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カーボンナノチューブのスピーカー材料への応用【GSIクレオス】
2016年10月12日
カーボンナノチューブのスピーカー材料への応用
―三菱電機㈱がスピーカー振動板の充填材料として採用―
㈱GSIクレオス(東京都千代田区/代表取締役社長 中島浩二)が取り扱うカップ積層型カーボンナノチューブ(CSCNT)が、三菱電機㈱(東京都千代田区/執行役社長 柵山正樹)が製造する車載用スピーカーの新しいNCV-R振動板(Nano Carbonized high Velocity)の充填材料に採用されることとなりました。
三菱電機㈱では、スピーカー振動板として必要とされながらも相反する性能である「伝搬速度」と「内部損失」を高次元の領域で達成することに成功しました。今回開発された新しいNCV-R振動板は、当社CSCNTを充填することで、金属チタンを超える毎秒6,300m(実測)の伝搬速度を実現しました。また、NCV-R振動板は同時に紙製と同等の0.033という適度な内部損失を有しています。
この領域は、従来の材料、あるいは一般的なカーボンナノチューブの充填では不可能であった領域で、高音から低音まで原音を極めて忠実に再生できる未知のサウンドを実現しています。この世界初の画期的な性能達成には、当社CSCNTがカップ積層型という特異な炭素結晶構造を有していることが大きく寄与しています。
同社では、NCV-R振動板を車載用「ダイヤトーンスピーカーDS-SA1000」に使用することから、当社はそれに対応すべくCSCNT材料の供給体制を整備するとともに、スピーカー振動板のさらなる性能の向上に寄与するため、今後もCSCNTの改良改質を進めてまいります。
(用語解説)
1.カップ積層型カーボンナノチューブ(CSCNT) (右図)
当社が独自に展開する、炭素網がカップ状に積層された構造を持つカーボンナノ
チューブ(商品名、カルベール®)。
2.伝搬速度
振動板を伝わる振動の速度のこと。チタンなどの金属素材の振動板では速く、紙や
ケブラー®などの繊維系素材では遅くなる。良質な音楽の再現にはこの速さが重要な
要素となり、特に高音では原音信号に基づいて振動板全体にすばやく振動を伝える
速さが求められる。
3.内部損失
振動板の振動がどれだけ収まりやすいかを示すもの。紙やケブラー®などの繊維系素材の振動板では振動が収まりや
すく余分な残響を残さないが、金属素材では固有音(共鳴音)が残りそれが音楽にまとわりつく。原音信号を再現
するうえで内部損失は適度な性能が求められる。
<本件に関するお問い合わせ>
㈱GSIクレオス 経営企画部 企画広報課 Tel 03-5211-1802
<当社CSCNT およびその技術に関するお問い合わせ>
㈱GSIクレオス ナノテクノロジー開発室 Tel 044-322-5595
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