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後輪による操舵補助【ZF・ジャパン】
2013年11月30日
- アクティブ・キネマティック・コントロール(AKC): 後輪アクスルのトー・アングル可変させることで、ステアリング角をアシストするシステム
- ドライビングダイナミクスおよび安全性の向上
- 他のアクティブ制御システムとの統合可能
- 電動アクチュエーターによるシステム・エネルギー効率の向上
車両の開発で期待させてきたのが、フロントアクスルのステアリング角をアシストする、操舵可能なリアアクスルです。これは走行安定性のみならず、ドライビングダイナミクスをも大きく向上させることができる技術です。しかし、これまではコストが高すぎる、システムが複雑になる、あるいは燃費が悪化すると言う問題がありました。そうした中、ゼット・エフ社ではトー・アングルを変えることでリアアクスルのステアリング動作を助けるシステムの量産体制を整えるにいたりました。このシステムを他のアクティブ制御システムと組み合わせることで、更に車の性能の向上をはかることが可能です。
サスペンションの開発において、車両の走行軌道修正は重要な問題です。理想的なハンドリングができることが最大の目標となります。なぜならブレーキング時の直進安定性やドライバーが感じる正確なステアリング感覚は、シャシのトー・アングルに影響されるからです。シャシ開発段階で決定されたトー・リンクやコントロールアームなどのサスペンションのトレッド・セッティングを確実なものにし、量産車両に正確に反映させる必要があります。
トレッド・セッティングは可変ではありません。そこでゼット・エフ社のシャシ技術者たちが登場することになります。彼らはトレッドを動的に調整することが、走行中の車両ハンドリングにどのように影響するかを調べました。そしてトー・リンクの中央に取り付ける、長さ調節可能なアクティブ制御システムを開発しました。エレクトロメカニカル(電子・機械制御)のアクチュエーターによって、車両走行中にトー・アングルを変えることができます。車両のコンピューター・システムに組み込まれた制御ソフトウェアからコマンドが発せられます。その利点としてトレッド角を変化させることでステアリング動作ができる点があります。リアアクスルの変化角度はフロントアクスルに比べると僅か(約3度)なものですが、リアアクスルが変化することはステアリング動作へとして大きな影響をもたらします。前輪のステアリング角との相互作用により、明らかに顕著な効果が得られ、車両のハンドリングに良好な影響を与えます。これがアクティブ・キネマティック・コントロール(AKC)の基本原理です。
「このテクノロジーは事実上あらゆる走行状態で効果を発揮します。」こう語るのは、ゼット・エフ社シャシ・テクノロジー部門の開発責任者であり、シャシ・システム事業部の責任者でもあるペーター・ホールドマン博士です。「せまい道路を低速で走行するような場合には、リアアクスルの操舵方向はフロントアクスルとは逆になり、車に大きなヨーレートを生み出します。」旋回半径が最大で10%小さく出来るので、車の取り回しが容易になります。「高速域、約時速60km以上の速度では、フロントとリアのアクスルは同じ方向に動くようになり、方向安定性とドライビングダイナミクスが向上します。」とホールドマン博士は続けています。
AKCのステアリング・アシストはエレクトロメカニカル・アクチュエーターによって行われます。このアクチュエーターはステアリング・ホイールとは機械的にはつながっていません。つまり純粋な(電気的接続のみによる)「バイ・ワイア」システムです。その結果、AKCを特定の乗用車のアクティブ制御ネットワークに組み込むことができるという利点があります。AKCは、「横滑り防止装置」であるESPと組み合わせるなど、他のアクティブ制御システムの機能を補助します。AKCとアンチロック・ブレーキング・システムをネットワーク化すれば、ブレーキとリアアクスルの協調的な安定化作用によって、減速時の車両のハンドリングを向上させることができます。結果的に、安全性とドライビングダイナミクスの両立が達成されることになります。グリップ力が変化する路面でのブレーキングでは、制動距離を短縮することが出来ます。したがって、AKCは減衰力の調整可能なCDC(減衰力連続可変制御)システムや、アクティブ・ステアリング・システム(ゼット・エフ・レンクシステム社が生産している)との組み合わせとして理想的アドオン・システムで、フロントのステアリング角を最適化しアンダーステアやオーバーステアを修正します。
また、このシステムはサスペンションの剛性を走行状態に合わせてリアルタイムで最適化することで、タイヤと路面の良好な接触を確実に維持することが可能です。
さまざまな要求仕様や取付けスペースに合わせ、ゼット・エフ社では必要な時にのみ作動する(パワー・オン・デマンド原理)エネルギー効率にすぐれたAKCシステムを提供でます。即ち、リアアクスルの中央にアクチュエーターを1台置する「セントラル・アクチュエーター」システムと、リアホイールそれぞれにアクチュエーターを1台ずつ配備するシステムの2タイプを用意しております。
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