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国内大型観光バス初の8速AMTを全車に搭載した新型「エアロクィーン」と「エアロエース」を発表【三菱ふそうトラック・バス】
2017年5月15日
● 開発コンセプトは「安全性」「経済性」「快適性」
● 国内大型観光バス初となる新型8速AMT「ShiftPilot」を全車に搭載
● 新型の直列6気筒 7.7L 軽量エンジンを搭載し車両重量を軽減
● 先進安全技術の組み合わせにより「安全性」を大幅に向上
● 平成28年排出ガス規制に適合
● 平成27年度重量車燃費基準+15%達成
三菱ふそうトラック・バス㈱(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長・CEO:マーク・リストセーヤ、以下 MFTBC)は、安全性能を強化した、新型大型観光バス「エアロクィーン/エアロエース」を発表しました。
新型「エアロクィーン/エアロエース」は、全車AMT(Automated Manual Transmission)である「ShiftPilot」を採用することにより、クラッチペダルのない2ペダル化と自動変速を実現しました。これにより運転操作におけるドライバーの負担が軽減され、これまで以上に安全な運転環境が期待できます。また、「ShiftPilot」は新型軽量エンジンとの最適化が図られており、大型観光バスに求められるドライバビリティと環境負荷低減に直結する燃費性能の向上にも大きく貢献します。
新型「エアロクィーン/エアロエース」
1.平成28年排出ガス規制に適合した新型エンジンを搭載しました
①新開発 直列6気筒7.7L 「6S10」型エンジン
新型が搭載する「6S10」型エンジンは、従来型が搭載していた直列6気筒12.8L「6R10」型エンジンから排気量にして約40%のダウンサイジング化を図りました。過給システムには、小型ターボ(高過給)と大型ターボ(低過給)による2ステージターボチャージャーを新たに採用し、低速域での応答性能と高速域での力強さを両立しました。低速低負荷領域と高速高負荷領域の走行シーンに合わせそれぞれのターボを有効に活用することで、小排気量ながら大型観光バスに必要な高い出力特性と低回転域から力強いトルク特性を実現しています。
今回のダウンサイジング化では排気量だけでなく小型化とともに本体重量の軽量化も実現し、従来型の「6R10」型に対して最大で540kgの軽量化を達成しました。この「6S10」型では走行性能と同時に環境性能も大幅に向上しており、平成28年排出ガス規制に対し余裕をもってクリアしています。具体的には、まず燃焼特性を極限にまで昇華させることでエンジンそのものから排出されるPMを低減しました。つぎに新たに開発した「新BlueTec® ※1システム」によって効果的にPMとNOxを除去することで、低燃費・低排出ガスを両立しました。
また、トップクラスの低燃費性能により、全車、平成27年度重量車燃費基準+15%も達成しています。これにより、全車がエコカー減税の「免税」対象となりました。
● 燃焼システムの最適化
- 燃焼室形状の最適化
- 2ステージターボチャージャー
- 高圧噴射コモンレールシステム(240MPa)
● 高NOX浄化率触媒の排出ガス後処理装置と緻密なAdBlue※2噴射制御
- 新BlueTec®システム(再生制御式DPF+尿素SCR)
- 新AdBlue®噴射装置
- 可変バルブタイミング機構(DPF再生時)
● アイドリングストップ&スタートシステム
2.新型8速機械式自動トランスミッション「ShiftPilot(シフトパイロット)」を採用
ShiftPilotはクラッチペダルのない2ペダル方式の8速機械式自動トランスミッションです。国内の大型観光バスでは初となる全車に2ペダル方式のShiftPilotを装備しました。ShiftPilotは一般的なオートマチックトランスミッションのようにDレンジでの運転操作だけで路面状況や車両負荷などに応じた変速操作が自動的に行われます。ドライバーによるクラッチ操作が不要となるため運転操作における負担軽減が望め、さらなる安全な運転環境に貢献します。
ShiftPilotはマルチファンクションレバーによりシフト操作を行います。ステアリングコラム左側に配置されたマルチファンクションレバーは、ステアリングから大きく手を離すことなく操作できるため安全性が高く、レバー内のダイヤルを回すことによりシフト操作が容易に行えます。また、フェールセーフの観点から、ダイヤルは1動作ごとのクリック感を強調しながら、ストロークも大きくとることで誤操作を抑制しています。さらに、レバーそのものを上下に動かすことでアップシフトやダウンシフトが行えるため、ドライバーの意図に合わせた変速操作にも対応します。シフト操作によって選択されたセレクターの位置とギヤ段数は、インパネ中央部分のギヤポジションインジケーターに表示されます。
ShiftPilotは乾式クラッチを備えており、ブレーキペダルを離した状態で微速走行状態を保つクリープ走行が行えます。さらに、EZGOやヒルホルダー機能との相乗効果によって坂道発進もスムースに行なえます。
このようにShiftPilotによって得られるスムースな発進加速性能は快適な車内環境にも直結します。マニュアル操作ではシフト操作のたびに駆動力が抜ける構造上の特性がありましたが、ShiftPilotではタイムラグのないシームレスな変速により連続した加速特性が得られるため、シフト操作時に乗客の身体が前後に振られることがなくなり、一クラス上の快適な乗り心地の実現に寄与しています。
● ギヤ段の最適化とショック低減技術によりシフトフィーリングを向上
大型観光バス専用として新たに8速トランスミッションを採用。大型観光バスである「エアロクィーン」や「エアロエース」にふさわしい1速ごとに息の長いゆとりある加速を実現しています。また、ShiftPilotの変速プログラムや制御システムにも日本の道路環境を考慮した最適なチューニングを施しており、あらゆる速度域において滑らかなシフトフィーリングとなるよう注力しています。
● クリープ走行機能を追加
乾式クラッチのハーフクラッチ状態をきめ細かく制御することで、トルクコンバーターを用いたオートマチックトランスミッションのようなクリープ走行を実現します。長距離に渡る渋滞路や駐車場、さらには停留所などで多用する微速での速度調整が容易に行えます。
● ヒルホルダー機能を追加
平坦路でブレーキを弱く踏んだまま停止したり、坂道の途中でブレーキペダルを弱く踏んだまま停止したりすると、意図しない前進や後退を誘発することがあります。新型ではそうした状況を抑制するために「ヒルホルダー機能」を追加しました。これは弱くブレーキペダルを踏んだまま停止した場合に自動的に作動する機能です。また、クリープ走行機能と連動しており、ブレーキペダルをゆっくり緩めると停止状態からクリープ走行へとスムースに移行します。
● EZGO機能も継続採用
従来型で好評のEZGO(坂道発進補助装置)も継続採用しています。ブレーキペダルを強く踏み停車すると、ブレーキペダルから足を離しても停車状態を保持するためドライバーの疲労軽減効果が望めます。EZGOは長時間にわたり停止状態を保持する際に便利な機能です。運転状況に応じてドライバーがブレーキペダルの踏み込む力を調整することで、ヒルホルダー機能と使い分けることが可能です。
● 新型流体式リターダーをオプション装備
補助ブレーキとして新たに液体を活用して減速度を発生させる流体式リターダーを標準装備、または一部の車両にオプション装備として採用しました。従来型のジェイクブレーキやシフトダウンブレーキと連動し安定した制動力を発揮します。これにより、サービスブレーキの負担軽減が望めるためメンテナンスサイクルの向上にも寄与します。
3.ABA3(アクティブ・ブレーキ・アシスト3)
ABA3(Active Brake Assist 3)は、従来型のAMB2.0 を発展させた衝突被害軽減ブレーキで、2019年11月に施行される衝突被害軽減ブレーキ第2段階規制に適合しています。前走車や停止車両との衝突可能性を認識すると、警報ブザーとディスプレイ表示によってドライバーにブレーキ操作やステアリング操作による回避を促します。
警告ブザーとディスプレイ表示にドライバーが反応できず衝突の危険が高まった際には、警告ブレーキとして限定的なブレーキ力が立ち上がり、ドライバーへの回避動作を強く促します。
それでもドライバーが反応できず衝突が避けられないとシステムが判断した場合には、警報ブザーを発報するとともにフルブレーキを立ち上げ衝突回避をサポートします。
4.アクティブ・アテンション・アシスト
従来型が採用していた運転注意力モニター「MDAS-Ⅲ(エムダススリー)」で培った運転操作のセンシング技術をさらに強化した運転支援技術です。MDAS-Ⅲに対し運転中のドライバー状況を判断するため、新たに「ドライバーモニターカメラ(赤外線方式)」を採用しました。
ダッシュボード上部に取り付けたドライバーモニターカメラによって、ドライバーの顔の向きや動きを捉えます。このドライバー情報と車両側で得られた運転操作情報を統合制御し、総合的な運転注意力を判断します。
アクティブ・アテンション・アシストは従来型のMDAS-Ⅲでは判断ができなかったドライバーのわき見や、まぶたの動きを感知することで、注意力が低下した兆候をこれまでよりも高精度に捉え、警報ブザーとディスプレイ表示でドライバーに注意を促します。
5.ESP®※3(Electric Stability Program)
車両センサーが車体の挙動を常に監視しながら、不安定な状況に陥りそうになった場合にエンジン出力を制限したり、適切な車輪に対して制動力を加えたりすることで車体の安定性を確保する運転支援技術です。カーブ走行時や車線変更時のほか、滑りやすい路面を走行する際に車体の安定性を向上させます。
6.プロキシミティー・コントロール・アシスト
従来車が搭載していたアダプティブ・クルーズ・コントロール機能である「車間距離保持機能付オートクルーズ」を改め、「プロキシミティー・コントロール・アシスト」としました。車間距離保持機能付オートクルーズとの違いは、①自動的にサービスブレーキを併用しながら前走車に合わせて停止状態まで追従する「自動停止機能」と、②自車が停止後2秒以内に前走車が発進した場合に自動的に追従走行を開始する「自動発進機能」を追加しました。これにより、ドライバーの渋滞路における疲労軽減効果が望めるとともに、追突事故を抑制することができます。
7.LDWS(Lane Departure Warning System)(運転席バイブレーター警報付き)
車線の逸脱を認識すると、マルチファンクションモニター内に逸脱を示す表示を行い、それと同時に運転席の座面に逸脱したことを示す振動を伝えます。
この運転支援技術は、車内から車外を監視する車線認識カメラによって道路上の白線や黄線が監視されている時に、ドライバーがなんらかの理由で車線を逸脱してしまった場合にのみ働く機能です。ウインカー操作を併用したドライバーの意図した車線変更などの場合には働きません。
また、右側の車線を逸脱すると座面の右側だけが振動し、反対に左側の車線を逸脱すると座面の左側だけが振動することで、ドライバーは直感的に逸脱した方向を知ることができます。さらに、警報ブザーは発報されないため、ドライバーへのみ適確に注意喚起を行います。
8.スピードリミッター
安全のためにスピードオーバーを防止。速度が115km/hに達すると、エンジン出力を制限して、それ以上加速しないよう増速を抑制。15~100km/hで車速制限値を任意に設定できます。また、下り坂で設定車速を超えそうになると、エンジンブレーキや流体式リターダーが自動で作動して増速を抑制。下り坂でのスピードの出し過ぎに効果を発揮し、安全運転に寄与します。
9.最良の運転環境を追求したコックピット
数多くの調節機能を導入し、ベストの運転ポジションと疲労軽減を実現するドライバーズシート。さらに視認性に優れる5インチのマルチファンクションモニターを備えたメータークラスターを新たに採用。すべては安全運転のために、最良のコックピット設計を施しました。
また、ステアリングホイールスイッチを採用し、手元の簡単な操作により、、様々な機能の操作が可能。軽快、確実な操作を実現するとともに、安全運転にも寄与します。
10.客室フラットフロア
客室フロアをフラット化。これにより、車内移動の際のバリアフリー化を実現するとともに、各座席へのアクセスも向上。さらに、トランクルームの拡大にも寄与するなど、様々なメリットを生み出しました。
11.トランクルーム拡大と乗車定員増を両立
軽量化されたパワートレインと新・天井直冷エアコン(ハイデッカー車)の組み合わせにより、大容量の3スパン・トランクルーム(トランクルーム室内高も拡大)と最大乗車定員62名を両立(ハイデッカー車)。多くの人と多くの荷物を、一度にのせることが可能になりました。
12.車両スペックおよび東京地区販売価格(消費税込)
※1:「BlueTec®」はDaimler AGの登録商標です。
※2:「AdBlue®」はドイツ自動車工業会の登録商標です。
※3:「ESP®」はDaimler AGの登録商標です。
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