ニュース
人工知能を用いた自動運転:アウディ、エレクトロニクス業界のトップ企業と連携を図る【アウディ ジャパン】
2017年1月10日
● ラスベガスCESでAudi Q7 deep learning conceptが優れた機械学習能力を披露
● エレクトロニクス業界のリーダーと連携:NVIDIA及びモービルアイと自動運転技術を開発
人工知能(AI)は、自動運転においても要となるテクノロジーのひとつです。そのためにアウディは、エレクトロニクス業界の強力なパートナーと協力して、機械学習の分野で新時代を切り拓くノウハウを開発してきました。アウディは、今回ラスベガスで開催されたコンシューマーエレクトロニクスショー(CES)で、NVIDIA社の協力の下で実現した自動運転実験車、Audi Q7 deep learning concept(ディープ ラーニング コンセプト)を一般公開しました。
アウディは、NVIDIAによるCESのプレスカンファレンスに呼応する形で、自動運転用に特別に設営された仮設エリアにおいて、人工知能を用いたAudi Q7 deep learning conceptのデモンストレーション走行を実施しました。このクルマは、解像度2メガピクセルのフロントカメラの助けにより進行方向を判断し、NVIDIA製PX 2プロセッシングユニットが、そのカメラから常時送られてくるデータを分析して、ステアリング操作を高精度で制御します。この高性能コントローラーは、自動運転用に特別に開発されたものです。
ソフトウェアの中核を成すディープニューラルネットワーク(深層神経回路網)は、アウディ及びNVIDIAの専門家から自動運転用の特別な学習により、切り替わる交通標識/信号も正確に認識します。デモンストレーションは、人が運転するところから始まりますが、その時点でAudi Q7 deep learning conceptが持っている情報はルートと周囲の状況のみの限られた情報となります。頼るのは観察と追加の学習用カメラからの情報ですが、そうした状況ゆえに、ドライバーの反応とカメラにより検知された事象との間の相関性が学習されていきます。そのため、これに続くデモ走行では、コンセプトカーは信号からの暫定的なシグナル含めて交通に関する指示を間違いなく読み取り、正しく解釈し、求められたとおりの行動をとれるようになります。これらに対応するシグナルが出された時には即座に運転ストラテジーを変更し、ショートコースもしくはロングコースを選ぶところから再スタートします。システム設計は非常に信頼性の高いものになっており、天候や明るさの変化など、移り変わる状況にも対応し、昼夜を問わず、また直射日光や強い人工照明に晒されても、誤作動を起こすことはありません。
基本的に、Audi Q7 deep learning conceptに採用されている学習メソッドは、ディープレインフォースメントラーニング(深層強化学習)に近いものとなっています。このメソッドは、昨年12月にバルセロナで開催されたAIイベント「神経情報処理システム(NIPS)に関する会議とワークショップ」で、アウディが行った発表の基本となる原理でもあります。ここでは、人間の脳に似たニューラルネットワーク(神経回路網)が、特定の目的や用途のために学習を行います。NIPSで公開した8分の1スケールモデルは、トライ&エラーを重ねてパーキングの方法を学習しましたが、Audi Q7 deep learning conceptは、トレーニング走行の間に、有効と思われる行動の精密なデータを集めます。言い換えれば、ドライバーからクルマが学ぶということです。
人工知能は、自動運転にとって新時代を切り拓くための要となるテクノロジーです。そのため、アウディはこの分野で、エレクトロニクス業界の有力企業と緊密な協力関係を構築してきました。アウディは、それらのパートナー企業とともに機械学習のための様々なアプローチやメソッドを評価してきました。その目的は、検討されている特定の用途に対して、常に最適なメソッドを見つけ出すことです。ITおよび自動車産業における企業の協調的な取り組みは、将来の革新的なコンセプトや量産モデルの実現にとって非常に大きな価値があります。
NVIDIAは、システム開発における卓越した専門能力により、半導体業界における世界最大かつ最も有能なプレーヤーと考えられています。アウディは、2005年からNVIDIAと協力関係にあります。Audi A4がNVIDIAのコンピューターチップを使い始めたのは、2007年からです。その2年後には、NVIDIAのテクノロジーにより、Audi A8のビジュアルディスプレイに大きな革新がもたらされました。
その後、2013年に導入されたモジュラーインフォテイメントプラットフォーム(MIB)には、NVIDIA製のTegra 2プロセッサーを搭載。さらに、2015年にAudi Q7とともにデビューしたMIB2では、NVIDIA T30プロセッサーを採用しています。
このプラットフォームは、今年発売予定の新型Audi A8でMIB2+へとさらなる進化を遂げます。そこで中核となるのは、NVIDIA製のTegra K1プロセッサーです。それにより新しい機能が可能になるほか、第2世代のアウディバーチャルコクピットを含めて、複数の高解像度ディスプレイを同時に作動することができる強力な処理能力が得られることになります。オンボードとオンラインの情報が融合することにより、クルマはかつてないレベルでクラウドネットワークと一体となって機能するようになります。
新型Audi A8では、MIB2+とともに、セントラルドライバーアシスタンス コントローラー(zFAS)がデビューを飾ります。また、NVIDIA製KIプロセッサーも搭載され、将来的にはX1プロセッサーの採用も計画されています。アウディとNVIDIAは、AIアプリケーションにおけるNVIDIAの高度なノウハウと、自動運転分野におけるアウディの豊かな経験を組み合わせることにより、長年続いてきた両社の協力関係をさらに強固なものにすることを計画しています。
自動運転分野におけるアウディのもうひとつの重要なパートナーが、Mobileye(モービルアイ)です。zFASには、モービルアイ製画像処理チップが内蔵されています。自動車用画像認識技術の分野で世界をリードするモービルアイは、イスラエルに本拠を置くハイテク企業です。
そのカメラは、複数のアウディモデル(Audi Q7、A4/A5シリーズ、新型Q5)にすでに搭載されています。このカメラの画像処理ソフトウェアは、路面のマーキング、車両、交通標識、歩行者など、数多くのものを認識することができます。これまでは、対象物が何であるかを特定するために、どの特徴を目安にするかは、開発者の個別の判断に頼ってきました。
しかしながら、アウディとモービルアイは、新型Audi A8の画像認識システムにディープラーニングのメソッドを初めて導入することで、開発の新たなステージを提示しています。その結果、開発過程における手作業での学習メソッドの必要性が大幅に削減され、ディープニューラルネットワークを備えたことで、対象物が何かを特定するのに、どの特徴を目安にするのが適切であり有効であるのか、システムが自己学習するようになりました。この方法論を用いることにより、安全な自動運転を実現する上で重要な前提条件となる、空いた走行スペースでさえも認識できるようになります。
新型Audi A8では、トラフィックジャムパイロット機能も初採用されます。これは一定の条件下において、ドライバーがクルマにすべての運転操作を委ねることができる、市販モデルとしては世界初の自動運転システムです。自動運転の技術水準は、今後10年の間にさらに高度なものとなり、適用可能な運転状況も拡大されていきます。
*本リリースは、ヨーロッパ仕様に基づくAUDI AG配信資料の翻訳版です。
アウディ ジャパン株式会社ホームページはこちら