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世界最大の高性能ゴムNd-PBR新製造プラント、シンガポールで着工を発表【ランクセス】

2012年3月2日

・ 年間製造能力14万トンの新製造プラントに約2億ユーロを投資
・ 設計作業は順調
・ 主要サプライヤーと供給契約に調印
・ 各国のタイヤラベリング制度が「エコタイヤ」の旺盛な需要を後押し
・ ランクセスはNd-PBRの世界有数のサプライヤー
・ 隣接するブチルゴム製造プラントの建設は予定通り進行

ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、シンガポールにおけるネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd-PBR)の新プラント建設を、2012年9月11日に着工することを発表しました。ランクセスは、約2億ユーロを投じ、ジュロン島のケミカルパークに年間製造能力14万トンのプラントを新設します。同プラントは、この分野では世界最大となり、主にアジアの急成長する「エコタイヤ」市場に向けて主要材料のひとつであるNd-PBRを提供します。約100名の雇用創出を見込んでおり、2015年上半期に稼働開始の予定です。

ランクセスは、2011年6月に新プラントの建設地をシンガポールに決定したと発表して以来、建設に向けた設計を順調に進めてきました。

このたび、3月1日にシンガポールにおいて主要サプライヤーとの契約調印式が行われました。この席において、ランクセスのCEOであるアクセル・ハイトマンは、「当社設立以来、2番目に大規模な投資プロジェクトが順調に進行中だと発表できることは大変喜ばしいことです」と述べています。

主要サプライヤーと契約締結

この調印式において、ランクセスはNd-PBRプラントへの原料供給に関して複数の主要サプライヤーと契約を締結しました。これらの契約が完了したことを受けて、このプロジェクトは、新プラント建設に向けたインフラ整備を開始します。

ランクセスとペトロケミカル・コーポレーション・オブ・シンガポール(Petrochemical Corporation of Singapore Pte.Ltd. 以下PCS社)は、ランクセスにブタジエンを長期供給する契約を締結しました。ブタジエンは、ランクセスがNd-PBRを製造する上で必要とする原料であり、PCS社は、原料を供給するために、ブタジエン抽出施設と関連するインフラを新設します。両社は昨年6月に、この供給に関する覚書にすでに調印しています。

PCS社の米村啓社長は次のように述べています。「ランクセスとの密接な協力関係の下で実現した、ブタジエンの新プラント建設を発表できることは大変喜ばしいことです。この新規の投資は、PCS社の競争力を一層強化することになるでしょう。両社の新プラントの完成と稼働開始に向けてランクセスと恊働できることを楽しみにしています」

また、シンガポールのTP Utilities Pte Ltd.(Tuas Power Ltd.の全額出資子会社)は、Nd-PBRプラントに製造過程で必要となる蒸気を供給します。
TP Utilities社は、ジュロン島にあるバイオマスと精炭を燃料とした既存のコジェネレーションプラントの蒸気生産能力を毎時650トン追加増強します。
現在は、毎時500トンの蒸気生産能力と100メガワットの発電能力を有しています。

Tuas Power Ltd.のCEO兼TP Utilities Pte Ltd.の取締役であるLim KongPuay氏は次のように述べています。「ランクセスがTP Utilities社に高い信頼を示して下さり、最新の大規模プロジェクトの主要サプライヤーとして再び弊社を選択していただいたことに感謝いたします。TP Utilities社は、ランクセスのNd-PBRの新プラントの稼動開始時点から蒸気を供給します。契約期間は10年で、双方の合意によりこれを延長するオプション条項が付帯しています」

ランクセスは、アジアでこのプラントの候補地を検討するにあたり、実行可能性調査(フィージビリティ・スタディ)を実施し、その結果、シンガポールに決定しました。その理由として、下記の主な利点が挙げられます。

・ 原料供給が容易である
・ インフラが整備されている
・ 高いスキルを持つ人材が豊富である
・ 大規模な港湾を備えている
・ 活況のアジア地域に位置する主要顧客に近接している

「エコタイヤ」の旺盛な需要に対応する新プラント

ランクセスは、「エコタイヤ」の製造に使用されるNd-PBR市場におけるリーダーです。エコタイヤ市場は、世界の年間成長率が約10%、アジアにおいては約14%を示し、タイヤ産業において最も急速に成長している分野です。

特に、中産階級が豊かになってきているアジアと中南米地域においては、メガトレンドの車社会化が需要の原動力となっています。さらに、世界中で導入されつつあるタイヤラベリング制度により、需要の加速が見込まれます。
2012年11月からは、EU(欧州連合)でタイヤラベリング制度が義務化されます。転がり抵抗性能、ウェットグリップ性能、騒音量の3つのタイヤ性能が表示され、AからGの等級付けが行われます。「エコタイヤ」の付加価値を明確化することで、新制度は、消費者にタイヤを識別するための透明性をもたらします。

日本と韓国は、世界に先駆けてタイヤのラベリング制度を導入しました。日本では2010年1月から、韓国では2011年の11月からタイヤメーカーが任意でラベリング制度(欧州とは異なる表示、等級分け)を導入しています。さらに、韓国では2012年末から同制度が義務化されます。ブラジル、米国、中国など他の国は近年中に導入される予定です。

昨年、ランクセスはグローバル市場調査会社であるフロスト&サリバン社にシンガポール在住のドライバーの自動車に関する環境意識調査を依頼しました。その結果、ドライバーは、環境に関して懸念を示しており、環境への影響を低減するために何らかの取り組みをすでに行っていることが明らかになりました。しかし、ドライバーの環境への懸念は、車やタイヤにまでは及んでおらず、タイヤラベリング制度が環境に貢献するという情報が、一般市民レベルに認知されるまでには至っていないことがわかりました。

本調査によると、「エコタイヤ」を装着することで、シンガポールでは、毎年、35万2,600トン以上の二酸化炭素排出量を低減、さらに、使用する燃料の1億4,000万リットル以上の削減が可能となります。

高性能ゴム

Nd-PBRは、「エコタイヤ」のトレッドとサイドウォールに使用され、タイヤの転がり抵抗の低減と燃費の向上を実現します。さらには、優れた耐摩耗性を備え、タイヤ寿命の大幅な延長、安全性の向上を図ります。

Nd-PBRは、ヨアヒム・グルーブが責任者を務めるパフォーマンスブタジエンラバーズビジネスユニットに属します。この非常に革新的なゴムは、現在、ドルマーゲン(ドイツ)、カボ(ブラジル)、ポートジェローム(フランス)、オレンジ(米国テキサス州)の製造拠点で製造されています。タイヤ以外の使用例として、射出成形用途のハイインパクトポリスチレン(HIPS)の製造におけるプラスチック改良にも使用されています。その他にも、ゴルフボール、ランニングシューズ、コンベヤーベルトなどにも使用されています。パフォーマンスブタジエンラバーズビジネスユニットは、パフォーマンスポリマーズ部門(2010年売上高:38億ユーロ)に属しています。

ブチルゴム製造プラントは予定通り

ランクセスのNd-PBRの新プラントは、現在、ジュロン島に建設中のブチルゴム製造プラント(投資額4億ユーロ)に隣接して建設されます。ブチルゴム製造プラントは、ランクセス設立以来、単独投資として最大規模を誇り、2013年第1四半期より稼動予定です。

ブチルゴム製造プラントの建設は、予定通り進行しています。インフラが整備され、鉄骨の枠組みが建てられました。殆どの機器は既に現場に設置されており、2,000名以上の作業員が建設現場で従事しています。


3月1日にシンガポールで行われた契約調印式にて:
(左より) ランクセスAG プロキュアメントおよびロジスティックス責任者 ホルガー・ヒュプラー、ランクセスAG パフォーマンスブタジエンラバーズビジネスユニット責任者 ヨアヒム・グルーブ、Tuas Power Ltd. CEO兼TP Utilities Pte Ltd.取締役 Lim Kong Puay氏、ランクセスAG CEO アクセル・ハイトマン、PCS社 マネージングディレクター 米村啓氏、ランクセスAG 経営委員会メンバー ヴェルナ・ブロイヤス


(左)PCS社 マネージングディレクター 米村啓氏
(右)ランクセスAG CEO アクセル・ハイトマン


(左)Power Ltd. CEO兼TP Utilities Pte Ltd.取締役 Lim Kong Puay氏
(右)ランクセスAG CEO アクセル・ハイトマン


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