EV用ワイヤレス給電装置向け高調波抑制フィルタの開発【日本電業工作】

2015年4月27日

EV用ワイヤレス給電装置向け高調波抑制フィルタの開発
～従来品（※1）の30％ダウンサイジング！発熱を最小限に抑える低損失フィルタ～

※1 ：当社比

日本電業工作㈱（本社：東京都千代田区九段南4-7-15、代表取締役社長：岩本眞、以下DENGYO）はこの度、70kHz～90kHz 帯で当社従来品と比べ「容積比30％減、発熱40K 以下」のEV用ワイヤレス給電装置向け高調波抑制フィルタを開発いたしました。

開発背景

近年、電波の利用方法として、電力伝送技術が注目されています。2015年度以降の実用化が予定されているワイヤレス電力伝送（以下、WPT）システムの一つとして、電気自動車への大電力（数kW）WPT システムの開発がすすめられています。そのWPT システムは、一般家庭や集合住宅、または公共施設内などへの普及が見込まれており、使用範囲として住宅内に限らず屋外の駐車場も含めた広い空間も想定されます。また、同空間内で複数のシステムが近距離で動作する可能性も想定されます。

このような環境で運用するには、WPT システムから発生する漏えい電磁波の高調波成分が、近接する機器や他の電子機器に影響を与えないような送受電の設備を設置する必要があります。

フィルタ利用時の構成イメージ一例

そこでDENGYOは創業以来、多くのお客様へご提供させていただいてきた、蓄積され受け継がれてきた技術力を活用し、小型・薄型で漏えい電波を抑制するフィルタを開発いたしました。

従来品（150mm×180mm×65mm）のサイズから、設置場所に応じた低背タイプ（290mm×114mm×35mm）と短尺タイプ（183mm×114mm×63mm）を開発し、一次装置側はもとより機器設置スペースが限られている車載側への組込み易さも考慮したフィルタとなっています。

【製品仕様及び製品外観】

開発した製品の特長

1．小型・薄型
新規にフェライトコア及びインダクタを開発することで、従来品よりも小型化することが可能となり、同時に軽量化することもできました。

2．低損失・低発熱
本来はフィルタを小型化すると、損失の増加と発熱の問題が生じますが、上記インダクタにより電力伝送周波数での低損失化及び積極的な放熱（熱拡散）で温度上昇も40Kまで抑えることに成功いたしました。

導入メリット

1．従来品より容積比30%減のため、システム機器への組込みが容易。
2．損失を抑えることにより低発熱なため長時間使用可能。
3．損失が1%未満であり、システム全体の電力伝送効率も低下させずに運用可能。

想定されるアプリケーション

・ EV用WPT システム
・オフィス機器、家電機器等WPT システム
・高周波加熱装置

温度上昇の比較

今回開発した高調波抑制フィルタと従来品で通常充電時間（約8時間）を想定し、温度上昇の時間変化の実証実験を行いました。本実験により、実験開始から8時間後の温度上昇を従来品よりも21K 低い37K（36%低減）を達成しました。

温度試験結果

高調波抑制効果

電源の高調波出力波形を、自社シールドルーム内で簡易的に測定し、基本波の奇数倍の高調波成分が減衰することを確認いたしました。

今後の展開

今回の技術を応用した製品リリースは今夏を予定。また、異なる周波数帯の高調波を低減させるフィルタも引き続き開発していく予定です。

製品紹介 URL ： http://www.den-gyo.com/solution/solution07.html

＜日本電業工作（DENGYO）について＞
1947年の創立以来、日本の通信事業発展に貢献し、通信インフラの実現を支える技術・製品を数多く創出してきました。アンテナ・フィルタといったコアビジネスの研究開発はもとより、中長期的な革新技術の創出にも積極的に取り組んでいます。資本金：3億3,000万円、売上高：142億円、従業員数：253名（2014年3月期）。

＜本件に関するお問い合わせ先＞
日本電業工作㈱（DENGYO）担当：マーケティング室
住所：東京都千代田区九段南4-7-15
e-mail ： Marketing@den-gyo.com URL ： http://www.den-gyo.com/

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