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産業用X線CTベストセラーモデルにラインナップを追加 マイクロフォーカスX線CTシステム inspeXio SMX-225CT FPDを発売【島津製作所】
2013年7月16日
−リチウムイオン電池、アルミダイカスト部品などの高コントラストな3次元観察を可能に−
島津製作所は、リチウムイオン電池、アルミダイカスト部品、電気・電子部品などの内部構造をより高コントラストに、よりシャープに3次元観察ができるマイクロフォーカスX線CTシステム「inspeXio SMX-225CT FPD」を7月17日に発売します。
マイクロフォーカスX線CTシステムとは、微小焦点のX線発生装置とX線検出器の間でサンプルを回転させ、撮影したデータを元にサンプル内部の3次元構造を再構成し観察するための装置です。部品の内部構造・欠陥の観察や故障解析、形状の計測や検査等を目的として幅広い産業分野で利用されており、国内市場においては、当社inspeXioシリーズがトップシェアを有しています。
このたび、シリーズ最上位機種であるinspeXio SMX-225CTのX線検出器にX線フラットパネル検出器を採用すると共に、超高速演算処理システムHPCinspeXioを標準搭載した本モデルを追加し、ラインナップを強化します。X線フラットパネル検出器は、従来モデルに搭載しているX線検出器と比較してダイナミックレンジが広く、樹脂と金属で構成されるリチウムイオン電池や電気部品など、比重が大きく異なる素材から構成されるサンプルでも高コントラストでシャープな画像が得られます。また、観察方向や観察視野内の場所によってX線透過画像の輝度が大きく異なるアルミダイカスト部品等の撮影にも適していることが特長です。
開発の背景
近年、省エネルギー・低燃費の促進を背景に、リチウムイオン電池やアルミダイカスト部品の普及と量産化が進められており、マイクロフォーカスX線CTシステムを用いたより迅速・高精度な非破壊検査に対する需要はさらに高まることが予想されます。
金属などX線を透過しにくい部材を含むサンプルのCT撮影では、メタルアーチファクトやビームハードニングアーチファクトと呼ばれるアーチファクト(偽像)によってCT画像の画質に劣化が起こるという問題があります。金属ケースに収められたリチウムイオン電池のセパレータ(樹脂)の観察やアルミダイカスト部品の欠陥観察の用途では、アーチファクトが観察の妨げとなる場合があり、高精度な検査を行うためにはその低減が求められています。
「inspeXio SMX-225CT FPD」はダイナミックレンジの広いX線フラットパネル検出器を採用し、高出力のX線を照射する撮影を行うことによってアーチファクトの発生を抑えると共に、超高速演算システムによる再構成処理の超高速化を実現し、鮮明なCT画像を素早く得ることが可能です。
新製品の特長
1. より高コントラストでシャープな画質を実現
広いダイナミックレンジを備えた新採用のフラットパネル検出器とその検出器性能を限界まで引き出す新画像処理エンジンを搭載しました。従来は観察が困難であったX線を透過しにくいサンプルにおいても、アーチファクトの影響を低減し高コントラストでシャープなCT画像を得られます。
2. 超高速演算処理システムHPCinspeXioを標準搭載
最新のHigh Performance Computing(HPC)技術を応用した超高速演算処理システムを組み込み、計算処理能力が約80倍~170倍(当社従来比)も高速化しました。データ収集完了からデータ表示までにかかる時間は当社従来のシステムで840秒(スキャン条件による)からおよそ5~10秒と大幅に短縮できます。
3. スキャン領域、最大搭載サンプルサイズの拡大
スキャン領域が約25%アップしφ250mmに、最大搭載サンプルサイズが約15%アップしφ350mmとなりました(当社比)。従来では扱えなかった大型のサンプルでも、より広い視野で観察できます。微小化の進む電子デバイスから自動車のアルミダイカスト製品まで、1台であらゆる用途に対応します。
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