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鋳鉄旋削用新材種「エースコートAC405K/AC415K」を開発【住友電気工業】

2012年1月12日

当社は、超硬切削工具需要の中で大きな位置を占める鋳鉄加工の中でも、特に仕上げから中仕上げ加工での、連続及び一部断続加工を含む幅広い用途で、従来材種の1.5倍以上の長寿命と、抜群の信頼性を実現するCVDコーティング材種「エースコートAC405K/AC415K」の2材種を開発し、2012年1月16日より発売します。

鋳鉄は、日用品から大型機械、自動車用のエンジン、クランクシャフト、カムシャフト、ブレーキディスクなど様々な用途で使われる、硬さと粘り強さ、防振・防音、耐熱性を備えた、鉄と黒鉛の複合材料です。
近年、自動車分野では、燃費向上のため、各部品の薄肉・軽量化が強く求められており、ねずみ鋳鉄(普通鋳鉄)から、より強度が高く被削性の悪い球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)が用いられるケースが増加しています。また、部品加工の現場では、コスト削減要求の高まりや、工作機械の性能向上を背景に、切削速度の高速化が進んでおり、鋳鉄加工用工具には、こうした厳しい条件においても、長寿命を安定して発揮できる工具へのニーズが高まっています。
これらのニーズに応えるべく、当社は、鋳鉄の高速・連続加工用新材種「エースコートAC405K」と、連続から一部断続を含む一般加工用新材種「エースコートAC415K」を開発しました。

本製品の特長は以下の通りです。

(1) 新コーティング技術による、耐摩耗性の大幅向上
AC405K、AC415Kともに、従来の微細・平滑CVDコーティング「スーパーFFコート」を更に進化させた新コーティング技術を採用。コーティング膜の中でも、耐摩耗性を担うTiCN(チタンカーボンナイトライド)層を構成するセラミック粒子の、更なる微細・高硬度化を達成しました。これにより、耐摩耗性が従来品比約50%向上し、仕上げ切削連続加工での最大推奨切削速度570m/min.(AC405K)、中仕上げ一般加工での最大推奨切削速度400m/min.(AC415K)をそれぞれ実現。鋳鉄加工の大幅な高速化が可能となります。

(2) 高速加工領域における工具寿命の信頼性・安定性の向上
コーティング膜内部応力制御技術により、CVD膜特有の残留引張応力を低減し、耐欠損性を向上。また、耐溶着性を担うαAl2O3(アルミナ)層と、TiCN層との境界に高密着性の中間層を形成させたことにより、溶着及びコーティング膜剥離に起因する刃先損傷を大幅に抑制します。これらにより、高速加工領域における刃先の耐欠損性を、従来製品比1.5倍以上高め、工具寿命の信頼性・安定性を大幅に向上させました。

販売価格は当社従来品と同設定です。本製品の適用により、仕上げから中仕上げ加工領域における鋳鉄切削加工の高速化と安定した工具交換サイクルを実現し、加工コストの大幅削減が可能となります。

また、鋳鉄旋削用途において、鋳肌・断続加工を得意とする「エースコートAC420K」と組み合わせることで、仕上げから粗加工、連続加工から強断続に至る全ての領域をカバーする「AC400Kシリーズ」が完成、鋳鉄旋削加工の大幅な効率向上、加工コスト削減が可能となります。

「エースコートAC405K/AC415K」概要

【ラインアップ】
ネガティブ型 : 180アイテム(AC405+415K)
ポジティブ型 : 92アイテム(同上)
合計 : 272アイテム

【販売計画】
初年度 : 4億円、3年後 : 17億円

【標準価格】
標準品 CNMG120408N-GZ・・・770円(税込808円)

【リリース時期】
上記「ラインナップ」中、124アイテムを2012年1月16日より、残り150アイテムを3月中旬より発売。

・エースコート、スーパーFFコート は、住友電気工業㈱の登録商標です。


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