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BCM設計をサポートする車載用製品『TIC10024-Q1』『TIC12400-Q1』の登場【日本テキサス・インスツルメンツ】
2017年11月2日
安全性、運転支援、ドライバ情報など、車載電子機器の機能が増え続ける一方で、車両全体でさらにきめ細かい電子制御を求める傾向も加速し続けています。快適性、安全性、装備、カスタム化された乗車体験に関連する機能は日々その数を増し、車載電子システムへの要求も同様に増加しています。
ボディ・コントロール・モジュール(BCM)は、信号を利用して、車内のさまざまな機能を連携して動かします。ドアロック、チャイム制御、車内/車外灯、セキュリティ機能、ワイパー、方向指示器、電源管理をはじめ、数多くの機能を管理しています。BCMは、車両の電子アーキテクチャと結び付けられ、信頼性と経済性を最大限に高めながら、必要なプラグイン接続数やケーブル・ハーネス数を減少させます。
BCMに求められる機能が増えるにしたがって、ケーブル・ハーネスの総量も増加しました。『次世代自動車用ワイヤ・ハーネス』(大庭清嗣 著)によれば、現在、通常の電線を使用するワイヤ・ハーネスの総重量は小型車1台あたり約30kgです。1970年代には、車1台あたりほんの数kgでした。BCMは、バス・システムに対するインターフェイスの提供により車両内の配線量を減らせるので、コスト面で決定的な役割を果たします。製品予算の約80%は設計部品表(BOM)の段階、つまり開発初期に決定されます。
現在のBCM市場のトレンド
市場のトレンドは集中型です。集中型アーキテクチャでは分散型アーキテクチャと比較して、モジュールの数が少なく、各モジュールの機能数は多くなります。集中型アーキテクチャのメリットは、ネットワークが簡単になり、費用対効果に優れ、電子制御ユニット(ECU)の台数が最適化されることで、結果として、ハーネスが軽量化されます。軽量化は製造コストの削減と燃料効率の向上につながり、自動車メーカーと車の所有者の双方に利益をもたらすソリューションとなります。
しかし、このトレンドを考えてみると、今の集中型アーキテクチャではマイコンが車載のスイッチ/センサと接続するために入出力(I/O)を使い切ってしまいます。中央のBCMに60~120個のスイッチを接続するには、複雑な設計アーキテクチャが必要となります。この問題に対応する1つの方法は、もっとI/Oを利用できるよう、さらにディスクリート部品を追加することです。残念ながら、この方法では、今度は基板設計でより多くの部品が必要になるため、配線の減少による機械的なコスト削減が電気的なコストの増加に転じてしまいます。
この問題を解決する別の方法はあるのでしょうか?
選択肢の1つは、TIの『TIC12400-Q1』または『TIC10024-Q1』デバイスなどの統合マルチスイッチ検出インターフェイス・ソリューションの利用です。これらのデバイスは高度な接点モニタ、あるいはマルチスイッチ検出インターフェイス(MSDI)製品としても知られているファミリーの一部で、24~56個のスイッチ接点の開閉動作を検出するよう設計されています(図1)。
図1:『TIC12400-Q1』を使ったBCMの実装
MSDIデバイスは内蔵A/Dコンバータ(ADC)/コンパレータを使って外部スイッチの状態を検出し、検出後MCUにスイッチ状態を通知します。『TIC10024-Q1』と『TIC12400-Q1』の主な違いとしては、『TIC12400-Q1』にはスイッチ・マトリックスのポーリング機能と内蔵ADCがあり、アナログ入力とマルチ・スレッショルド入力に対応可能です。
このような特徴はいずれもシステム・コストの削減につながるだけでなく、カスタマイズ可能なBCMに対して設計上の柔軟性、すなわち、市場での決定的な優位性を与えます。
BOMの節約と基板サイズの減少
『TIC10024-Q1』や『TIC12400-Q1』のようなデバイスを使えば、ディスクリート部品を最大で120点削減できます。図2をご覧ください。
図2:『TIC12400-Q1』とディスクリート部品による実装との比較
『TIC10024-Q1』および『TIC12400-Q1』デバイスには、静電気放電(ESD)保護(±8kV)、バッテリ逆接続保護、過渡パルス保護も内蔵されています。外付け保護回路が不要になるので、BOMコストと基板サイズがさらに減少します。ハードウェア、ソフトウェアの複雑さの軽減は信頼性の向上に役立ち、また、低位、中位、上位のすべてのプラットフォームで利用できるスケーラビリティも備えています(図3を参照)。
図3:ディスクリート・ソリューションとMSDIデバイスの比較
MSDIデバイスは、現在のBCMトレンドと完全にマッチするスマートな内蔵機能を備え、コストを抑えて、快適な電子機能の統合を実現できます。
<参考情報>
+英語ブログ:
-“The multi-switch detection interface: integrated features for smaller, more efficient designs”
- “Automotive gateways: the bridge between communication domains”
+リファレンス・デザイン:「オートモーティブ、マルチスイッチ検出インターフェイス」
+製品情報:『TIC12400-Q1』
※すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらのBlog記事(2017年10月19日)より翻訳転載されました。
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