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Ultramid®Endureブロー成形グレードを上市【BASF】

2013年7月11日

ブロー成形可能な高耐熱ポリアミド樹脂

排出ガス基準である「ユーロ 6」による厳しい規制が、数カ月後に導入されます。自動車の種類に応じて、窒素酸化物や炭化水素の排出量に加えて、すす粒子の排出量についても大幅な削減が求められます。この新たな規制に対応するため、自動車業界では、低圧排気ガス再循環システムの採用や、現行品と同等またはより高い性能を備えたターボチャージャーの採用によるエンジンのダウンサイジングによる小型化が進んでいます。このため、排出ガス凝縮液や高温高圧の影響で吸気系部品への負荷レベルは大幅に高くなりつつあります。


吸気ダクト向け高耐熱樹脂

こうした負荷に対処するため、BASFは、耐熱性能を格段に向上させたUltramid® Endure(ウルトラミッドエンデュアー)を2010年に開発しました。これは、現在市場で入手可能なポリアミドベースの射出成形材料の中で、最も高い耐熱性を有しています。今回 BASFは、ブロー成形可能なUltramid® Endure D5G3 BMを製品ラインアップに追加します。本製品は、ブロー成形によってパイプ製造を可能にします。

射出成形からブロー成形へ

2012年には、射出成形グレードのUltramid® Endure D3G7が、 従来は金属製だった吸気ダクト内のヒートシールドに初めて採用されました。本製品は、220°Cでの連続使用、最高温度は240°Cまで耐えることが可能であり、ターボチャージャーより下流の吸気部品(レゾネーター、センサーやアクチュエーター類、吸気側のインタークーラー、インテークマニフォールド)にも応用することができます。また、新しいUltramid® Endureは高温となるターボチャージャーとインタークーラーとの間のパイプをブロー成形により効率的に製造することを可能にします。

ブロー成形可能なUltramid® Endure D5G 3BM(ガラス繊維 15%)は、高い耐熱老化性、良好な成形性、優れた音響特性を有し、射出成形グレードと同様に220°Cでの連続使用、最 高温度は240°Cまで耐えることが可能です。また 、Ultramid® E ndureはPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂などと比べて溶融温度が低いため、ブロー成形においてシステム費用の削減につながり、高いコストパ フォーマンスを実現します。

この新しいUltramid® Endureブロー成形グレードは射出成形グレードと同様に、酸化劣化抑制技術により優れた熱安定性を有し、これは表面だけでなく材料全体をカバーしているため、接合部で必要とされる機械加工も可能です。

生産プロセスでの溶融安定性

ブロー成形において、プラスチックは優れた溶融安定性と膨らみ(スウェリング)効果が求められます。特殊なサクションブロー成形では、溶融樹脂 で作られたパリソン はダイヘッドから直接閉鎖された金型へ供給され、空気流動と自重で金型内に充填され 、内側からのブロー圧で 膨らませて 成形、 冷却固化して 最終的な型が成形されます。

高い溶融安定性は、パリソンの長さ変化に対応できます。パリソンの長さ変化が小さいものほど、サクションブロー成形に適したものになります。また、パイプの肉厚をコントロールするにはパリソンの膨張効果も同様に重要です。一方、金型充填時の過度な膨張は、パリソンが円錐台形になる問題を発生させます。Ultramid® Endure BMは、広い成形加工特性を有するため、良好なパイプ形状を保持し、加工パラメーターの変化にもうまく対応するため、生産プロセスにおいて修正が容易に行えます。

非常に優れた音響特性

自動車業界において、音響特性は、そのブランド性として重要な要素です。音響特性に優れた材料は新たなエンジンコンセプトや関連法規から、さらにその要求が高まっています。Ultramid® Endureは、優れたダンピング性能を有しているため、厳しい音響要件を満たすことが可能です。たとえばUltramid® Endureは、振動部からの伝搬騒音の発生を抑えるためにも使用できます。本材は温度や湿度レベルにもよりますが、PPSに比べて最大10倍優れたダンピング性能を有しています。

耐熱老化性

Ultramid® Endure BMは、その実証試験で優れた耐熱老化性を有していることが確認されています。これは220°Cの 恒温槽内で3000時間保持した後でも引張破壊応力の低下はわずかであり、3000時間を過ぎた後でも、PPSの値を大幅に上回っていました。また、引張破壊ひずみは同じ保持時間後で、2.5%以上の値を達成しました。これにより、本材がPPSよりも優れた耐熱老化性を有していることが確認できました。

Ultramid® Endure BMはドイツのラインホルト・ハーゲン財団で初期製品を試作した後、実生産向けにブロー成形機でのさらなる検証を積み重ね、最適化されました。この新しい材料は現在サンプル品として提供可能であり、2013年秋からは市販品として提供します。


K2013(国際プラスチック・ゴム産業展)記者発表会
発表者 : マーティン・フォルカ―(BASF 、エンジニアリングプラスチック ヨーロッパ  ビジネスユニット 自動車開発担当)

BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は世界をリードする化学会社「The Chemical Company」です。製品ラインは、化学品、プラスチック、高性能製品、農業関連製品、石油・ガスと多岐にわたっています。BASFは、経済的な成功、社会的責任、そして環境保護を同時に実現しています。また、BASFは科学とイノベーションを通して現代社会や将来のニーズを提示しながら、ほぼすべての産業のお客様を支援しています。BASFの製品とソリューションは、資源の確保に貢献し、栄養価の高い食品を提供するとともに、生活の質の向上に寄与しています。BASFはこれらの活動を企業目標として「私たちは持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります」を掲げています。2012年の売上は約721億ユーロで、従業員数は約11 万人です。BASFの詳しい情報は、www.basf.com(英語)、newsroom.basf.com(英語)、www.japan.basf.com(日本語)をご覧ください。




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