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リチウムイオン電池の高容量蓄電を実現 -新規負極用バインダー(接着剤)を本格販売-【日本ゼオン】

2012年2月27日

日本ゼオン㈱(社長:古河 直純 東京都千代田区)は、リチウムイオン電池の蓄電容量を従来より5~15%上げられる新規負極用バインダーの製品化に成功した。
リチウムイオン電池は、軽量で高容量な蓄電池であることから、携帯電話、ノートブックパソコン、自動車用途などに広く使用されている。近年スマートフォン(高機能携帯電話)の急速な普及により、その高容量化は強く求められている。日本ゼオンは95年にリチウムイオン電池の負極電極に使用されるバインダーを上市して以来、その高容量化の実現に向けて多数の製品を供給しており、市場でのシェアは約60%(*1)に達している。

リチウムイオン電池の高容量化の手段の一つとして、負極にシリコン系活物質を用いる手法が長年検討されてきた。現在使用されている負極用活物質はグラファイト(粉末状黒鉛)が中心であり、その1グラム当たりの蓄電容量は320~360mAh/g(*2)程度。実用化に向けて開発が進められているシリコン系活物質は800~1600mAh/gと非常に容量が大きいが、充放電時の膨張収縮(*3)が大きく寿命の大幅な低下が課題である。そのため、グラファイトに5%程度を配合する手法で、スマートフォンなどで一部使用されるに留まっている。
日本ゼオンは、長年培ってきた電気化学的な技術、高分子の設計技術を活かして、バインダーの分子設計を大幅に見直し、シリコン系活物質を10%配合可能なバインダーの製品化に成功した。今後、リチウムイオン電池の大幅な高容量化が期待される。
昨年11月より、一部ユーザーに販売を開始してきたが、本年2月より本格的な販売に転じた。さらに、シリコン系活物質を30%配合可能なバインダーの開発に目処がつき、夏季より実用に向け、サンプル出荷を開始する予定。

(*1) 日本ゼオン試算。
(*2) ミリアンペアーアワー : 電池の蓄電容量単位。
(*3) 充放電時の膨張率 : グラファイト活物質は約10%に比較して、実用化の検討がされているシリコン系活物質では約20~40%と大きい。


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