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横浜ゴムの弾性接着剤「FLASH ONE」、高級スピーカーに展開【横浜ゴム】

2011年7月29日

横浜ゴム㈱の一成分形速硬化型弾性接着剤「FLASH ONE」が、このほど大手音響メーカーとの共同開発によってハイエンドモデルのスピーカー向け仕様を確立し、同メーカーの製品に採用されることになった。商品名は「FLASH ONE A2-70C(フラッシュワン エーツーナナジュウシー)」で、今年中の納入開始を予定している。なお、音質向上を目的として開発された接着剤は市場では初。

一般にスピーカーには、内部のコーン(振動板)やボイスコイルなどの部品の接合に接着剤が使用されており、接合部位間における振動の伝搬によって音質が大きく左右される。「FLASH ONE A2-70C」は分子の架橋密度を調整することでスムーズな振動の伝搬を可能とし、原音の再現性を高めることに成功した。また、同用途の接着剤は、内部損失(素材が振動を吸収する度合い)を高めるほど残響が少なくなり音がクリアになる一方で、弾性が失われ音質を高音寄りに変化させる傾向があった。「FLASH ONE A2-70C」はこうした難点を克服し、高級スピーカーのさらなる高音質を求める愛好者の要望に応えるべく開発を開始。相反する機能の両立というハイレベルな要求に対し、横浜ゴムが長年培った独自の配合技術により、弾性を保ちながら内部損失を高めることを実現した。これにより、低音域から高音域にいたるまで良好な音質の発現が可能となっている。

横浜ゴムは新規事業開拓の一環として、2009年から「FLASH ONE」シリーズを展開している。硬化が速いうえ、樹脂や金属、紙など様々な部材への優れた接着性能を発揮する。さらに、有機溶剤を使用しておらず、作業環境の改善や環境負荷の軽減が図られる。これらのメリットが評価され、すでに液晶テレビや有機EL照明、太陽光発電モジュールなど多様な製品に採用されている。今後もユーザーへの提案型営業を推進し、新分野への応用拡大を図る。

「FLASH ONE SP」と従来品の内部損失係数を比較したグラフ

「FLASH ONE SP」は従来のスピーカー用途で使用されている一般的なクロロプレン系接着材に比べ、幅広い周波数域で内部損失係数(tanδ)が大きい。

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