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新しい非線形機能実装と有限要素法解析機能との連成により精度を高め、操作性を向上させた機構解析ソフトウェア「Adams 2014」をリリース【エムエスシーソフトウェア】
2014年8月27日
機構解析と非線形有限要素法解析の連携を強化
エムエスシーソフトウェア㈱(代表取締役社長:加藤 毅彦、本社:東京都新宿区 以下MSC)は、本日、「Adams 2014」のリリースを発表しました。
システムの動解析と有限要素法解析ソフトウェア領域との円滑な統合は難しく、効率的な設計および機械システムの検証の際の課題となっています。Adams 2014では、新しいネイティブ非線形パーツのモデリングおよび解析機能、およびAdamsと非線形有限要素法解析ソフトウェアMarcとのco-simulation技術によってこの問題に対処しています。また新バージョンでは、Adams/Machineryにカムモジュールを追加し、Adams/Carに車両モデリングと転倒イベントの機能を拡張しました。
Adams 2014の新機能は以下の通りです。
・新しいAdamsネイティブ非線形パーツモデリングおよび解析機能
「有限要素パーツ」は、大変形や形状非線形特性を特に考慮したAdamsの新しいネイティブモデリングオブジェクトです。定式化においては、Absolute Nodal Coordinate Formulation (ANCF)およびGeometrically Exact Beam Formulation(GEBF)を組み合わせたMSCによる新たな定式を採用しています。エンジニアはマルチボディダイナミックシステム内の形状非線形パーツにかかる動的荷重をより正確に計算することができます。有限要素パーツは、立体的に形状非線形を表現する3次元ビーム定式化オプションを提供します。この機能は梁のような構造の定義に有効で、基本的な2次元オプションも可能です。Adams/Viewは有限要素パーツの作成、可視化、修正をサポートし、新しい「FE Load」を使うことで分散荷重をより簡単に扱えるようになりました。あるベンチマーク事例では、モデルの作成時間が8時間から30分に短縮されています。
Chrysler Groupの解析担当エンジニアJoseph Little氏は述べています。「新しいAdamsの非線形梁機能の実装により、非線形性の考慮やモデルの接触挙動を、計算時間への影響を気にすることなく、簡単に追加できるようになりました。梁要素を創造的に使うことで、従来弾性体や複数の構成パートによるモデル化が必要とされたような様々なシミュレーションが、短時間で簡単なパラメータスタディで可能になりました。」
・新しくAdamsとMarcのco-simulationをフルサポート
Adams-Marc co-simulation機能により、Adamsと非線形有限要素法解析ソフトウェアMarcとの連成解析によるco-simulationが現実になりました。これにより、Adamsを使うマルチボディダイナミクスエンジニアは、形状や材料まで含めた非線形構造挙動を高い精度で解析することができます。また有限要素法解析エンジニアは、現実的な境界条件で部品の解析を行うことができます。非線形有限要素法解析ユーザーは、有限要素法で解析する剛体可動パーツの幾つかをco-simulation技術を使ってAdamsに置き換えて解析することで、解析時間を大幅に短縮できます。これによりトータルソリューションタイムを飛躍的に短縮することが可能になります。
Litens Automotive Group チーフエンジニアのDr.Steve Jia氏は述べています。「Adams-Marcのco-simulationは、”妥当な期間内に妥当な結果”というガイドラインを満たす以上の能力をもたらしました。90%以上の計算時間の短縮と高度な非線形有限要素法解析による最適化が実現しました。このような技術は我々の製品開発に大きな利益をもたらし、極めて重要なことです。」
・Adams/Machineryにカムモジュールを追加
設計の初期段階でカム従動子システムを最適化することが、コスト低減と生産性向上の鍵になります。新しいAdams/Machineryのカムモジュールには、カム従動子システムのモデリング作業を容易にします。このシステムはカム形状と従動節のモーション、配置、形状があります。新機能を使って、カムモデルを素早く効率的に作成できるようになります。これにより、メカニズムの動きを容易に作成し、カムプロファイルの設計変更、加速度を最小もしくは最大化してモーション機能を最適化することなどが簡単にできるようになります。
・Adams/Carに車両モデリングと転倒事象の機能を拡張
・Adams/Carに3つの転倒イベントを実装
転倒事故は死亡事故を引き起こす要因となります。乗員の安全確保のため、転倒の動きと車両の安定性に関する解析はとても重要です。Adams/Carでは、盛土、らせん状、砂床の3つの新しい転倒安定性テストイベントを実装しました。
・FTireアニメーション
様々な路面を回転するタイヤのような車両走行イベントには、より高精度な解析と可視化が必要とされます。FTire contact forceとtire deformation forceがAdams/PostProcessor上でアニメーション表示できるようになりました。
・SmartDriver機能拡張
車両の走行性と操作性テストは進化し続けており、バーチャルにモデリングやイベントのシミュレーションを実行するニーズも進化を求められています。この課題に応えるため、SmartDriverに多くの機能拡張が行われました。簡易CVT、オートマティックトランスミッションにおいて、バック走行のオープンルーフ解析が強化されました。その他、追加の速度プロファイルスプライン補間の改善、より滑らかなターゲット加速度、よりスムースなスロットル信号とブレーキ信号などが機能改善されました。
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MSC Softwareについて
MSC Software Corporationは、複合領域シミュレーションソリューションのグローバルなリーディングカンパニーとして、製品の設計やテストにおける品質向上、時間短縮、コスト削減を支援するソフトウェアおよびサービスを提供しています。MSC Softwareは、シミュレーション技術、ソフトウェア、ならびにサービスにより、短期間でより優れた製品を開発できるよう、世界中の何千社もの企業と協業しています。
MSC Softwareは、米カリフォルニア州ハミルトンビーチを本社とし、世界22カ国に支社・支店を展開しています。1982年2月に日本法人を設立し、本社の他、大阪、名古屋に営業拠点があります。従業員数は世界で約1,200名です。
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