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パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム2014 『MiEV Evolution III』が電気自動車改造クラスで初優勝【三菱自動車工業】
2014年6月30日
三菱自動車は、6月23日(月)~29日(日)、米国コロラド州で開催されているモータースポーツイベント「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(以下、パイクスピーク)」の2014年大会に、同社の電動車両技術と四輪制御技術の粋を集めた競技車両『MiEV Evolution III』の2台体制で、電気自動車改造クラスに出場。29日(日)に決勝が行われ、当社チームのグレッグ・トレーシー選手が9分08秒188のタイムでクラス優勝(総合2位)を果たしました。また、同チームの増岡浩選手は9分12秒204でクラス2位(総合3位)となり、1位、2位を独占。大会期間を通じて三菱自動車の電動車両技術と四輪制御技術の高さをアピールしました。
● 優勝ドライバー グレッグ・トレーシー選手のコメント
「三菱自動車に電気自動車改造クラス初優勝をもたらすことができてとても嬉しいです。私はこれで二輪と四輪の両カテゴリーで優勝したことになりますが、私が四輪に転向したのは電気自動車でこのレースに出場したかったからです。三菱自動車チームは今回のレースで完璧なマシンを準備してくれました。素晴らしいスタッフと車両のセッティングをしてくれた増岡選手のおかげで優勝することができました。この勝利はチーム全員で勝ちとったものです。今日は路面コンディションがとても滑りやすかったのですが、マシンがスライドするのをS-AWC(Super All Wheel Control、車両運動統合制御システム)によって防ぐことができたので、安心してアタックすることができました。ひとつ残念だったのは、私の力が少し入りすぎて練習の時よりもブレーキングをハードに行ってしまったことです。そのため後半ブレーキが少しフェード気味となりタイムをロスしてしまったと思います。それさえなければ総合優勝も十分に可能だったと思いますので、マシンはまだまだポテンシャルがあると感じました。三菱自動車の一員として『MiEV Evolution III』で電気自動車改造クラス優勝を実現できたことは、私にとって大きな誇りです」
● 増岡浩 監督兼ドライバーのコメント
「まずは、電気自動車改造クラスで優勝したグレッグ選手におめでとうと言いたいですね。彼は『MiEV Evolution III』を完全に乗りこなし、ウイナーにふさわしい素晴らしい走りをしました。チームメイトとして、そして監督として心から嬉しく思います。今日は天気がよく、雨の心配をすることなく思い切り走ることができました。自分の走りに点数をつけるとするならば95点ぐらいでしょうか。優勝には手が届きませんでしたが、チームの一員として1-2フィニッシュに貢献できたことを誇りに思います。我々は電気自動車で3年間パイクスピークを戦い、最先端のレーシングマシンを開発する過程で非常に高度な技術を学ぶことができました。また、その開発の過程で若いエンジニアが大きく成長していくのを目にしました。電気自動車やプラグインハイブリッドの技術開発において、パイクスピーク参戦が果たした役割はとても大きいと思います」
● コース概要
全長約20kmのコースには、156ヶ所にも及ぶコーナーがあり、2,862mのスタート時点から4,301mのゴール地点までの標高差は1,439mと大きいため、気温、気圧、天候などが大きく変化するのが特徴です。
コースの特徴は山麓部のボトムセクション、中腹部のミドルセクション、山頂部のアッパーセクションと大きく3つに分けられます。
ボトムセクションはコース脇に針葉樹の林が広がり、スタート直後からしばらくはリズミカルな中~高速コーナーが続きますが、曲率が突然急になる難しいコーナーも多いため、細心の注意を払って走る必要があります。
ミドルセクションは道路のすぐ脇に奇岩が迫るダイナミックな景観が特長。スタート後しばらくするとタイトなヘアピンコーナーが連続して現れ、急な上り坂でステアリングを左右に大きく切り込みながら走行するテクニカルなコース設定です。
アッパーセクションは荒々しい岩山の中を縫うようにして走る高速コーナーが中心の超ハイスピードコース。道路脇にガードレールがないところも多く、コースオフすると崖下に転げ落ちる危険性が高い難コースです。そのため高速域での高い車両安定性が求められます。山頂は標高4,301mと富士山よりも高く空気が薄いため、エンジン搭載車は出力が低下しますが、電気自動車は影響を受けずに走りきることが可能で、タイムアップの鍵となる区間といえます。
● EVビジネス本部 本部長 岡本 金典コメント
「三菱自動車は2009年に世界初の量産電気自動車『アイ・ミーブ』を発売。また、2013年には世界初の4WD SUVのプラグインハイブリッド車『アウトランダーPHEV』を発売し、今後もこれら電動車両の普及に努めてまいります。パイクスピークには、電動車両の主要コンポーネントの性能を確認する場としての役割を担って、2012年より3年連続で参加しました。2012年には量産のモーターと電池の過酷な条件化での性能確認を行い、2013年には、将来をにらんだ先行開発中のモーターと電池を採用し、これらコンポーネントの潜在性能を確認するとともに、実用時を想定した耐久性を確認しました。
そして今年、これらコンポーネントは更なる耐久性能確認をパイクスピークで行い、次世代の量産EV及びPHEVに展開していくことを考えています。
さらに、タイヤ性能を十分に発揮させる三菱自動車得意の四輪制御技術について、より速くより安定して走行できる制御の確認のみならず、レース活動を通じて制御系エンジニアの育成を行ってきました。
なお、四輪制御技術については、中期経営計画ニューステージ2016でもお伝えしている、e-EVOLUTIONの中核となる制御として、今後も開発を続けていく計画です」
● テクニカルディレクター 田中泰男コメント
「今回の3回目のパイクスピーク挑戦で、目標としていた電気自動車改造クラスでの優勝という結果を残す事ができました。弊社の電気自動車の技術の成果を優勝という形にする事ができたのは本当に良かったと思います。また、総合優勝したガソリンエンジン車には2.5秒差に迫り、電気自動車の可能性も一段と広がったと思います。
今回のレース結果に貢献した技術の一つは、車両運動統合制御システムS-AWC(Super All Wheel Control)です。S-AWCは車両の状況に合せて四輪のトルクを独立に制御し、通常走行での安全性を高める技術ですが、モータースポーツにおいても、ドライバーの技術をより引き出し、意のままにマシンをコントロールするための強力な武器となりました。
また、今回のレースを通じ、電動車とS-AWCの組み合わせとしての多くのデータを取得することができましたので、今後の量産車開発において、さらに安全な車作りに役立てたいと思います」
なお、三菱自動車のパイクスピークへの取り組みに関する様々な情報は、以下のスペシャルサイトをご覧ください。
スペシャルサイト(日本語) : http://www.mitsubishi-motors.com/jp/events/ppihc/2014/
スペシャルサイト(英語) : http://www.mitsubishi-motors.com/en/events/ppihc/2014/
FACEBOOK(日本語) : https://www.facebook.com/MitsubishiMotorsMiEV
FACEBOOK(英語) : https://www.facebook.com/iMiEV.official
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