでの採用が加速しています。

<コメント>
Franck Baldet, CTO, VENTURI Formula E Team

「フォーミュラEは、最先端技術を次世代電気自動車で試すことができる唯一のモータースポーツです。我々は、フォーミュラEのレースで一番の要となる電力管理で、ロームとテクニカル・パートナーシップを組めることを非常に嬉しく思います。
今回のシーズン4では、採用したフルSiCパワーモジュールによって、軽量かつ搭載スペースを最小限に抑えたインバータを実現することができました。最先端技術の活用により、ラップタイムが大幅に短縮されることを期待しています。今後も、ロームとのパートナーシップにより技術革新を進めていきたいと考えています。」

ローム㈱ パワーデバイス生産本部 統括部長 伊野 和英
「ロームでは、日々進化し続ける自動車に対し、品質を武器に長年にわたって製品を提供しています。現在、特に注力すべき分野と位置づけており、特に近年のハイブリッド車および電気自動車においては、半導体デバイスはますます重要な役割を果たしていくでしょう。
今回、フォーミュラEのレーシングマシンに提供したSiCパワーデバイスもそのひとつです。昨年のシーズン3(2016-17シーズン)ではSiC SBDのみの提供でしたが、今年はSiC SBDとSiC MOSFETを組み合わせたフルSiCパワーモジュールを提供し、さらなるマシンの性能向上に貢献しています。今後も、電気自動車をはじめ、幅広い産業・分野での効率よいエネルギー変換により、社会に貢献したいと願っています。」

<SiCを活用することによるメリット>
今回ヴェンチュリー・フォーミュラEチームのマシンのインバータに搭載されているフルSiCパワーモジュールは、独自のモジュール内部構造および放熱設計の最適化を実施した新パッケージの開発により、大電流化を実現しています。また、一般的な同等電流定格のIGBTモジュールと比べてスイッチング損失を75%低減(チップ温度150℃時)。アプリケーションの省エネ化に貢献します。さらに、高周波駆動による周辺部品の小型化はもちろん、高周波駆動時はよりスイッチング損失の低減効果が大きくなるため、冷却システムなどの小型化にも寄与します。
フォーミュラEでは、本フルSiCパワーモジュールをマシン駆動の中核を担うインバータ部分に活用することで、SiCが搭載される前のシーズン2と比較すると、43%の小型化、6kgの軽量化を実現しています。また、SiC-SBDを搭載したシーズン3のインバータと比べても、30%の小型化、4kgの軽量化を可能としています。

<フォーミュラEについて>
自動車レースの最高峰「フォーミュラ1世界選手権(F1)」や「世界ラリー選手権(WRC)」などを主催する、国際自動車連盟(FIA)が2014年より開催している、電気自動車による世界初のフォーミュラカーレース。電気自動車の研究開発の試験場として、さらには電気自動車への社会の興味を促進することを目標にしています。 全て電気による駆動を実現しているため、ガソリンエンジンなどを利用する既存のモータースポーツと比べると駆動音はとても静かで、走行中は排気ガスを放出しません。その特徴から、レースはすべて市街地の公道コースで開催されています。シーズン4は2017年12月に香港で開幕し、マラケシュ、サンティアゴ、メキシコシティ、サンパウロ、ローマ、パリ、ベルリン、チューリッヒ、ニューヨーク、モントリオールなど、合計11か所で開催される予定です。

<VENTURIフォーミュラEチームについて>
ヴェンチュリー・オートモービル(VENTURI Automobiles)はモナコに本拠を置く少量生産の自動車メーカーで、1999年にギルド・パランカ・パストール氏がオーナーとなって以来、完全電動化にこだわってきました。ヴェンチュリーは、完全に電動化されたパワートレイン搭載車両の現在の最高速度記録を保持しており、電気自動車で数多くの記録を打ち立てた世界的なパイオニアです。2013年12月に創設されたヴェンチュリー・フォーミュラEチームは、フォーミュラE選手権の初開催時にFIAよりライセンスを授与された参加10チームのうちのひとつです。


写真左から VENTURI Formula E Team Edoardo Mortara (Driver)、  
Jacky Eeckelaert (Director of Engineering)、Maro Engel (Driver)、
ROHM Semiconductor(Shenzhen)社長 竹内善行



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