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世界初*1、「前輪駆動車用高効率トロイダルバリエータモジュール」を開発【日本精工】

2011年11月29日

~ 小型・軽量化と効率向上で、更なる燃費向上に貢献 ~

日本精工㈱(本社/東京都品川区、取締役 代表執行役社長 大塚紀男、以下NSK)は、世界で初めて前輪駆動車(FF車)への搭載を可能にしたトロイダルバリエータ*2(無段変速機)を開発しました。本開発品は、多段オートマチックトランスミッション(AT)やベルトドライブCVTを凌駕する省燃費を実現します。
NSKは本開発品を2011年11月30日(水)~12月11日(日)まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される第42回 東京モーターショーに出展します。

*1  2011年11月時点 NSK調べ。

*2  トロイダルバリエータ: Continuous Variable Transmission(CVT、無段変速機)は変速ギヤを使用せず、無段階の変速を可能にしたトランスミッション。エンジン回転数に応じて理想的な変速比でエンジンの動力を伝達するため、変速ショックが無い滑らかな乗り心地と燃費向上を実現します。今回、NSKが開発したトロイダルバリエータは、従来のトロイダル CVTの変速比幅を大幅に拡大し、効率を向上しました。

製品の特長

世界で初めてFF車に搭載可能
従来のトロイダルCVTは、搭載スペースの関係で大型車などの後輪駆動車(FR車)にのみ搭載が可能でしたが、本開発品は構成部品をコンパクトにレイアウトすることや内部仕様を見直すことで、従来よりも全長を約2割短くすることで、FF車への搭載を可能にしました。また、重量は約3割軽量化しました。今後、幅広い車種への採用が期待できます。

伝達効率の向上
従来品の優れた伝達効率を更に高め、摩擦損失を半減しました。

ワイドレンジ
従来品に比べて、変速比を拡大することで、より幅広い車速領域で、エンジン回転数を下げることができます。

モジュール化
従来品は納入先のカーメーカーにおいて、一部の部品の組立てが必要でしたが、本開発品は組立てが不要なモジュール部品として納入できます。従って、カーメーカー各社での生産性向上に貢献します。

開発の背景

昨今の世界的な原油高騰の見通しや燃費規制強化への対応から、トランスミッションには、ATの多段化や小型・軽量化、低フリクションロスなど、高効率化が求められています。NSKは、1978年にハーフトロイダルCVTの開発に着手。そして、当社独自の軸受技術を用いてCVT専用の高清浄度浸炭鋼(CVT鋼)を開発、更に高度な浸炭窒化熱処理技術や超精密表面加工技術などを用いて、世界で初めて自動車用としての耐久性を満足する、パワーローラとディスクの開発に成功しました。NSKは、トロイダルCVTの開発を通じて、現在では、世界中に1,000件を超える特許を出願しています。

NSKは、1999年に世界で初めて、自動車向けハーフトロイダルCVT(トラクションドライブ式無段変速機)の実用化に成功し、その後、航空機向けにも本技術を展開するなど、技術の熟成と進化を図ってきました。今回、自動車向けにトロイダルCVTを改良したトロイダルバリエータを新たに開発し、幅広い車種への搭載を可能にし、かつ大幅な燃費の向上を可能にしました。

NSKは、90年以上にわたって培われた当社の4 Core Technologies™(トライボロジー、材料技術、解析技術、メカトロ技術)により、自動車の小型・軽量化と・低フリクションロスを実現し、自動車の燃費を大幅に向上する夢の新製品の開発を今後も進めていきます。

自動車、駆動系の開発動向

トロイダルバリエータの構造

トロイダルバリエータの進化

FF用トランスミッションへの適用例


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