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UR:BANプロジェクト:コンティネンタル、ドライバー支援および車両の接続性に関する新システムを発表【コンチネンタル・オートモーティブ】
2014年5月14日
*本プレスリリースは、現地時間2014年5月14日に、ドイツ・ブラウンシュヴァイクで発表した内容の参考訳です。 万が一、英文原文と意味合いが異なる部分がある場合には英文が優先されます。
● 前後左右全方向の安全な車両制御を可能にするドライバー支援システムは、複雑な都市のシナリオにおいて交通事故の数を減らすことを目的
● 車両の接続性およびインフラとの通信は、都市交通の安全性、効率性、快適性の向上に貢献
国際的な自動車部品メーカー、コンティネンタルは、ブラウンシュヴァイクのドイツ航空宇宙センター(DLR)で開催された研究イニシアチブUR:BAN (Urban Space ユーザー志向の支援システムおよびネットワーク管理) の中期イベントで、都市交通におけるドライバー支援および車両のコネクティビティのための新しいシステムを発表しました。このシステムは、車の前方を意識した、環境に優しいドライビングスタイルを可能にしながらも、ドライバーを支援して過密した都市交通における安全性を高めることを意図しています。このシステムは、交通の効率性および運転の快適性を高めながらも、都市における交通事故数を削減し、事故の回避が不可能であるような状況でも、事故の重大度を軽減することを目標としています。
都市部における前後左右の安全な車両制御を可能にする支援システム
都市交通のような複雑なシナリオで危険性を認識し、適切にそれらに対応するには、特に厳しい要件が課せられます。コンティネンタルは自動車サプライヤー・自動車メーカー各社と協力し、道幅の減少、車線変更、狭い通路での対向車への対処、緊急事態に対応する際のドライバー支援用に設計された効果的な都市支援システムおよびプロトタイプを研究開発しています。これらはすべて「認知支援」プロジェクトに含まれます。サブプロジェクト「都市における前後左右の安全な車両制御」の責任者であるステファン・ルーク (Dr. Stefan Lüke) は「私たちが目指しているのは、前後左右方向の新しい支援システムを開発することによって、重大な事故を避け、都市における運転を容易にすることです」と述べています。ルークは、コンティネンタルのシャシー&セーフティー部門のアドバンストエンジニアリング部において高度運転支援システムおよびオートメーションの責任者を務めています。このサブプロジェクトには、道幅の減少支援、対向車支援、車線変更支援、および環境に適した速度推奨という、4つの機能が含まれています。
ルークは「これらの機能は、過密した都市交通において、交通の流れを促進し、効率性を高め、汚染を減らします。それらの機能に加えて、運転に不安を持つドライバーが安全に自信を持って都市の交通の中で運転できるように支援します」と述べています。これらの支援機能の鍵となるのは、他のアクティブおよびパッシブな道路利用者だけでなく、交通標識、交通信号灯、または駐車中の車などの複雑な都市環境における他の対象物を認識する高度な信頼性です。このような状況下で周囲センサーが重要な役割を果たします。車のそれぞれの角に4つの短距離レーダーが配置されているだけでなく、前方をカバーする長距離レーダーやステレオカメラが、車両の前後周囲の状況を取得および認識することで、全方位にわたる視界が実現します。
道幅の減少支援機能は、近接する車線、静止した障害物、または駐車中の車の間を通過する際に、ドライバーが狭い道を通過するのを支援します。この機能は、車線維持システムが実施するのと同様にハンドル操作に介入する操作を行います。道幅が狭すぎて車が通過できない場合、警告信号音が鳴り、計器クラスタにアイコンが表示されます。ドライバーの反応がない場合、道幅の減少支援機能に自動安全ブレーキを発動させることも可能です。
対向車支援機能は、都市交通における対向車を評価し、それらの車が狭い道を通行中の車両に危険をもたらす可能性があるかどうかを判断します。この支援機能は、対向車両同士が同時に通過するためのスペースが実際に狭すぎる場合、道幅が狭すぎる地点を回避して停止するように適宜ドライバーに知らせます。
全方向のビジョンを備えた車線変更支援機能は、車線が複数ある都市の道路においてドライバーを支援します。安全な車線変更が可能であるか否かを決定するために、周囲センサーからの情報を利用してドライバーの車が車線内のどの位置にあるか判断します (車の後方も含め、他の車線も監視されます)。車線変更が可能な場合、要求次第でガイド付きの車線変更行うことができます。ドライバーは、ハンドルを回すかブレーキを踏むことで、いつでも、前後左右の運転支援を止めることができます。
環境に適した速度推奨機能は、都市交通における運転をより安全で効率的にすることを目的としています。コンティネンタルのアクセル力フィードバックペダル(AFFP) が、エンジントルクの変化に伴って触覚によるフィードバックをドライバーに伝え、減速するように勧めます。ドライバーは、信号によってあらかじめ運転操作を調節したり、危険な状況を事前に認識できます。
コンティネンタルは、「都市における前後左右の安全な車両制御」プロジェクトに加えて、他のサブプロジェクトにも参加しています。運転支援システムの研究の最前線には、歩行者や自転車の信頼性の高い認識に加え、環境モデルの改良があります。特に歩行者との事故を避けるために、回避操作とブレーキとの組み合わせた緊急介入の取り組みが行われています。新車を評価する際に使用されるユーロNCAP衝突テスト向けの評価制度に交通弱者保護の項目が追加されて以降、その重要性は増しています。
ネットワーキングおよび通信によって促進される、効率的で安全な都市交通
コンティネンタルは、UR:BANの「ネットワークでつながった交通システム」プロジェクトにおいて、車両が交通信号と通信し、インターネットから情報を取得すれば、都市における交通がより効率的かつ安全に流れる可能性があることを実演しています。Car-to-X技術(C2X)に関する世界最大の研究プロジェクトの1つであるsimTDでは、交通安全を改善し、交通がスムーズに流れるようにするために、C2Xを日常的に使用することに関する持続可能性が既に証明されています。
コンティネンタルのインフォテイメント&コネクティビティ事業部で最先端技術に関するプロジェクトマネージャーを務めるホンジュン・プー(Dr. Hongjun Pu) は「原則として、車をインテリジェントインフラと接続します。そうすることで、ドライバーがその視野に入っていない状況を予測できるようにする、拡張したelectronic Horizonを構築しているのです」と述べます。「たとえば、交通信号のサイクルに関する情報を把握しており、車の現在地も分かっているのであれば、赤信号を避けるために車が維持すべき速度範囲を前もって計算することができるのです。」
インテリジェントインフラによる赤信号の回避
車は、モバイルネットワーク経由で交通信号のサイクルに関する位置情報データを受信します。その後、たとえばコンティネンタルによるM2XPro-Module (Motion Information to X Provider) から取得した位置データと、前述のデータを使用して、最も可能性の高い経路の推奨速度を次の数キロにわたって算出します。コンティネンタルは、そのようなデータに基づいて、都市交通で最も効率的かつスムーズに運転する方法を予測します。自動車メーカーは、この原理を利用して直接ドライバーに通知するか、たとえばアダプティブ・クルーズ・コントロールによって車の前後方向の制御を微調整することができます。
車は、交差点に近づくと、車両間および車両とインフラ間の通信用に設計された、特別指定のWLAN ITS-G5規格を使用して交通信号と通信できます。車両は、この直接通信機能を活用することで、交差点、交通信号のサイクル、交差点の地形および形状に加え、MAP (交差点のトポロジー) 機能とSPaT (Signal Phase and Timing) 経由で、効果的な速度制限に関する信頼性の高い正確なデータを受信します。このシステムは、交通信号の緊急変更や工事による車線封鎖などの現在の状況を車両に伝えることもできます。ドライバーは、どの車線を運転すべきか、青信号で通過するにはどれぐらいの速度を保つ必要があるか、または赤信号で停止するタイミングなどを知ることができます。プーは「これにより交通の流れが改善されます。しかし、それはまた、不可避的な停止の前にエネルギー回復を活用するのに十分な時間において走行戦略を採用したり、信号が青に変わる直前にエンジンを始動させるためにアイドリングストップ機能を装備したりすることも可能になります」と述べています。「車両とインフラ間の直接的および間接的な通信を組み合わせることで、交差点で何が起こっているかを走行戦略の中で考慮しながら、インターネットからのデータを利用してドライバーの視野を拡大することができます。」
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