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CVT用「高信頼性低トルク玉軸受」を開発 ~CVTの更なる燃費向上に貢献~【日本精工】

2011年7月5日

日本精工株式会社(本社/東京都品川区、取締役 代表執行役社長 大塚紀男、以下NSK)は、ベルト式CVT*1(Continuously Variable Transmission [無段変速機])の信頼性と燃費向上に貢献する「高信頼性低トルク玉軸受」を開発しました。NSKは、本製品の売上として、2015年に20億円の売上を目指します。

*1  ベルト式CVT: 変速ギヤを使用せず、無段階での変速を可能にしたトランスミッション。エンジン回転数に応じた理想的な変速比でエンジンの動力をベルトで伝達する。

ベルト式CVTは、優れた燃費とスムーズな走りを両立するトランスミッションとして、近年、日本及び中国市場などでの採用が進んでおります。世界的な原油高騰の見通しや燃費規制強化への対応から、CVTには一層の高効率化が求められています。また、燃費向上の観点から、今後はトランスミッションオイルの低粘度化と希薄潤滑化が一層進むと考えられ、軸受に求められる信頼性は益々高まりつつあります。本製品は、このような市場ニーズを先取りし、摩擦損失を大幅に抑えるとともに、低粘度化と希薄潤滑下における信頼性を大幅に向上させました。NSKは本製品を、今後、国内外の自動車メーカーへ積極的に拡販を図って参ります。

製品の特長

本製品は、以下の優れた特長により、信頼性と低フリクション化の向上を実現しました。

CVT専用設計による長寿命化
CVT用軸受には、低フリクションに加えて、非常に高い寿命特性や剛性、クリープ耐久性などが要求されています。本製品には、弊社がこれまで培ってきた固有の特殊熱処理やクリープ*2防止技術、設計技術に、さらに繊維強化型プラケージを融合し、従来比2.5倍の長寿命を可能にし、CVT用軸受としての耐久性を飛躍的に高めました。低粘度油、希薄潤滑下、異物混入潤滑下等における表面損傷(ピーリング)の発生を抑制することで、信頼性を大幅に向上します。

*2  外輪を固定輪とした状態で、内輪を回転させた時に、固定輪である外輪がゆっくりと回ってしまう現象。

繊維強化型プラケージの採用による低トルク化
繊維強化型プラケージを採用し、定格容量や軸受のサイズを大きく変更することなく、軸受の回転による潤滑油の攪拌抵抗を最大3割減らしました。また、軌道溝オフセット仕様の採用により、より一層の小型・軽量化を図り、CVTの効率向上を可能にします。

NSKは、90年以上にわたって培われたNSKの4コアテクノロジー(トライボロジー、材料、解析、メカトロ技術)により、自動車の小型・軽量・低トルク化を実現し、自動車の燃費を向上する製品の開発を今後も進めていきます。

開発品の特長

開発品においては、これまでのNSK固有の技術を融合し、
さらなる低フリクション化とより一層の信頼性向上を図りました

開発品の評価結果

潤滑油撹拌状況の比較
手前側から潤滑油を供給しているが、現行品は開発品に比較して、保持器による攪拌の影響により、潤滑油が貫通しにくくなっており、油面高さが若干上昇している。

動摩擦トルク測定結果

プラケージによる攪拌損失低減効果により、軸受トルクが15~35%程度低減

寿命試験結果

現行品(特熱品)に対して、約2.5倍程度寿命が向上 ⇒ 標準品に対して10倍以上

プラケージの適用によって、玉面粗度の悪化が抑制される傾向があり、油膜形成性が悪い潤滑環境下における寿命改善効果が期待できます。


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