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自動車用高機能鋼板「JAZ®」が第4回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞【JFEスチール】

2012年2月3日

当社はナノ表面制御による自動車用高機能鋼板の開発(商品名「JAZ®」)の功績により、第4回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞しました。

ものづくり日本大賞は平成17年に創設された表彰であり、豊かな国民生活の形成に大きく貢献してきた「ものづくり」を着実に継承し、さらに発展させていくために、製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や今後を担う若手人材など「ものづくり」に携わっている各世代の人材のうち、特に優秀と認められる人材等を表彰する制度です。
経済産業大臣賞の表彰式は、2月中旬に開催される予定です。

1. 受賞件名 :
使いやすさを極めた自動車用高機能鋼板の開発

2. 受賞理由 :
今回の受賞は、自動車製造工程における、1)プレス成形性の向上、2)スポット溶接後の外観改善、3)環境負荷の軽減、4)海外での汎用設備による製造、を可能にした革新的なGA鋼板(注1)ならびにその製造技術の開発が高く評価されたものです。

3. 受賞者 :
杉本 芳春 当社 スチール研究所 表面処理研究部長(開発総指揮)
を代表とするグループ

4. 開発の経緯 :
現在、自動車車体用防錆鋼板の主流となっているGA鋼板は、車体の設計自由度・生産性向上のため、更なる高潤滑性が求められており、このために鋼板の表面に潤滑用の電気めっき、リン酸塩、金属塩などの潤滑皮膜を付着させるのが一般的でした。
当社は、環境負荷が少なく、プレス成形性の向上やスポット溶接後の外観不良改善などを目指して研究を行い、表面改質による新たな自動車用高機能GA鋼板の開発に成功しました。

5. 開発内容 :
当社では、従来の高潤滑性GA鋼板のように潤滑皮膜を表面に付着させるのではなく、GA鋼板表面を改質してナノ(10億分の1メートル)レベルの厚さの表面改質層を形成し、プレス金型との凝着(注2)を抑制することに成功しました。この表面改質層は、従来の高潤滑性GA鋼板に含まれているリン酸塩や重金属元素を含まない点で環境負荷が少なく、また高融点であるという特徴から、スポット溶接時のスパッタ付着(注3)をも抑制する効果があります。

今回受賞対象となった自動車用高機能鋼板は、2006年より東日本製鉄所と西日本製鉄所にて量産体制を確立し、『JAZ®(JFE Advanced Zinc)』の商標名で、現在では国内全自動車メーカー向けに供給しております。また、2007年には中国・広州JFE鋼板有限公司とドイツ・ティッセンクルップ社への技術供与も完了しており、アジアや欧州の周辺諸国への供給体制を拡充いたしました。


(注1) GA鋼板(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、Galvannealed Steel Sheet) : 
溶融亜鉛めっきを行い、再加熱して亜鉛層を鉄と合金化させた鋼板。表面の合金化層により、金型との摩擦抵抗が低く、プレス成形性に優れている。

(注2) 凝着(ぎょうちゃく) : 
固体同士の接触面で、お互いの表面の原子が及ぼし合う結合力により固体同士がくっつく現象。凝着は、鋼板とプレス金型の摩擦を発生させる要因の一つ。

(注3) スパッタ付着 :
自動車車体をスポット溶接して接合する際に、高温で融解した鉄が火花状に飛び散り、車体に付着する現象。


本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
JFEスチール㈱総務部広報室  TEL  03 (3597) 3166

 

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