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高伸びと高穴広げ性を両立した980MPa級高張力冷延鋼板を新開発【JFEスチール】
2015年12月9日
高伸びと高穴広げ性を両立した980MPa級高張力冷延鋼板を新開発
~プレス加工性に優れた冷延超ハイテンのラインナップ拡充~
当社はこのたび、超ハイテン(*1)では困難とされていた、優れた伸び特性と穴広げ性(*2)を両立する980MPa級の高張力冷延鋼板を開発しました。これは従来の当社汎用型の980MPa級冷延ハイテンと比較し、伸び値は2割向上、穴広げ率も2倍高くなっています。(*3)複雑な形状の部品を高強度化することにより、一層の車体衝突性能の向上と、軽量化による燃費向上へ貢献します。
近年、自動車用の骨格部品には、耐衝突特性の向上と車体軽量化による燃費改善を両立するため、超ハイテンの適用が拡大しています。しかし、複雑な形状の部品が必要とされるため、加工が難しい超ハイテンの使用は制限される場合もありました。従来から伸び特性と穴広げ性がそれぞれ個々に高い冷延鋼板はありますが、これらを両立し、かつ高いレベルで実現する開発は今回が初めてです。
一般的に、超ハイテンは伸び特性を向上させるために、延性に富む軟質相と、強度を担う硬質相を鋼板の金属組織中に共存させていました。そのため、大きな硬度差が破壊の起点となり、伸びフランジ成形性に劣っていました。一方、穴広げ性に優れる超ハイテンは、金属組織が硬質相単一で構成されているため、延性に乏しくなっていました。これらにより、伸び特性と穴広げ性の両立は、超ハイテンの大きな課題でした。
今回、独自の熱処理技術により、金属組織中に軟質相と硬質相に加えて、中間的な硬度の相を分散し、組織中の硬度差を低減することに成功しました。これにより、今まで難しいとされていた高延性材料の穴広げ性が、飛躍的に向上しました。この手法を活用し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に続き、冷延鋼板でも高伸びと高穴広げを両立した980MPa級ハイテンがラインナップに加わりました。
今後も、当開発材料の適用拡大を目指すとともに、更なる高性能な高張力鋼板の開発に努め、お客様からのご要望にお応えしてまいります。
(*1)超ハイテン : 引張り強さが980MPa以上ある高張力鋼板の総称。
(*2)穴広げ性 : 鋼板の伸びフランジ成形性を示す材料評価値。打抜き穴を円錐状の工具で押し広げ、初期径に対してどこまで広げられるかを穴広げ率で数値評価する。
(*3) 本開発材料の伸び値と穴広げ率の関係 :
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