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高度で複雑な電子機器が満載されたAudi R18 e-tron quattro 2014モデル【アウディ ジャパン】

2014年5月9日

レースカーとピットの間にテレメトリー情報通信システムを採用
テレメトリーシステムは1,000種類以上のデータをリアルタイムで送信
マシンの電子制御ユニットは高度なCAN Busを通じた相互リンクを構築

5月5日 インゴルシュタット :  Audi R18 e-tron quattro 2014年モデルは、アウディの歴史の中で、もっとも高度で複雑な構造を持ったレーシングカーです。先進的なメカニカルな構造に極めて洗練された電子制御を併せた最新鋭のシステムが採用されています。

アウディが初めてレーシングカーにデータ通信システムを採用したのは1989年のことでした。この年、IMSA GTOシリーズに出場したAudi 90 quattroにエンジン回転数や各種圧力/温度センサーなど、8種のデータを無線送信するシステムが搭載されていました。現在と比べれば、ずいぶん小規模のシステムですが、その後の大きな技術革新に繋がる偉大な1歩でした。

そして今日のAudi R18 e-tron quattroは、1,000チャンネル以上の(その一部は1,000分の1秒周期で収集されます)、非常に有益なデータをアウディスポーツのエンジニアに伝達します。ル・マン24時間レースで、エンジニアはマシンの状態を24時間コンスタントに監視します。これらのデータは、マシンのパフォーマンスを最大限発揮させるだけでなく、レギュレーションへの対応や重要な戦略の決定など、多くの作業に深く関連しています。まるで集中治療室での患者モニタリングシステムのように、マシンの状態を細かくエンジニアに伝え続けるのです。

マシンのあらゆる状態を伝達出来るように、幅広い電子制御ユニット(ECU)が、高度なCAN Busシステムによって相互リンクを形成しています。高感度センサーが、サスペンションの状態や加速性能、各種温度や圧力、さらにはエナジーマネジメントシステムの状態などを検知し、ひとつひとつのデータを集約して、ECUのために巨大なデータベースを作成します。Audi R18 e-tron quattroには、主にエンジンとハイブリッドシステムを制御するマスター コントロールユニットが搭載されています。このユニットを軸に、トランスミッション、クラッチ アクチュエーター、ワイパー、レーザービーム ヘッドライトの各コントロールユニットが相互に情報交換を行います。

Audi R18 e-tron quattroは、オンライン システムを介して、ピット内のコンピューターとダイレクトに繋がっています。ハイスピード データ通信システムを用いて、さほど容量のない各種温度のデータなどはリアルタイムで配信されます。容量の少ないデータをリアルタイムで送信することで、システム全体のデータ送信キャパシティを高く維持しています。その他にマシンが収集した膨大なデータは、ピットレーンを通過する際に一気に送信されます。1周ごとに蓄積されるデータは、状況によって20MBを超えます。これは、A4サイズの用紙に印刷した場合、10,000ページを超える情報量です。

マシンとピットの相互データ通信は禁止されています。マシンからピットへのデータ送信は許されますが、ピットからマシンへのデータ送信は出来ません。チームがマシンに伝えられる情報は、ドライバーに対する無線通信だけです。例えば、各種データを分析した結果、エンジニアがブレーキバランスやエンジン、ハイブリッドシステムなどのセッティング変更が必要だと判断したら、その内容を無線でドライバーに伝え、ドライバーに作業してもらわなければなりません。このため、レース途中での変更が必要だと思われる場合には、走行中のドライバーによって予め搭載してある別バージョンのシステム プログラムに切り替えてもらう可能性もあります。

さらに、FIA(国際自動車連盟・世界選手権主催者)とACO(西部自動車クラブ・24時間レース主催者)も、マシンのレギュレーション違反を監視するテレメトリーシステムを導入しています。両主催者はシステムを利用し、ハイブリッドシステムの最高出力は規定以内か、マシンのエネルギー消費は規定以内か、ターボのブースト圧は正しいか、コクピットの室温は制限値を超えていないか、などを監視します。

FIAは、今年からGPSシステムも導入しています。GPSの位置および速度情報を分析し、事故発生による黄旗区間など、危険な場所での速度制限に対する違反を監視しています。システムは、走行中のマシンのコクピットにコースマーシャルによって規制されている場所(多くの場合、事故発生現場)の位置情報を映し出します。ドライバーに注意を喚起することにより、全てのドライバーの安全性が向上します。さらに、各マシンの走行位置をリアルタイムに知ることも出来ます。このような最新技術により、最新式のLMP1レースカーは、常にチームやレース競技員と繋がっています。





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