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ポリオレフィン系ホットメルト接着樹脂の市場開発を強化【カネカ】

2014年7月10日

㈱カネカ(本社:大阪市、社長:角倉 護)は、独自技術を利用して開発したポリオレフィン系ホットメルト接着樹脂(以下、ホットメルト接着樹脂)の市場開発を強化します。すでに自動車外装、内装部材用途に採用され販売を開始しておりますが、家電、住設分野など、他の分野の工業用部材向けに用途展開を図ります。

ホットメルト接着樹脂とは、溶剤を使用しない接着材料であり、溶剤を使用した接着剤では必要であった乾燥・養生工程が不要で、接着工程での簡素化に加え、環境にも配慮した接着材料です。
具体的には溶剤を使用した接着剤と比較して、
①加熱装置で連続した工程で張り合わせることができるので、人の手による刷毛塗り人件費が要らない。人の手による塗りムラ(厚みムラ、塗り残し)がなくなる。
②接着剤の液が垂れる、はみ出すなどのトラブルが起こりにくく、また作業環境、設備の汚れがない。
などのメリットがあります。

近年、自動車、家電製品、住設製品などの、小型・軽量・高性能化、意匠性の追及に伴い、金属と樹脂といった異種材料の組み合わせの接着が多様化しており、それらをいかに簡便に接着するかが重要となっています。中でもポリオレフィン系樹脂は、軽量性、加工性に優れ、低コストであることから、自動車部品や家電、住設製品に広く使用されており、金属、他の樹脂材料、布、皮などの異種材料との接着需要は多く寄せられています。他の樹脂材料としては、印刷やエンボス加工で意匠を施した加飾シートも増えつつあります。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は、接着しにくい樹脂として知られており、従来のホットメルト接着樹脂では接着性を向上させるために、下塗り処理、プラズマ処理、コロナ処理などの前処理が必要で接着工程が煩雑になったり、接着させるのに高い温度と圧力が必要で、接着する材料の変形や意匠の低下を招くことがあったりします。そのため、前処理なしで、意匠の低下や変形をさせないような温度と圧力で接着でき、しかも、実際の使用環境で耐久性のあるホットメルト接着樹脂の開発は重要な課題でした。

当社のホットメルト接着樹脂は従来のホットメルト樹脂と同様、溶剤型接着剤で必要となる乾燥・養生処理を簡略化することができます。さらに、下塗り処理、プラズマ処理、コロナ処理などの前処理なく、ポリオレフィン系樹脂をはじめ、ステンレス、アルミニウム、ナイロン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂に接着することができます。これらの特性を生かし、金属に溶融樹脂を射出して一体化する成形や、あらかじめ一定形状に成形した樹脂基材に意匠シートを真空成形で圧着する成形に利用することで、自動車外装部材のピラーや、ドアトリム周辺やインパネ周辺のパネル自動車内装用加飾部品に採用されています。これらは、溶剤型接着剤を代替して作業環境の改善や人件費削減が可能となったことや、加飾シートの意匠性を損なうことなくポリオレフィン樹脂に加飾が可能となったことがユーザーのメリットとなり、採用に至った例です。加飾分野では、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、ポリオレフィン系樹脂と、基材種を問わず同じ意匠の加飾シートを積層でき、意匠の統一化にも貢献できるため、採用拡大が期待できます。

ポリオレフィン系樹脂と、金属や異種樹脂材料との接着工程の簡略化を主軸に、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、アクリル系樹脂や、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの新材料など、接着対象材料の拡大により、需要分野、適用部材の拡大を図ります。今後の計画として、このホットメルト接着樹脂のほか、加工性改良剤などの改質樹脂などのポリオレフィン系樹脂分野の製品群として、2020年に売上高100億円を目指します。

想定している需要分野は以下の通りです。
・ 自動車分野 : ピラー、モール、ドアトリム、スポイラー、ルーフなどの内外装部材(金属/樹脂からなる外装材の接着、本皮革、ファブリック、インパネ発泡シート、加飾シートと基材の接着)
・ 家電分野 : モバイル機器、テレビ筐体、白物家電筐体(加飾シート貼り付けによる加飾、金属と樹脂の接着、電子部品の封止用途)
・ 産業分野 : 工業用包材、バリアーフィルムなどの多層フィルムのフィルム間の接着層
・ 鉄道、航空分野 : 客室向け意匠パネル
・ その他 : 物流資材、住建材、日用雑貨、スポーツ用品の接着用途






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