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2016年に注目される4つの技術トレンド【日本テキサス・インスツルメンツ】
2016年4月12日
現在、私たちの身の回りのあらゆるものが、日々スマート化され、オンラインでつながり、より多くの新しい機能や電子コンテンツを利用するようになってきています。半導体技術の革新によって、パーソナル機器や車載機器、製造分野といった多くの市場で、この数年間に急速に進化したさまざまな新製品が登場しています。多くの新しい市場でさらなる革新を後押しする、いくつかの技術トレンドおよび半導体業界の役割に焦点を当ててご紹介いたします。
1．スマート・パワーと高電圧
より高い電力効率の追求はますます盛んになっています。回路トポロジの最適化と、パワー・デバイス技術や高度なパッケージ技術により、1KW/in3を超える高い電力密度が実現されています。電源管理については、明確なトレンドがあります。
● サーバ・ファームは、新しいクラウド・サービスやソーシャル・ネットワークを収容するために拡大を続けていま
す。サーバ数やデータ・フローが急速に増加する中で、電源管理の効率はますます重要性を増しています。
高電圧からPOL（ポイント・オブ・ロード）まで、サーバ電源管理における高効率の要求に伴い、電力密度の向上と
変換ステージの不要化を目的とした新しいコンバータ・アーキテクチャや回路トポロジが開発されています。
● ポータブル・デバイス向けには、より小さく高速なチャージャが求められます。より高いスイッチング周波数と改良
されたパワー・デバイスの組み合わせにより、より高い電力効率が実現され、アダプタのサイズ縮小にもつながって
いますが、その一方で、アダプタの設置スペースにおける制約も厳しさを増しています。
● 車載向けのLEDアレイ・コントローラや、高性能サーバ、および高電力/高トルクのドローンや電動バイク向けのバッ
テリ管理など、多くのアプリケーションでスマート・パワーソリューションが導入されています。デジタルとアナロ
グの制御ループを混在させることで、さまざまな負荷電流でより高い効率を実現できます。また、多くの電源ソ
リューションが、極めて低いスタンバイ電流やスリープ・モード電流、および高速なスタートアップを特長としてい
ます。
● 太陽光発電や電気自動車/ハイブリッド車など、代替エネルギーの市場は、安定した成長を続けています。さらに、
より高電圧のアプリケーション（特に、600～1200V）に向けた半導体市場も成長しています。長く待ち望まれたIII-
V材料（GaN、SiCなど）も導入が盛んになり、新しいアプリケーションを生み出しています。
2．インダストリー4.0
製造および在庫管理へのスマート化移行も進んでいます。低電力接続、組込み処理、組込みセンシングなどの主要な技術によって、低電力のインテリジェント・ネットワーク・センシング・ソリューションの実現に大きな進歩が見られました。ただし、インダストリー4.0の幅広く迅速な導入に際しては、セキュリティと信頼性が主な懸念事項となります。湿度、温度、圧力などのマルチモード・センシング・ソリューションは、多くの産業用およびビルディング・オートメーション・システムに統合されています。超低消費電力は、バッテリ寿命にとって、さらにはエネルギー・ハーベスティングにとって不可欠な条件です。高効率の電源管理およびシグナル・チェーン技術によって、1μW未満の待機電力および100nA未満のスリープ・モード電流が可能になりました。アナログおよびデジタル信号プロセッサを含む、統合された超音波およびミリ波センシング・ソリューションは、流量計、診断機器、および他の多くの産業用アプリケーションで、新しいマルチモーダル機能を提供できます。
3．半自律型システム
電子コンテンツは、引き続き新しい自動車の差別化要因となっています。半自律型自動車の先進運転支援システム（ADAS）は、ベータ・テストや高級車への適用段階から、業界の主流へと移行しつつあります。カメラの広範な使用（1台あたり最大10個）や、レーダ、ソナー、そして最終的にLIDAR（レーザー光線を使ったリモートセンシング技術）の統合によって、より高速なインターフェイスや階層的な信号処理が求められ、スマートカーへの道が切り開かれてきました。これらの技術により、衝突回避、車線検出、スムース・ホバリングなどの機能を手頃な価格で実現できるようになりました。
LEDアレイ用のインテリジェント照明サブシステム、双方向電力変換、高電圧ドライバや高電圧デバイスなど、電気自動車やハイブリッド車で使用される高度な電源ソリューションは、自動車分野で成長を続ける電源技術の一例です。
ロボットはいまや産業用分野に留まらず、医療や製造の現場で働く人々のすぐ側で運用されるようになっています。そのため、より軽量のロボットにおける適応型のセンシングや学習機能が不可欠になっています。高分解能の電流や、触覚、超音波、光学センシングを組み合わせた、幅広いセンシング・システムが、各種の軽量ロボットやドローンに導入されています。ローカル分析機能や高精度モーター・ドライブを備えた超低電力センシング・ソリューションは、そのようなアプリケーションを可能にするいくつかの重要な技術の1つとなっています。
4．ワイヤレス・インフラストラクチャ
マルチメディア、ソーシャル・ネットワーク、電子商取引、その他のデータ集中型アプリケーションに、いつでもどこでもアクセスできるようにするため、より高いワイヤレス・データ・レートへのニーズが高まっています。世界中の多くの大都市で、市街地のピーク・データ密度（Gbps/km2/MHz）が増加しています。LTEの導入にもかかわらず、ホット・スポットでは何らかのピーク・データ制限が発生しています。ネットワーク容量を増やす目的でスモール・セルが開発されてきましたが、それらの導入に関わるビジネス・モデルも大きく進化したことで、期待どおりの向上は見られていません。
エンタープライズ・クラウド・サービスの新しいモデルは、スモール・セル・サービスをラージ・セル・インフラストラクチャとは独立に利用することで進化を続けています。中国など一部の市場では、OEMおよび通信事業者間のコラボレーションによって、スモール・セルによるLTEとWi-Fiの共同サービスがサポートされています。携帯電話網とWi-Fi間でのシームレスなローミングや分散アンテナ・システムの導入は、期待されたほど早くは進んでいません。
スモール・セルに対しては、PoE（Power over Ethernet）を通して給電可能な、小型・低電力でありながら柔軟性の高い無線接続が求められます。スモール・セルの革新的な要件に対応できる新しい無線アーキテクチャは、100MHzを超える超広帯域無線と、RFサンプリングなどの柔軟な技術に依存しています。また、多くの新しいベース・ステーション・システムには、低ジッタでプログラマブルな基準クロックも不可欠です。消費電力と柔軟性の間のトレードオフを考慮した結果として、低電力で高性能のDSP、ASIC、FPGAなど、さまざまなベースバンド・アーキテクチャが登場しました。
まとめると、消費者向け市場のいくつかのセグメントは、その急成長により、この数年間の革新や成長の主要な焦点となってきました。電子化の進展によって、より高いレベルの効率や信頼性を備えた新しい機能が、産業用、車載用などその他の市場でも実現されることで、革新の機会はさらに大きく広がると予想されます。電源や信号処理における革新は、システム・ソリューションのさらなる最適化を可能とし、ユーザーに直接の利益をもたらします。電源管理、アナログ、組み込み処理を含め、業界で最も多様なIPポートフォリオを提供するTIは、新しいシステム・ソリューションの最適化につながる新しい回路、デバイス、パッケージの革新の可能性をさらに広げるために、積極的な取り組みを進めています。
※上記の記事はこちらのBlog記事（2016年1月19日）より翻訳転載されました。
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