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トヨタFCV「MIRAI」に搭載 酸素供給エアーコンプレッサーと水素循環ポンプを新開発【豊田自動織機】
2014年11月19日
— エアーコンプレッサー : 世界初の6葉ヘリカルルーツ式を採用、高容量・低ノイズを実現
水素循環ポンプ : FCスタックと一体化により、小型軽量・高効率を実現 —
㈱豊田自動織機(社長:大西 朗 以下、豊田自動織機)は、このたび燃料電池自動車(以下、FCV)用のエアーコンプレッサー、水素循環ポンプおよび水素循環ポンプ用インバーターを新たに開発しました。これらの製品は11月18日にトヨタ自動車株式会社が発表した『MIRAI』に搭載されています。
今回開発したエアーコンプレッサーは、FCV向けに6葉ヘリカルルーツ式を世界で初めて採用し、小流量から大流量の空気流量に対応しながら効率よく空気を圧縮することが可能になりました。また、水素循環ポンプは、FCスタックと一体化することで、小型軽量かつ高効率を実現しました。さらに、両製品ともに従来品と比較して大幅な部品点数削減により低コストを図りました。
豊田自動織機はカーエアコン用コンプレッサーで培ってきた圧縮機・モーター・パワーエレクトロニクス技術をもとに、今後も更なる効率の改善、小型軽量を図り、FCVの性能向上に貢献してまいります。
開発した製品のFCVにおける役割と特長は以下のとおりです。
1. FCVにおける当社製品の役割
FCVは、酸素と水素をFCスタック内で反応させることにより発生した電気を用い、モーターを駆動して走行します。酸素はエアーコンプレッサーにより大気を吸引・圧縮して、FCスタックへ供給されます。また、水素は水素ステーションにて充填された高圧水素タンクから供給されます。さらに発電時に未反応の水素と発生する水は、水素循環ポンプにより、FCスタックへ再度送られ、水素を無駄なく使用するとともにFCスタック内部を加湿します。このように、エアーコンプレッサーと水素循環ポンプは、FCVの発電システムにおいて重要な役割を担っています。
2. エアーコンプレッサー
FCVは、始動後、絶えず酸素と水素をFCスタック内で反応させるため、エアーコンプレッサーはアイドリング時の小流量から加速時の大流量まで、効率良く大気を吸引・圧縮することが求められます。今回、世界初※1となる6葉ヘリカルルーツ式を採用し、独自のロータ形状を用いることで、空気流量の変化に対応しながら高効率で空気を圧縮することが可能になり、車両の加速性能と航続距離※2の向上に貢献しました。
また、エアーコンプレッサーは車両の加速時に大量の大気を吸引し、FCスタックへ供給するため、この時に発生する音の解消が課題でした。今回、空気流路に様々な消音構造を採用し、低ノイズ・低振動を実現しました。車両の加速時における不快な音を減らし、濁りが少なく、加速感を演出する音作りにも貢献しています。
※1 2014年11月現在自社調べ
※2 水素1充填あたりの走行可能距離
3. 水素循環ポンプ
水素循環ポンプは、発電時に未反応の水素と発生する水を効率良く循環させることが求められます。今回開発した水素循環ポンプは、FCスタックと一体化することで、モーターの放熱性を向上させて小型軽量と高効率を実現しました。また、発電時にFCスタックで発生する水がポンプ内に残って、極低温時に凍結して始動を妨げないように、圧縮構造を最適化し、低温起動性を確保しました。
4. 水素循環ポンプ用インバーター
水素循環ポンプ用インバーターは、水素循環ポンプの駆動に際し、電力消費のロスを最小限にして、効率よく制御することが求められます。今回開発した水素循環ポンプ用インバーターは、既に量産化されているカーエアコン用コンプレッサーのインバーター技術を活用することにより、高効率と低コストを実現しました。
『MIRAI』には、上記製品のほか当社の製品としては、カーエアコン用電動コンプレッサー、昇圧リアクトルとDC-DCコンバーターが搭載されており、今後のFCV用部品の需要拡大に対応してまいります。
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