ニュース
よりスマートに、かつ高速に充電ができるEV向け充電ステーション【日本テキサス・インスツルメンツ】
2016年9月8日
電気自動車(EV)は市場に新たに登場したものではなく、実際は100年以上前から存在していましたが、その普及は非常に遅いものでした。交通輸送の代替エネルギー源を支援する法規制とあわせて、バッテリの進化がその普及を促進してきました。しかし、EVは広大なネットワークを持つガソリンスタンドとの熾烈な競争に直面しています。ガソリンスタンドが従来の内燃エンジン車に燃料をすぐに注入できるのに対して、EVを完全充電するのには数時間もかかります。
EV充電器は、その電源および充電能力を元に、レベル1、2、3という三つのタイプに大きく分類されます(表1)。これらの三つのタイプは、充電技術によって、さらに交流(AC)と直流(DC)に分けられます。レベル1のAC充電器は、バッテリセルへの損傷を避けるため低い充電電流を使って低速充電を行います。低速充電はまた、ローカル・グリッド接続のエネルギー能力との調整を容易にします。レベル2のAC充電器は、通常は公共の充電ステーションに設置され、商用ビルで使えるより高い電流に接続することができます。電力を処理する能力とセル技術の革新により、レベル3のDC充電器が登場するに至りました。レベル3の充電器は、高電圧のAC/DC電源を持つので、クルマの中のAC/DC充電器をバイパスし、非常に高い充電レベルを提供します。
表1 : 電気自動車サービス設備(EVSE)の分類
表1の通り、レベル3の充電器は、レベル1と2の充電器と比べて充電時間が短いのですが、世界で導入されている割合は10%にも達しません。そのような充電時間の長さ(レベル3充電器含む)が、EVの普及を阻んできた主な理由です。EVSEに遠隔監視および制御機能を追加すると、充電時間の長さにEV所有者が感じている不便さを和らげてくれるでしょう。例えば、オフィスの駐車場や、ショッピング・モール、高速道路にあるような公共の充電ステーションでEVSEを備えた駐車場を遠隔監視して、特定の時間枠を予約できれば、次の降車点でEV充電器を見つけるべきか、といった不確かな心配をする必要がなくなります。EV充電が完了した時にテキストメッセージで自動的に通知されれば、利用者は次の利用者にすぐに駐車スペースを譲ることができるようになります。家庭で充電プラグに差し込みEVの充電時間とその状態を自動化できると、電力需要のピークを外して、少ない時間帯にEVを充電できるようになるはずです。
TIの新しいWi-Fi付きEV向け充電ステーション・リファレンス・デザイン(TIDC-EVSE-WiFi)は、先述の使用例で説明した遠隔監視および制御の要件を完全に満たす以上のものを提供します。EVSEにWi-Fiを追加すると、どのようなWi-Fi接続されたデバイスからでも、標準的なウェブ・ブラウザを使ってEVSEを監視できるようになります。このデザインに含まれる主な機能は、以下の通りです。
・レベル1とレベル2の充電動(120V~240V)
・30Aまでの供給電流(大きなリレーを使えばもっと拡張できる)
・パイロット信号線の通信サポート
・リレー作動状況の検出
・高精度のエネルギー計測
・Wi-Fiトランシーバ上のSimpleLink™技術を使ってできる通信
このリファレンス・デザインは、主力市場へのEVの普及を促進する装置を開発するエンジニアを支援するTI Designの製品ポートフォリオに最新製品を加えたものです。TIは2016年の後半には、最大600V、400Aまで拡張できるレベル3のEV DC充電器のリファレンス・デザインをリリースする予定です。この新レベル3のEVSEパワー・サブシステム・デザインの詳細については、続報をお待ちください。
図2 : TIの新Wi-Fi利用可能なレベル1と2のEVSE設計のリファレンス・デザイン・ボード
追加情報 :
・「Wi-Fi機能付きEV向け充電ステーションの新型リファレンス・デザイン」についてのニュースリリース
・レベル1、2のEVSEやレベル3のEVSE設計に役立つ、TIの組込み、およびアナログ技術とリファレンス・デザイン
・レベル1とレベル2のEVSEリファレンス・デザイン(TIDA-00637)
※SimpleLinkはTexas Instrumentsの登録商標です。その他、すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
上記の記事は下記URLより翻訳転載されました。
*ご質問はE2E日本語コミュニティにお願い致します。
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社ホームページはこちら