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ブラジルでの自動車産業向け事業への取り組みを強化【ランクセス】

2011年12月21日

・ 3つの新規プロジェクトに3,000万ユーロ(7,500万レアル)を投資
・ 100人以上の雇用を創出
・ ポルト・フェリース拠点を特殊化学品の主要拠点に
・ トリウンフォ拠点ではバイオ原料を使用した世界で初めてのエチレン・プロピレンゴム(EPDM)を製造
・ 「エコタイヤ」向け高性能ゴムの製造能力を増強
・ 2011年10月6日にサンパウロで第1回「Automotive Day」を開催

ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、3つの新規プロジェクトに総額約3,000万ユーロ(7,500万レアル)を投資し、ブラジルでの事業展開を強化すると発表しました。この投資により、100人以上の雇用を創出し、ブラジルで拡大する「環境に優しい車社会化」の動きを後押しします。ランクセスの高機能素材が、成長するブラジルの自動車市場に革新的なソリューションを提供します。

10月6日にブラジルで初めて開催された「Automotive Day」を前に、ランクセスのCEOであるアクセル・ハイトマンは、次のように述べています。「ランクセスは、現在そして未来のブラジル経済の成功に寄与するため、大規模な投資を行ないます。ブラジルはランクセスのBRICS諸国における経営戦略の中心的役割を担っています。ブラジルでの事業展開は、ランクセスの2015年の目標値とする特別項目調整前EBITDA(約14億ユーロ)達成に大きく貢献するでしょう」

急成長するブラジルの自動車産業

上記の3つの投資には、ランクセスのポルト・フェリース(ブラジル・サンパウロ州)拠点における2つの工場の新設が含まれています。その1つは、高性能エンジニアリングプラスチック「デュレタン(R)(Durethan(R))」(PA6, PA66)と「ポカン(R)(Pocan(R))」(PBT)を製造する新工場です。これらの製品は、主に自動車産業において車の軽量化と低燃費を実現するために使用されています。
セミクリスタリンプロダクツビジネスユニットが運営するこの新工場は、初期製造能力2万トン/年を備え、2013年半ばに稼働を開始します。

ポルト・フェリース拠点のもう1つの新工場では、ゴム添加剤「レノグラン(R)(Rhenogran(R))」とタイヤ加硫用ブラダー「レノシェイプ(Rhenoshape(R))」を製造します。予備分散ゴム薬品「レノグラン(R)(Rhenogran(R))」は、ゴム製品の品質と耐久性を大幅に向上させます。また「レノシェイプ(Rhenoshape(R))」ブラダーは、タイヤに最終的な形状と特性をもたらすためにタイヤ産業において使用されています。同工場はランクセスの完全出資子会社であるラインケミー(ドイツ・マンハイム)によって運営され、予備分散ゴム薬品2,000トン、そして加硫用ブラダー17万個の年間製造能力を備えます。同工場は2012年度第4四半期に稼働を開始します。

ハイトマンは、また次のように述べています。「ランクセスでは、ポルト・フェリース拠点をブラジルと中南米地域の顧客向けに最新技術を提供する特殊化学品の主要拠点にしたいと考えています」ランクセスは、既にポルト・フェリース拠点で最新設備を備えた無機顔料の工場を順調に稼働しています。

バイオ原料を使用した世界で初めてのEPDM(エチレン・プロピレンゴム)

第3の投資は、合成ゴムの製造にバイオ原料を使用する画期的な取り組みです。
ランクセスはバイオ由来のエチレンからEPDMを製造するために、トリウンフォ拠点(ブラジル・リオグランデ・ド・スル州)の工場の一部を再編成しています。2011年11月以降、ブラジルのブラスケム社よりパイプラインを経由して、サトウキビを原料とするバイオエチレンの供給を受け、世界で初めてのバイオ原料を使用したEPDM「ケルタン エコ(Keltan(R) Eco)」を製造します。トリウンフォ工場の年間製造量(4万トン)の4分の1は、「ケルタン エコ」の製造に割り当てられます。「トリウンフォ工場でのバイオ原料を使った合成ゴムの製造は、ランクセスの『環境に優しい化学』への継続的な取り組みの一環です」と、ハイトマンは述べています。

「エコタイヤ」向け高性能ゴムの製造能力増強

ランクセスは、「エコタイヤ」向け高性能合成ゴムの主要メーカーです。「エコタイヤ」は、タイヤ産業において最も急速に成長している分野です(年間成長率10%)。
この需要成長の背景には、車社会化、そして、より厳しい環境基準と安全基準を満たした高性能タイヤを求めるドライバーの増加があります。さらに欧州連合(EU)が導入するタイヤの「ラベリング制度」によって「エコタイヤ」の需要は加速するでしょう。この新制度は、安全性において妥協しない「エコタイヤ」を促進することで、二酸化炭素排出量と騒音を低減することを目的としています。これに相当する規制が韓国でも可決されました。

この需要に対応するため、ランクセスでは、ブラジルを含め世界で、「エコタイヤ」に使用される高性能ゴムの製造能力増強を図っています。カボ・デ・サント・アゴスチーニョ拠点(ブラジル・ペルナンブコ州)では、Nd-PBR(ネオジウム触媒ポリブタジエンラバー)の製造能力増強を図っています。2011年内に完了予定で、これにより年間製造能力は倍増(4万トン)します。さらに、同工場での技術レベルを、ドイツや米国のNd-PBR工場と同等に引き上げました。

Nd-PBRは、「エコタイヤ」のトレッドとサイドウォールに使用され、タイヤのエネルギー消費や転がり抵抗の低減を実現します。また、Nd-PBRは摩耗を低減し、タイヤ寿命を延長する重要な役割も果たします。

トリウンフォ拠点において高性能ゴム製造に向けた新設備導入の検討

同時に、ランクセスは、トリウンフォ拠点においてフィージビリティスタディを実施し、標準タイヤ向けのESBR(エマルション・スチレン・ブタジエン・ゴム)の製造を、「エコタイヤ」向けのSSBR(ソリューション・スチレン・ブタジエン・ゴム)の製造に転換する新技術導入の可能性を検討しています。現在、ESBRの年間製造能力11万トンを備えるトリウンフォ拠点の製造転換を行なうには、 4,000万ユーロから6,000万ユーロの投資額が必要となります。2012年半ばには、最終決定がされる予定です。SSBRは、主に「エコタイヤ」のトレッドコンパウンドに使用され、転がり抵抗を低減し、ウェットグリップ性能を向上します。「エコタイヤ」は、SSBRとNd-PBR両方を含むゴム配合により、それぞれの最大の性能を確保することができます。

ブラジルにおける順調な事業拡大

これらの最近の投資はブラジルにおけるランクセスのプレゼンスを強化するためです。ランクセスは7年前400名の従業員でブラジルでの事業展開を開始し、2008年にペトロフレックス社を買収しました。現在では、約1,000名の従業員を擁する、ブラジルで最大規模の化学品メーカーです。

ブラジルは、ランクセス製品の売上成長率が最も高い成功市場の1つです。2005年時点では、ランクセスグループの総売上高の1%にも満たなかった同国ですが、今日ではグループの総売上高の約10%を占めるまでになりました。さらに、2010年には、記録的な売上高(7億100万ユーロ)を達成し、2011年に再びその記録を上回る勢いとなっています。

ブラジルにおける「環境に優しい車社会化」をさらに促進するために、ランクセスは10月6日、サンパウロにおいて、第1回「Brazil Automotive Day」を主催しました。
「Automotive Day」はブラジルと中南米の自動車およびタイヤ産業のリーダーが一同に会する終日のシンポジウムで、約400名の出席がありました。


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