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自動車向けCFRP部品量産システムでイタリア大手メーカーと提携【IHI】
2015年11月26日
自動車向けCFRP部品量産システムでイタリア大手メーカーと提携
~日本・アジアで量産システムのターンキー販売開始~
㈱IHI(所在地:東京都江東区豊洲,社長:斎藤保)は,欧州で多数のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)生産設備納入実績を持つイタリアの大手メーカーCannon S.p.A.(本社:ミラノ,以下CANNON社)と提携し,日本及びアジア地域の自動車会社とそのティア1サプライヤー向けにHP-RTM※1(高圧による樹脂注入成形法)成形設備によるCFRP部品量産システムの本格販売を開始しました。
欧州では自動車のボンネットなどのアウター部材やボディ部材として,鉄の約10倍の比強度のCFRPを用いることで自動車全体の軽量化・低燃費化を図る動きが進んでおり,高級車や電気自動車を中心にCFRP部品の採用が増えています。
CANNON社は熱硬化性CFRP成形設備において,独自開発のHP-RTM成形設備による成形サイクルの大幅短縮(3~6分/サイクル)を実現し,端材をリサイクルしてできる不織布を使用した成形への適用が可能な別工法(同社独自開発のリキッドレイダウン法※2,ギャップインジェクション法※3)と合わせ,欧州の自動車メーカー各社に約10年にわたりCFRP成形システムを納入しています。
CFRP部品は今後,日本の自動車部品においても軽量化・低燃費化を図るために採用が見込まれています。当社は機械プレスや各種FA設備において自動車メーカーへの納入実績を多数有しており,これらの分野で培った知見・技術と,当社が独自開発した熱可塑CFRP成形システムの技術,今回新たに製品ラインナップに加わったCANNON社の熱硬化性成形技術を合わせることで,今後もお客さまの様々なニーズにお応えしていきます。
本システムの販売は,当社が元請けとなりCFRP部品量産システムのライン全体をとりまとめ,ターンキーで提供を行います。
IHI/CANNON社では,2016年度に初号機受注および年間受注額30億円以上の受注を目指し,国内を始めアジアにおいても積極的な営業活動を展開していきます。
将来的には,本量産システムに,各工程で発生する端材を回収し炭素繊維を取り出し基材として再利用するリサイクルチェーンを加えた,低環境負荷を実現する設備の提供にも取り組んで行きます。
なお,当社とCANNON社では, 12月2日(水)から4日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「SAMPE JAPAN 先端材料技術展2015」にて共同ブースを出展し,CFRP成形に関する各種製品を紹介します。
「SAMPE JAPAN 先端材料技術展2015」 公式Webサイト : http://biz.nikkan.co.jp/eve/sampe/
IHI/CANNON社出展小間番号 : S-20,S-24
※1 HP-RTM/High Pressure – Resin Transfer Molding :
型内にプリフォームした基材(炭素繊維など)をセットして型締め後,高圧(10MPa以上)で樹脂を型内に注入
する方法です。従来のプリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状成形用中間材料)による成形法と比べ
成形サイクルを飛躍的に短縮することができます。
※2 リキッドレイダウン法 :
樹脂を基材(バージン材,リサイクル材)に直接塗布して成形する方法です。HP-RTM成形法と比べ樹脂を型内に
注入する必要がないため,プレスに必要な加圧能力(トン数)の低減が可能で設備投資額を抑えられます。HP-
RTM成形法には適さない不織布基材(バージン材,リサイクル材)への適用が期待されています。
※3 ギャップインジェクション法 :
HP-RTM工法と同じく,型内にセットした基材に樹脂を注入する工法です。樹脂注入中の金型締め付け圧を制御
し隙間(ギャップ)を意図的に生じさせ,その隙間を利用して樹脂を型内に注入させることでプレスに必要な加圧
能力を低減することができます。クロス基材はもとより,不織布基材での成形も既に実証済で,リサイクル材への
活用も可能です。
CANNON社(本社)概要
社 名 : Cannon S.p.A.
本 社 : Via Resistenza 12, I – 20068 Peschiera Borromeo(Mi)- Italy
代 表 者 : Mr. Marco Volpato
主な事業 : ポリウレタン成形設備を始めとした,熱硬化性プラスチック成形設備プロセス技術関連,真空成形設備,
工業用ボイラーなどのエネルギー設備,水処理設備,バイオマス設備などの環境設備,アルミダイキャスト
設備,工業用エレクトロニクスなど
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