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9速オートマチック・トランスミッションの 電子制御ユニットを初めて自社開発【ZF・ジャパン】
2013年11月25日
- 車両に搭載される電子部品の相互関連性の増大に対応
- ゼット・エフ社が自社開発したトランスミッション制御ソフトウェアが、ダイナミクスと快適性を引き上げつつ、燃料消費を削減
「ビット」と「バイト」(コンピューター言語 の基本単位) は今日、自動車とその部品の製造品質に関して重要な役割を演じています。この潮流は将来、さらに強まってゆくでしょう。これが、ゼット・エフ・フリードリヒスハーフェン社がエレクトロニクスの専門技術を強化して、新しい9速オートマチック・トランスミッション(「9HP」)と組み合わせる洗練された電子制御ユニットの開発と製造を、初めて全て”イン・ハウス”で進めた理由なのです。
エレクトロニクスとソフトウェアが自動車の効率向上の目標への到達、すなわちCO2排出量の削減の鍵を握っていることに、ゼット・エフ社は着目しています。「9HP」のための柔軟性の高い電子制御ユニットに関して、技術を核とする企業であるゼット・エフ社は、ハードウェアとソフトウェアの開発に関わる分野全体の専門知識を何年もかけて積み上げてきました。ゼット・エフ社は、トランスミッション用エレクトロニクスを全て自社内で構築しました。ゼット・エフ社にとっても、また顧客である自動車メーカーにとっても、それによって多くの利益がもたらされます。
隅から隅まで
ソフトウェアこそが電子制御ユニットの中核であり、変速プロセスを制御するシステムには全てのクラッチの制御、状況に適応する機能、そしてトランスミッション保護機能が詰め込まれています。同時に、ドライビングに対応するロジックが組み込まれており、あらゆる運転状況に応じて最適なギア・ポジションが、通常はドライバーに気づかれることなく選択されます。さらに電子制御ユニットは、自動車メーカーの意図やエンドユーザーの運転によって、9HPの特性を変化させることを可能にします。たとえば、変速点や変速動作は様々に変えることができます。燃料消費に最適化した変速特性、快適性を優先した特性、スポーティで切れ味の良い変速を、同じようにオプションとして組み込むことができます。ゼット・エフ社はまた、機構要素に求められてきた特性を制御ソフトウェアに受け持たせることで、トランスミッション内部の機械的損失を大幅に削減することができました。例えば、滑らかにつながる多板クラッチを油圧作動のドッグクラッチに置き換えるためには、締結時のショックを制御する技術が不可欠でした。この締結要素は伝達効率の高さだけでなく、コンパクトなサイズの中に凝縮することを求められた9HPの機構設計にも貢献しています。この電子制御ユニットは、ゼット・エフ社の新しい9速オートマチック・トランスミッションである「9HP」を搭載した乗用車が最大16%の燃料消費削減を実現する重要な要素となりました。
この電子制御ユニットの演算能力は、必要に応じて30%増強することが可能です。そうすることで9HPは、将来はさらに複雑なソフトウェアの機能を実装することができます。
正しい場所に
費用対効果と車両搭載時のスペース制約の二つの理由から、9HPの電子制御ユニットは、センサーやアクチュエーターがメカトロニクスとして完全に統合されたモジュールとする設計になっていません。そのかわり、非常にコンパクトな油圧制御ユニットと分離した形で、トランスミッション・ハウジングの上面に組み付けられています。
9HPの電子制御ユニットのハードウェアとソフトウェアは、アウアーバッハとフリードリヒスハーフェンにある2つの開発拠点が共同で作り上げたものです。電子制御ユニットの生産はメキシコのフアレスにあるゼット・エフ社の工場で、2013年初頭から始まっています。ここから出荷された制御ユニットはアメリカ・サウスカロライナ州グレイコートの新しいゼット・エフ社の9HP専用トランスミッション工場に送られます。
ゼット・エフ・フリードリヒスハーフェン社には現在、世界全体でおよそ1000名のソフトウェア・エンジニアが働いています。電子的なアクティブ制御システムが持つ能力と、その必要性が高まっていくことを考えると、この数字は将来さらに増えてゆくでしょう。トランスミッションだけでなくハイブリッド動力や電動モビリティも含めたドライブライン(駆動システム)・テクノロジー全体において、また同様にサスペンションやステアリングにおいても、そして乗用車か、商用車か建設機械かには関係なく、ゼット・エフ社にとって電子制御システムはますます重要なものになっています。
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