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車載向け大出力燃料電池評価装置を開発【パナソニック】

2013年12月6日

家庭用で培った評価技術を車載用に展開
車載向け大出力燃料電池評価装置を開発
用途に合わせた多彩な装置を順次展開

【要旨】

パナソニック㈱とパナソニック プロダクションテクノロジー㈱は、車載用途向け燃料電池のショートスタック〔1〕評価装置と、基礎研究向けの単セル〔2〕評価装置を開発しました。家庭用燃料電池で長年に亘り培った評価技術を継承し、さらに車載用途で必要とされる大出力に対応する、高精度な水素ガスの圧力制御、温度制御、電流制御の機能を追加しました。高精度な評価装置を使用することで、開発効率が改善され、車載用燃料電池の早期商品化、コストダウンが可能になります。

【背景】

燃料電池の開発では、対象となる単セルやショートスタック、フルスタック〔3〕に対して、燃料である水素、空気の温度・露点・流量を変化させ、短時間及び長時間の発電特性評価を行い、最適な電解質膜、触媒等の材料組成と、構造及び接合プロセスを決定していきます。その際、こうした項目や条件を測定する精度不足により、開発効率が上がらないという課題がありました。
また、車載用途の燃料電池は家庭用途と比較して100倍以上の出力が必要とされている上、使用環境や走行状態など想定される実使用条件も多岐に渡るため、評価装置での検証がますます重要となります。そのため、より高精度な評価装置の開発が望まれています。

【効果】

当社は家庭用燃料電池の開発において、短期開発のための評価手法・技術を蓄積しています。例えば、供給するガスの露点を高精度に制御する機能や、異物を介在させない構造などを評価装置に搭載し、開発効率の向上を実現していました。今回開発した評価装置は、これらのノウハウを継承するだけでなく、車両での実使用状態に近い起動・停止性能などの評価も可能とし、車載用での開発効率向上を実現しています。
こうした評価装置を燃料電池車開発メーカーだけでなく、燃料電池の部材開発メーカーなどに提供することで、車載用燃料電池の早期商品化、コストダウンを可能にし、燃料電池車の開発の加速に貢献します。
また、商品開発のステップに合わせた、単セル評価からフルスタック評価までの基本装置群の展開と、面内電流分布測定、発電シミュレーション、環境温度対応等のオプション機能展開も順次行い、さらなる貢献を目指します。

【特長】

本開発の燃料電池評価装置は、以下の特長を有しています。

1. 測定結果の再現性が高く、評価期間の短縮が可能です。
2. 高い電流密度での測定が可能であり、車載用途に使用可能です。
3. 起動・停止を模擬した発電評価が可能です。
4. プログラムにより、同一機種で性能評価用途だけでなく、耐久評価にも使用でき、評価効率を向上します。

【内容】

本開発の燃料電池評価装置は、以下の技術で実現されています。

1. 高い露点精度を実現する機能と、異物(コンタミ)を介在させない構造。
2. 大出力に対応した、高精度水素ガス圧力制御機能。
3. 自動プログラム式評価機能、スタック本体温度調節システム。

 

【従来例】

従来は、単セル評価装置(660w)のプロトタイプを大学等に展開していましたが、燃料電池車に搭載する燃料電池スタック(2kw~100kw)の評価に対応できる、大出力タイプはありませんでした。

【用語の説明】

〔1〕ショートスタック
発電モジュールを複数枚積層した燃料電池

〔2〕単セル
発電モジュール単体で構成した燃料電池

〔3〕フルスタック
商品に搭載される燃料電池。発電モジュールを複数枚積層して構成される。積層枚数は商品仕様により決定される。



プレスリリースの内容は発表時のものです。
商品の販売終了や、組織の変更等により、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。





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