ニュース
鋳鉄・焼結合金加工用cBN新材種「スミボロンBN7000」を開発・発売【住友電気工業】
2011年7月5日
当社は、世界最高レベルのcBN含有率を有する、鋳鉄や焼結合金の汎用的な切削加工に対応したcBN新材種「スミボロンBN7000」を開発し、本年7月20日より発売致します。
ダイヤモンドに次ぐ硬度を有するcBN(立方晶窒化ホウ素)粉末を、結合材とともに高温・高圧下で焼き固めたcBN焼結体は、自動車部品などに用いられる焼入鋼や鋳鉄など、難削鉄系金属を高速で加工できる切削工具として、適用領域や用途がますます広がっています。 近年の自動車産業においては、部品の加工コスト削減が大きな課題となっていますが、中でも鋳鉄製エンジンブロックの加工や、低燃費化の追求により利用頻度が高まっている焼結合金製部品の加工では、工具刃先にかかる負荷が大きくなるため、より強靭で、長寿命を発揮できる工具材質が求められています。こうしたニーズをとらえ、当社では、鋳鉄や焼結合金を、より高速で高精度に加工できるcBN焼結体「スミボロンBN7000」を開発しました。
鋳鉄や焼結合金用のcBN焼結体は、cBN含有率が高くなるほど、工具としての強靭さが高まります。このため当社は、焼結時の圧力を従来の5万気圧より高くし、より高密度にcBN粒子を焼き固めるなど、量産品では世界最高レベルのcBN含有率を誇るcBN焼結体の製造技術を確立し、結合材の使用量削減に成功しました。さらに、cBN粒子同士を結合する結合材についても、より強力な結合力を発揮する新結合材を開発しました。これらの適用により、従来品比で1.5倍の耐欠損性を発揮するcBN焼結体新材種「スミボロンBN7000」の開発に成功しました。
本製品の特長は以下の通りです。
(1) 鋳鉄の超高速加工で安定長寿命
スミボロンBN7000は、熱伝導率が高いcBN粒子が高密度に焼結されているため、焼結体自体の熱伝導率が高く、鋳鉄を切削速度1,500m/min.以上の超高速で切削した場合でも、優れた放熱作用により刃先温度の上昇を抑え、鋳鉄の高速切削で問題となる熱亀裂を大幅に抑制することが可能です。これにより、鋳鉄高速仕上げ用カッタ『FMU型』、『FMU-E型』との組み合わせで、鋳鉄フライス加工において、従来品比1.5倍の工具寿命を実現します。
(2) 焼結合金の高能率・高精度加工に対応
焼結合金の高能率加工では、刃先の欠損に対する信頼性が重要となりますが、BN7000はcBN含有率の高さと新開発の結合材の効果により、従来品に対し刃先の耐欠損性が大幅に向上しました。このため焼結合金加工においても、従来品比1.5倍の工具寿命を達成します。
また、汎用性の高い標準刃先処理に加え、焼結合金加工用に設計された切れ味重視のLF型刃先と、刃先強化タイプのHS型刃先アイテムをラインナップしました。LF型刃先は、バリの発生を大幅に抑制し、かつ加工精度の向上を実現します。また、HS型刃先は、焼入れ焼結合金の断続仕上げ加工でも安定した耐欠損性を示します。これら、3種の刃先の展開に加え、焼結合金仕上げ加工用cBN材種『BN7500』を加えることで、焼結部品の多様な形状・材種に対応した加工が可能となります。
【ラインアップ】
2011年7月発売=計136アイテム。今後も拡充の予定。
【販売計画】
初年度:3億円、3年後:10億円
【標準価格】
標準品 2NU-CNGA120408・・・5,570円 (税込5,849円)
(当社従来品「スミボロン」シリーズと同設定。)
● スミボロンは、住友電気工業㈱の登録商標です。
住友電気工業株式会社ホームページはこちら