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最も厳格な自動車の新環境基準への対応を容易にする先進的な車載用ICを発表【STマイクロエレクトロニクス】
2011年10月19日
新しい「パーシャル・ネットワーク」をサポートする高機能CAN対応チップが、燃費と二酸化炭素排出量を改善
エレクトロニクス分野の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的半導体メーカーで、車載用ICと省エネルギーのリーダーであるSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、燃費と二酸化炭素排出量の大幅な改善を可能にする先進的ネットワーク技術に対応した世界初の車載用ICを発表しました。
この車載用ICは、自動車メーカーが、世界中の主要市場で燃料節約と排出量削減に向けて変化し続ける新しい自動車関連法規に対応するのに役立ちます。
ヨーロッパでは、2014年にEuro 6がEuro 5に代わって導入され、2020年までに二酸化炭素排出規制値が平均95g/kmに引き下げられます。中国ではEuro 4と同等のChinese 4が2011年に発効されており、北京市ではChinese 5の採択を計画しています。また米国では、乗用車の企業平均燃費(Corporate Average FuelEconomy、CAFE)が、2016年までに30.4mpgから37.8mpgへ、さらに2025年までに50.6mpgへと引き上げられます。
自動車メーカーは、ますます厳格になるこれらの規制に適合すると同時に、魅力的な新製品を顧客に提供し続けるため、様々な方法で燃費改善を追求しています。
ドア・エレクトロニクスやエアコン等のシステムにおける消費電力の削減も、それらの1つです。STの新しい車載用ICは、「パーシャル・ネットワーク」を利用することで不使用モジュールを個別にオフにし、燃費改善を実現します。
これは、最新のCAN仕様(ISO 11898-6)に基づく新機能で、平均的な自動車の二酸化炭素排出量を2g/km以上削減することが可能です。
新しい車載用ICであるL99PM72PXPは、市場で初めてパーシャル・ネットワークをサポートするICの1つで、STの車載用CAN / LINトランシーバのポートフォリオを拡充します。また、同製品は、STとドイツの大手自動車メーカーとの緊密な共同作業の成果で、その自動車メーカーは最初のユーザとして同製品を採用する予定です。STは、主要な車載用半導体メーカーとドイツの自動車メーカーで構成された、ISO 11898-6の普及促進を目的とするコンソーシアムに参加しています。
STのオートモーティブ・エレクトロニクス事業部ジェネラル・マネージャであるMarco Montiは、次の様にコメントしています。「世界中の規制当局が、新車に対して次第に厳しい環境基準を設定する中、自動車メーカーはそれらに準拠するために、自動車全体の効率を最大限高める必要があります。新しいパーシャル・ネットワークの内蔵により、走行中の二酸化炭素排出量が約2g/km減少し、新しい規格に適合する上で有利になります。」
L99PM72PXPは2012年第3四半期に量産を開始する予定で、PowerSSO-36パッケージで提供されます。単価は、1000個購入時に約2.95ドルです。大量購入時の単価については、お問い合わせください。
技術情報
L99PM72PXPは、STの電源管理システム用ICファミリの新製品です。高速CAN(HS-CAN)とLINの両方の物理層を内蔵することにより、完全なカーボディ・アプリケーション向け電子制御ユニット(ECU、Electronic Control Unit)の構築に必要となる全機能を提供します。空調制御モジュールおよびドア制御ユニットに加え、シート・モジュール、トランク/トレーラ・モジュール、サンルーフ/リアビュー・モジュール等、特定用途向けに最適化さされた機能を搭載しています。
L99PM72PXPは、現在入手可能な標準的CANトランシーバやシステム基板ベースのチップとは異なり、モジュールのメイン・プロセッサが作動していなくても自律的にCANバスをモニタすることができます。そして適切なアドレスに対するウェークアップ信号を検出した時のみ、モジュールをアクティブにします。
L99PM72PXPは、このようにCANネットワークを部分的に非アクティブ化することで、全体的な消費電力の低減に貢献します。
L99PM72PXPの独自機能として、ECUの持続性・信頼性を向上させる先進的なフェイル・セーフ機能があります。マイクロコントローラ、電源電圧および温度管理等の内蔵機能が、様々な故障を未然に防ぎます。さらに、ハイサイド/ローサイドのゲート・ドライバ、オペアンプ、電圧レギュレータ等、コスト効率に優れたペリフェラルにより、外付け部品点数が減少し、全体的なシステム・コストが低減します。
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