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自動車のさらなる燃費向上に貢献する車載パワートレイン制御向け32ビットマイコン「RH850/E1M-S2」を発売【ルネサス エレクトロニクス】
2016年3月8日
自動車のさらなる燃費向上に貢献する
車載パワートレイン制御向け32ビットマイコン「RH850/E1M-S2」を発売
~強化が進む環境規制に対応した燃費向上を実現~
ルネサス エレクトロニクス㈱(代表取締役社長兼CEO:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)は、このたび 自動車のエンジンやトランスミッション等のパワートレイン制御向けに、高性能・高機能化によりさらなる自動車の燃費向上に貢献する32ビットマイコン「RH850/E1M-S2」を製品化しました。本日からサンプル出荷を開始します。
新製品「RH850/E1M-S2」は、(1)新たに開発した高性能CPUを搭載したことにより、応用性能を当社従来比約30%(注1)向上し、強化が進む環境規制に対応する燃費の向上を実現します。また、(2)センサ数の増加と、センサ情報や他の車載制御ユニットとの通信量の増大に対応するため、センサ用デジタル通信規格SENT(注2)と高速通信可能なCAN FD(注3)に対応しました。さらに、(3)車載向けに堅牢性を高めるため、SHE/EVITA-Light(注4)に準拠したハードウェアセキュリティモジュールICU-Sを搭載しました。また、(4)従来製品である 「RH850/E1L」、「RH850/E1M-S」とハードウェア/ソフトウェアの互換性があるため、最小限の置き換え工数で高性能・高機能の新製品へ、アップグレードが可能です。
「RH850/E1M-S2」の量産は、2017年9月より開始し、2018年4月に月産10万個を計画しており、サンプル価格は12,000円/個(税別)になります。
昨今、自動車の燃費・CO2排出基準がますます強化され、2018年には、CO2排出量を現行比10%減とする規制(注5)が実施されます。こうした目標をクリアするために、エンジン制御システムでは、燃焼状態や走行状態、多様な環境に応じて最適なタイミングで点火や噴射の制御を行うことが求められます。また、トランスミッション制御システムにおいては、時々刻々と変化する走行状態において、理想的な変速比の選択と、ロスの少ない動力の伝達が求められます。ルネサスは、こうしたパワートレイン制御システムに向けて、より高精度な制御のため、増大する演算量に応える性能の向上を実現し、かつ、センサ数の増加と制御情報を伝える通信量の増大に対応するネットワーク機能と、悪質なアクセスから車載制御システムを守るためのセキュリティ機能を搭載した新製品「RH850/E1M-S2」を開発しました。
新製品「RH850/E1M-S2」の特長は、以下のとおりです。
(1)新開発の高性能CPU「G3MHコア」搭載により、さらなる燃費向上に貢献
新製品に搭載の新CPU「G3MHコア」は、Tj=150℃下(注6)で車載制御用マイコンとして最高クラスの動作周波数320MHzを実現したG3Mコアから、さらにメモリや周辺機能へのアクセスレイテンシ(注7)を改良したことにより、エンジン制御システムの応用性能を当社比約30%向上(注1)。
(2)増加する車載センサへの対応と、他の車載制御ユニットとの通信に対応する高速ネットワーク機能を搭載
a) センサ情報の通信規格SENTに対応
自動車の状態や環境を知る情報源である車載センサは急速に増加し、高精度化が進んでいる。新製品は、センサ情
報の通信規格SENTに対応したRSENTを6チャネル搭載。デジタル化された約50個のセンサと通信可能であり、単
一の信号線で複数のセンサと信号の伝達が可能のため、ハーネス重量も軽減可能。
b) 高速通信CAN FDに対応
次世代車載LANの通信規格として、従来のCANの最大1Mビット/秒からCAN FD対応することで最大5Mビット/秒
へ通信速度が向上。また、従来CANバスに接続できるモードも装備。
(3)堅牢性を高めるセキュリティ機能を強化
エンジンやトランスミッションを悪質なアクセスから守り、安全な制御を実現するために、車載セキュリティの標準規格であるSHE/EVITA-Light(注4)に準拠したハードウェアセキュリティモジュールICU-Sを搭載し、データの暗号処理や乱数発生のための機能を搭載。
(4)従来製品とハード/ソフトの互換性があるため、ユーザはアップグレードが容易に可能
従来製品からの置き換え開発工数を最小限にするため、ハードウェア/ソフトウェアの互換性を維持。パッケージのピン配置は「RH850/E1M-S」と完全互換であり、基板レイアウトはそのまま流用が可能。ソフトウェアについても命令セットは上位互換のため、最小限の開発工数でアップグレードが可能。
なお、ユーザの開発支援として、従来製品「RH850/E1x」同様、新製品「RH850/E1M-S2」においても、GUI(Graphical User Interface)上で設定した周辺機能をCソースドライバとして自動生成するコード生成ツールを提供すると共に、パートナ企業と連携し、モデルベース設計開発を支援します。自動車のECU(Electronic Control Unit)の制御はますます複雑化されており、開発期間の短縮に貢献します。
ルネサスは今後も、パワートレイン制御など機能安全を伴う高性能・高機能な自動車制御向けマイコンの開発に注力し、拡販活動を積極的に推進して参ります。
新製品の主な仕様は別紙(172KB)をご参照ください。
(注1)点火時期・燃料噴射制御等、エンジン制御処理シミュレータでの実行時間比較
(注2)SENT (Single Edge Nibble Transmission)、SAE J2716 version JAN2010 準拠
(注3)CAN FD(Controller Area Network Flexible Data rate) ISO11898-1準拠
(注4)SHE(Secure Hardware Extension)、EVITA-Light(E-safety Vehicle Intrusion proTected
Application)準拠
(注5)米国CAFE(Corporate Average Fuel Economy)基準での規制強化例
(注6)Tj : ジャンクション温度
(注7)レイテンシ : データの転送要求などのリクエストを発してから、リクエストの結果が返ってくるまでの遅延時
間
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