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国内初となるタグボート用ハイブリッド推進システムを開発【IHI/新潟原動機】
2011年11月24日
国内初となるタグボート用ハイブリッド推進システムを開発
~従来同型機関に比べ,燃料消費量を約20%低減することが可能な推進システム~
IHIの子会社である新潟原動機㈱(以下NPS,社長:犀川淳一,現住所:東京都中央区)は,国内初となるタグボート用ハイブリッド推進システムを開発しました。本システムは,ハイブリッド自動車と同様にエンジン,モーターおよび高性能蓄電池を用いた推進システムであり,従来同型機関に比べ,約20%燃料消費量を低減することができ,環境負荷の低減に貢献します。
本ハイブリッドシステムの特徴は以下の通りです。
1. NPSの得意とするZ型推進装置(Zペラ)とモーターを一体型として搭載し,システムのコンパクト化を図っています。
2.駆動源(主機関,モーター),電力供給源(ディーゼル発電機関,高性能リチウムイオン電池)がそれぞれ2つずつあり,それらの組み合わせにより,状況に応じた効率良い運転が可能です。
3.低速航行時に積極的に高性能リチウムイオン電池を用い,主機関を停止させることにより燃料消費量を削減します。
4.急激な負荷変動に対し,モーターが主機関をアシストすることにより瞬時の黒煙排出を防止できます。
近年,船舶における環境規制は,世界的に強化されています。タグボートは主に港湾内において大型船舶の離着岸を補助する小型船舶であり,世界中の港湾に多数配備されています。港湾は多くの船舶が集まる場所であると共に生活圏に近接しており,港湾の環境負荷低減には多くの関心が寄せられています。
NPSは,Zペラ,舶用エンジンおよび制御システムといった推進システムを一貫で製造できる世界でも有数の企業であり,タグボート向け推進装置の国内シェアは80%以上,世界シェアで30%を有しています。すでに販売を開始している環境対応新型エンジンの28AHX,17AHXシリーズに,今回開発したハイブリッド推進システムを加え,環境対応製品のラインナップを拡充します。
NPSでは,本推進システムを,今後,タグボート以外の船舶へ適用できるよう開発を進めていき,船舶の環境負荷低減に積極的に対応していきます。
注)本研究開発は,応用研究開発段階においてボートレースの交付金により日本財団の援助を受けて海洋政策研究財団(財団法人シップ・アンド・オーシャン財団)が行う技術開発基金による補助金を受けて実施しました。また,実用化段階において一般財団法人日本海事協会との共同研究体制により研究を実施すると共に,日本海事協会の「業界要望による研究開発」のスキームにより研究支援を受けて実施しております。
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