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SABICの樹脂を採用した複数のOEMが米SPEオートモーティブ・イノベーション・アワードで受賞【SABIC】
2013年11月28日
OEMとサプライヤーの協力の重要性を強調
*この内容は米SABICが2013年11月12日に発表した報道資料の翻訳です
米国ミシガン州デトロイト発 – SABICのイノベーティブプラスチックス事業は、同社の樹脂素材を採用したクライスラー・グループ、日産、フォルクスワーゲンが、自動車およびプラスチック業界で最も歴史があり規模が大きなコンペティションである第43回米国プラスチック技術者協会(SPE(R))オートモーティブ・イノベーション・アワードを受賞したことを明らかにした。
カテゴリー別受賞アプリケーションには、クライスラー・グループ(ボディ内装部門、2014年モデル ジープ・チェロキー、インストルメントパネル)およびフォード(シャーシ/ハードウェア部門、2014年モデル フュージョン/モンデオ、フロントバンパーエネルギーアブソーバー)などが含まれている。
SABICの樹脂素材や設計支援を活用することで、自動車メーカー各社は軽量化から歩行者保護規制を準拠するための自由度の高いデザインに至る広範囲なニーズに対応することが可能となった。各受賞プログラムは、バリューチェーンからドライブイノベーションまで緊密な協力が必要であることを強調した。また、当社のデザインおよびエンジニアリング・サポートと一緒になって、SABICの幅広いレンジにわたる熱可塑性樹脂ソリューションの問題解決能力を強調している。
自動車業界に従事するSABICの顧客は、これまでもアワードコンペティションで数々の輝かしい成功を収めてきた。2008年以来、SABIC素材およびサポートを活用した自動車アプリケーションは10部門でSPEオートモーティブ・イノベーション・アワードを受賞し、加えて16のアプリケーションが最終候補に残っている。SABIC材料から成型したアプリケーションの中で今年度の最終候補に名を連ねたのは、フォードの2014年モデル リンカーンMKZラグジュアリー・セダンに採用された完全格納式パノラミックルーフシステム、フォルクスワーゲンの2013年モデル XL1ディーゼル・プラグインハイブリッドに採用されたポリカーボネートガラス仕様のサイドウィンドー、日産の2013年モデル リーフEVに採用されたバッテリーパックシステムなどである。
SABICイノベーティブプラスチックス事業の自動車部門統括責任者、スコット・ファロンは「顧客の皆様のアプリケーションが、業界トップの革新的な製品として選出されたことに改めて喜びを感じています。顧客の皆様が設計、加工、素材の最適な組み合わせを決定し、これらのイノベーションに命を吹き込むサポートができること、またイノベーションを実現させる役割を担っていることにやりがいを感じています。我々は、これら顧客企業の受賞に携われたことを光栄に思っております。我々の大切な顧客の皆様とともに、今後より一層の飛躍ができるよう楽しみにしています」と述べています。
■クライスラー・グループはボディ内装部門で首位を独走
2014年モデル ジープ・チェロキーのインストルメントパネル(IP)はSPE関連で二度目の受賞を手にした。最初の受賞は、先月、SPEのデトロイト支部がデトロイトで開催した自動車用ポリオレフィン会議(Automotive Engineered Polyolefins Conference, TPO)での受賞だった。ポリオレフィン樹脂を使用して成型された部品の厚さは2.5~4mmで、部品重量が重く、成型時間も長い。SABICのSTAMAX(TM) 30YK270樹脂では厚さを2.0mmまで薄くすることが可能なため、重量の軽減とともに、成型時間を最高30%削減できる。
同車のIPは特にSTAMAX樹脂を用いて設計されており、部品の厚みを抑えながらも、衝撃特性や強さを損なわず、また、長繊維ガラス強化ポリプロピレン材料の主な特性にも影響を与えない。必要な素材が少なくなるため、全プログラムを通じプラスチック素材を数百万ポンド節約することができる。
SABICの自動車専門家は、製品開発や成型設計の際に反りを軽減するための高度な繊維配向モデリングなど、プログラム全体にわたり重要な工学的支援、およびテクニカルサポートを提供している。それには製品開発および成型デザインの間にひずみの程度を低減する応用繊維配向モデリングを含む。下請け企業はインターテックシステムズ、ツールメーカーはウィンザーモールドシステムズであった。
■フォードはグローバル市場を見越したフロントエンド性能要求を充たすためさらに前進
フォードはシャーシ/ハードウェアカテゴリーで最高の賞に輝いた。受賞したのは、世界中の市場が要求する強豪的な要件にも柔軟に対応できるフロントバンパーエネルギー吸収体(EA)の設計である。フォードはマグナ・エクステリアズ&インテリアズ、およびSABICと事業を行っており、XENOY(TM) 1103樹脂を選択した。同素材は、ポリカーボネート(PC)とポリブチレンテレフタレート(PBT)の混合物で、2014年モデル フュージョンおよびモンデオの車両の特定な部品に使用された。XENOY樹脂は衝撃に対して優れたエネルギー吸収性を発揮し、必要な剛性を有し、幅広い温度にも構造的完全性を維持することができる。また、設計の柔軟性に優れており、射出成型部品材料の厚さ、幾何学的特性をさまざまな地域の市場要件に合わせ、調整することができる。
このエネルギー吸収システムは、優れた構造的強度で衝撃エネルギー吸収の際に決定的な役割を果たすだけでなく、設計、製造、組立てでの複雑さが低減されている。
グローバルに対応できるシングルピース設計のため、各地域の衝撃要件にあわせてエネルギー吸収素材、バンパービーム、バンパーダッシュボードを変更する必要がない。SABICの軽量プラスチック材料から作られたエネルギー吸収材はスチール製の同部品よりも40%軽く、コストは10%抑えることができる。また、より厚いポリプロピレンベースのエネルギー吸収材に比べ20%軽い。これらの重量の抑制により、燃費の向上に貢献している。
■最終選考に残ったフォード、日産、フォルクスワーゲンのアプリケーション
SABICの素材およびサポートは、最終選考に残った以下のアプリケーションでも活用されている
- 2014年モデル リンカーンMKZラグジュアリー・セダン、完全格納式パノラミックルーフシステム、ボディ外装部門:フォードはPC素材のハードコートLEXAN(TM)樹脂を使用し、アクリル製の代わりに格納式ルーフのトリムパネルに用いて、対擦過少傷性と寸法安定性の向上を実現した。
- 2013年モデル 日産リーフ電気自動車(EV)、バッテリーパック、電気システム部門: 日産は変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)素材のNORYL(TM) N1150樹脂を、リチウムイオンバッテリーパックシステムの主要な部品に採用。NORYL樹脂の使用により、日産は部品重量を最高20%削減した。樹脂の高温安定性、および長期寸法安定性により、部品の品質のが格段に向上し、日産の自動車組立てシステムにおいてさらに安定なバッテリー生産のさらなる安定化を可能にした。
- 2013年モデル フォルクスワーゲンXL1ディーゼル・プラグインハイブリッド、サイドウィンドー、ボディ外装部門:PC/ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)素材からできたLEXAN樹脂とCYCOLOY(TM)樹脂にSABICのEXATEC(TM)プラズマコーティング技術を使った二段階射出成形によって生産されている自動車業界唯一のサイドウィンドーである。これらのソリューションによりサイドウィンドーの従来のガラスのソリューションに対してサイドウィンドーの重量を従来のガラス製に比べ33%削減し、同時に高品質な光学性と高い耐擦傷性を持つ表面、燃費を向上させる空力特性、高い断熱性、曇りにくさが実現した。SABICはフォルクスワーゲンに対し、サイドウィンドーの設計、エンジニアリングから生産に至るまでアプリケーション開発のためにあらゆるサポートを提供した。
■写真の説明
SABICのイノベーティブプラスチックス事業は、同社の樹脂素材を採用したクライスラー・グループ、日産、フォルクスワーゲンの自動車およびプラスチック業界で最も歴史があり規模が大きなコンペティションである第43回米国プラスチック技術者協会(SPE(R))オートモーティブ・イノベーション・アワード授賞に貢献した。カテゴリー別受賞アプリケーションには、クライスラー・グループ(ボディ内装部門、2014年モデル ジープ・チェロキー、インストルメントパネル)およびフォード(シャーシ/ハードウェア部門、2014年モデル フュージョン/モンデオ、フロントバンパーエネルギーアブソーバー)などが含まれている。SABICの樹脂素材や設計支援を活用することで、自動車メーカー各社は軽量化から歩行者保護規制を準拠するための自由度の高いデザインに至る広範囲なニーズに対応することが可能となった。
■SABICについて
- SABIC(Saudi Basic Industries Corporation)は世界トップの石油化学企業の1つ。ポリエチレン、ポリプロピレン、および他の先進的な熱可塑性樹脂、グリコール、メタノール、ならびに肥料のメーカーとして世界のマーケットをリードする企業の1つである。
- 2012年にSABIC社は、247億2千万サウジ・リヤル(65.9億米ドル)の純利益を計上した。2012年の総売上げ高は計1890億サウジ・リヤル(504億米ドル)であった。2012年末の総資産は3380億サウジ・リヤル(901.3億米ドル)であった。
- SABICの事業は化学物質、ポリマー、機能化学品、肥料、金属、イノベーティブプラスチックスに分化している。SABICの誇る充実した研究施設として、サウジアラビ、米国、オランダ、スペイン、日本、インド、中国に18の専門の技術革新センターを配置している。同社は世界40か国以上で展開しており、従業員は全世界で4万人を上回る。
- SABICはサウジアラビア、アメリカ大陸、ヨーロッパおよびアジア太平洋地区を拠点に生産活動を行っている。
- リヤドに本拠地を置くSABICは、1976年にサウジアラビア政府が石油産出に伴って発生する炭化水素ガスを化学物質、ポリマー、肥料生産の主要原料にすることを決定した際に設立された。サウジアラビア政府はSABIC株の70%を所有し、残りの30%はサウジアラビアの個人投資家および他の湾岸協力会議(Gulf Cooperation Council)諸国が保有している。
■イノベーティブプラスチックスについて
SABICイノベーティブプラスチックス事業は工業用熱可塑性樹脂の大手グローバルサプライヤーで、お客様の最も差し迫った困難を解決する突破となるソリューションを提供し続けた80年の歴史があります。現在、同社の売上は数十億ドルに上り、世界35か国で約9000人の従業員を雇用しています。SABICイノベーティブプラスチックスは、お客様とのコラボレーションや新しいポリマー技術、グローバルアプリケーション開発、加工技術、および環境に配慮したソリューションへの継続的な投資により、ヘルスケア、輸送、自動車、エレクトロニクス、照明、大衆消費電子製品などの幅広い市場をターゲットに、今後もプラスチック業界のリーダーであり続けます。当社の幅広い製品ポートフォリオには、熱可塑性プラスチック樹脂、コーティング、特殊コンパウンド、フィルム、シートなどがあります。イノベーティブプラスチックス(www.sabic-ip.com) はSaudi Basic Industries Corporation(SABIC)の完全子会社です。
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